とさちょうものがたり

メディアとお手紙

高知新聞 閑人調 6

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とさちょうものがたり編集部の鳥山が、2023年春より、高知新聞の「閑人調」というコラムに寄稿させていただくことになりました。
このコラムには数人の執筆者がおり、月曜日から土曜日まで毎日掲載。月初めにその月の執筆者の氏名が掲載され、コラム自体には執筆者のペンネームが文章の最後に記されます。

鳥山のペンネームは「風」。月に2回ほど掲載される予定です。

 

スモモ

中学生の息子は大のスモモ好きである。まだ保育園児だった頃、収穫に行って好きなだけ取って好きなだけ食べ、スモモ好きに拍車がかかった。

それから早10年、「昔、取らせてもらったことがあったよね」とスモモ片手に懐かしそうに話す。幼い頃から相変わらず、畳に寝転びながら幸せそうに食べる姿は我が家の風物詩だ。

先日、近所の人が「スモモ取りに来や〜」と声をかけてくれた。大きなカゴを抱え、娘と収穫に行った。遠くから見てもたわわに実っているのが分かる。

真っ赤に熟れたスモモからは甘い香りがして、たまらずガブリ。みずみずしく、口の中が甘酸っぱさでいっぱいに。娘が「スモモが木になるなんて知らなかった」と言った。娘にとっては、今回が初めての収穫だったのだ。

娘も息子もスモモの深い紅色を忘れることはないだろう。それが甘くおいしいことも、枝をつかむように実をもいだことも、斜面を転がるスモモを追いかけたことも。

コンクリートの上では得られない体感を得られていることを幸せに思う。高知で生まれ育った人には当然と思える物事かもしれない。けれど私には、かけがえのないものとして輝いて見える。

(風)

 

2023年7月3日の高知新聞に掲載された「閑人調」の記事です。今回の記事の題名は「スモモ」。

6月はスモモの季節。土佐町の人から「これ、うちでとれたもんやけど」とスモモをいただきました。淡い黄色のもの、うっすら紅いもの、真っ赤なものと色もさまざま。ガブリとかじると、甘酸っぱい果汁がポタポタ。もう一個、と手が伸びます。

6月のある日、近所の人が「スモモ取りに来や〜」と声をかけてくれました。これは、その時のことを書いたものです。

高知新聞の「閑人調」の担当者の方に原稿を送ると、「斜面を転がるスモモを追いかけた」というくだりを「そうそう!」と共感してくださいました。高知ではよくある風景のようです。6月、高知のあちこちでスモモを追いかけている人がいるのかと思うと、何だか楽しいです。

高知で暮らしている人たちは、案外、同じような原風景を共有しているのかもしれません。

 

 

 

 

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とさちょうものがたりをご覧いただいている読者の皆様。いつもありがとうございます。

とさちょうものがたりは8/11-20まで夏休みに入ります。

記事の再開は8/21になります。

皆様もすてきな夏をお過ごしください。

 

とさちょうものがたり編集部

 

 

 

 

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とさちょうものづくり

ろいろい解説書、完成!

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ついに完成!解説書!

土佐町の絵本「ろいろい」の解説書が完成しました!

この解説書は、絵本に描いた土佐町の様々な要素を解説したもの。

A2サイズの紙の両面に絵の詳しい説明を掲載してあり、絵本本体に折り込まれます。「タブロ」という新聞紙をイメージした紙で、温かい手触りです。

 

土佐町の絵本「ろいろい」は、今まで町の人たちから聞いたことや教えてもらったこと、町の伝統行事や歴史、言い伝えなどで場面が構成されていますが、絵本の文章には盛り込めなかった内容は実はとても多いのです。解説書はその詳細な部分を補って伝えるためのものです。

 

何度も修正と校正を繰り返し、やっと完成にたどり着きました。長い道のりでした。

解説書の完成は、絵本の完成。これでやっと、土佐町の絵本「ろいろい」の本当の完成です。これで皆さんにお披露目できます!

 

絵本に解説書を挟んで…

 

ついに絵本「ろいろい」、完成!

 

土佐町の子どもたちのもとへ

絵本はまず、土佐町のみつば保育園の子どもたちへ配られます。

子どもたちの存在は未来そのもの。絵本「ろいろい」をお家の人と一緒に読んで、土佐町の暮らしや人の姿をよりよく知るきっかけになったらうれしいです。そしてこの町の存在を大切に思ってもらえたらと願っています。

ただいま、絵本「ろいろい」の販売の準備もしています。

販売を開始するときは、またお知らせします!

 

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絵本に折り込む解説書

 

土佐町の絵本「ろいろい」の解説書を制作しています。

A2サイズの紙の両面に各ページの絵の詳しい説明が書かれていて、完成したら絵本に折り込まれます。

土佐町の絵本「ろいろい」は、今まで町の人たちから聞いたことや教えてもらったこと、町の伝統行事や歴史、言い伝えなどでできていますが、絵本の文章には書ききれなかった内容はとても多いのです。

 

 

お待たせしました、完成までもう一歩

この解説書はその詳細な部分を補って伝えるためのもの。

例えば、「虫送り」のページではその歴史や言い伝え、田の畦に供えるお供えものの話を。

「田井の街並み」のページでは、昔の田井の様子やかつてあったお店のこと。

描かれている町の風景やものごとの意味をさらに深く。絵本の印刷をしてくださったリーブル出版さんと何度もやりとりし、修正・校正を繰り返しています。

絵本と解説書を開いて並行して読むのもよし。どちらかだけでもよし。色々な楽しみ方をしていただけたら嬉しいです。

校正が終了したら、いよいよ印刷へ。

解説書の完成=絵本の完成までもうすぐです!

 

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くだらな土佐弁辞典

やまった

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やまった

 

【意味】しまった!

 

例:やまった!カメに負けてしもうた!

(しまった!カメに負けてしまった)

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くだらな土佐弁辞典

ごとごと

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ごとごと

【副詞】 ゆっくり

 

例:うさぎも寝ゆうき、ごとごと行くぜよ

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くだらな土佐弁辞典

ひいとい

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ひいとい

【名詞】一日

 

例:ひいといじゅう、仕事してしんどかったねえ

 

土佐町の川村房子さんが教えてくれた土佐弁です。

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くだらな土佐弁辞典

せわしい

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せわしい

【形容詞】忙しい

 

例:母ちゃんはいつもせわしい

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最後のページは、みんなでおきゃく

ろいろい ろいろい

「ようきたにゃあ まあ すわりや」

「たるばあ たべや」

みんなでたべる みんなでわらう

よるはふけ またあしたがやってくる

ろいろい ろいろい

 

土佐町の絵本「ろいろい」。最後のページは、机の上に並んだごちそうの数々!

さばの姿寿司、山菜寿司、こんにゃく寿司、ぜんまいの煮物やイタドリの油炒め、手作り羊かんも。土佐町の銘酒 桂月も並んでいます。

みんなで集まってその土地の美味しいものを囲み、食べて飲んでワイワイすることを、高知では「おきゃく」と呼びます。

ごちそうを食べている人たちの楽しそうなこと!(乙女軍団の皆さんもいますね!)

 

ようきたにゃあ

おきゃくに来る人を「ようきたにゃあ」と迎え、「まあ すわりや」と声をかけ、「たるばあ 食べや」と勧めてくれる。「たるばあ」は、土佐弁で「思う存分」とか「好きなだけ」という意味です。「おなかいっぱい食べや〜」という感じでしょうか。土佐町の人たちの優しく気さくな人柄がよく出ている言葉だなあと思います。

 

皿鉢料理

さばの姿寿司

皿鉢にドーンと置かれているのはさばの姿寿司。高知県の郷土料理の一つで、お正月やお祝い事の時によく作られてきました。地蔵寺地区の長野商店・店主の長野静代さんは、さばの姿寿司作りの名人です。

塩をしたさばを一晩寝かし、柚子酢に漬ける。その絶妙な塩加減、柚子酢の香り。高知県出身の人が「高知県一美味しい!」と言うのを聞いたことがあります。

40年以上、お店の台所に立ち続けてきた長野さんのさばの姿寿司は、町中の人から愛されています。

皿鉢料理 その2 さば寿司

 

2019年。下田さんも長野さんに教えてもらいながら、さばの姿寿司作りに挑戦しました。

下田昌克さんが(再び)土佐町にやって来た! 2日目

 

山菜寿司も羊かんも

他にもみょうがやしいたけ、こんにゃくのお寿司も。かき揚げやさばのばってら寿司も盛られています。お米はもちろん土佐町産。野菜や他の材料も、ほとんどが土佐町で作られていることに驚きます。

↓長野静代さんに教えてもらった山菜寿司の作り方

皿鉢料理 その5 山菜寿司

 

↓ばってら寿司の作り方

皿鉢料理 その9 ばってら寿司

 

羊かんも手作りです。畑で収穫した小豆をコトコト煮てさらしでしぼり、寒天と混ぜ合わせてまたコトコト…。

「お箸を持ち上げて“ぽって、ぽって”と落ちるばあに、炊かないかんね」

長野さんはそう教えてくれました。

皿鉢料理 その1 羊かん

 

さまざまな種類のおかずが一枚の大きなお皿の上に盛り付けられている皿鉢料理。彩りを考えながら一品ずつ盛り付けます。「こうあらねばならない、なんてことはなくて、それぞれが自由に、それぞれの皿鉢でいいんだよ」と長野さんは教えてくれました。

山には山の、海には海の皿鉢料理があります。高知県の素晴らしい文化の一つです。

盛り付けられたさばの姿寿司の頭と尻尾をご覧ください!共にぴんと立つように盛り付ける。その手さばきは惚れ惚れするほどでした。

 

 

↓盛り付け方はこちら。動画もあります。長野さんの手さばきをぜひご覧ください!

皿鉢料理 その10 盛りつけ

 

ごちそうを囲んで、子どもも大人もみんなで食べて、笑って。昔から、生活の中の楽しみだったことでしょう。

「みんなでたべる みんなでわらう よるはふけ またあしたがやってくる」

いいこともしんどいことも、喜びも悲しさも、それぞれの人の胸の内にある。けれど、みんなで食べて笑ったら少しだけ心が軽くなるかもしれない。

おなかをいっぱいにして、ぐっすり眠って、また明日。

太陽は昇り、また新しい一日が始まります。

 

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くだらな土佐弁辞典

ぎっちり

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ぎっちり

【副詞】いつも、頻繁に

 

例:牧野博士は、ぎっちり草摘みしゆう

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