鳥山百合子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

鳥山百合子

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「エルマーのぼうけん」 ルース・スタイルス・ガネット作,絵 渡辺茂男訳

みかん・棒付きキャンディー・輪ゴム・虫めがね・くし・磁石…などなど。この物語の主人公エルマーがりゅうを助ける旅に出るとき、リュックサックに詰め込んだものの数々です。私もエルマーと同じように、エルマーが詰め込んだものをあった分だけリュックサックに詰め込んで、近所を「冒険」していたものでした。多分、毛がボサボサのライオンや、こそこそ話が大好きなイノシシも道々の先に見えていたのでしょう。

エルマーは船に乗り込み、まず「みかん島」に上陸します。エルマーが知らず知らずのうちに「人間が島に入り込んだ証拠」を自ら島に残してしまうのですが、動物たちはそれに気づいて大騒ぎ。

「エルマー!なんでみかんの皮をむいたのをそのまま置いていっちゃうの!」と大人になった今は思うのですが、当時は、次はどうなるのだろうとハラハラしながらエルマーの一挙一動足を見守っていたことを思い出します。

それは子どもたちも一緒のようです。

自分が子どもの頃に楽しんだ世界を、今再び子どもたちと楽しめることはなんて嬉しいことだろうと感じています。

鳥山百合子

 

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【布ぞうりづくりワークショップ、します!】
2019年11月17日(日)13:00〜15:00 @高知蔦屋書店

先生は土佐町の筒井政利さんと重子さん。わらじ・布ぞうりづくりの名人です。

今まで土佐町のたくさんの人たちに教えてきた筒井さん。11月17日は高知蔦屋書店に来て教えてくれます!

ワークショップでは、こんなに素敵な布ぞうりを作ることができます。

 

これは筒井さんが作ったもの。古い浴衣をほどいて作ったのだそうです。布の絵柄や色合い、組み合わせによってぞうりの表情が変わります。

 

取材のため筒井さんの家に伺った日も、近所の方がわらじの作り方を習いに来ていました。足の親指にわらじの土台となる紐をかけ、今までずっと働き続けてきた筒井さんのゴツゴツした厚い手と太い指が布を織り込んで行きます。
筒井さんは、お父さんがわらじを作っているのを見ながら作り方を覚えたのだそうです。昔は学校へ行く時、畑で仕事する時、雨や雪が降ろうがいつもわらじを履いていたとのこと。

 

筒井さんに教えてもらいながら、編集部も作ってみました!
作る工程には「お〜〜〜!!」と感動する技がいくつもあって、昔から引き継がれて来た知恵は本当に素晴らしいとあらためて感じました。
踏みごごちがとても気持ちが良く、ずっと履いていたいと思うほど!

こども用の古い浴衣をほどいて作ったぞうり

 

 

【布ぞうりづくりワークショップ】

【日時】2019年11月17日(日)13:00~15:00(2時間程度。初めての方はもう少し時間がかかるかもしれません。時間に余裕を持ってお申し込みください)

【場所】高知蔦屋書店

【参加費】2000円(材料費込)

【募集人数】10名(申し込み順)

【持ち物】
・(ある人は)自分の好きな布 *綿が良いです
→布はこちらでも用意しています。好きな布で作りたいというご希望のある方はご持参ください。
・ハサミ

【申し込み方法】
①メール(とさちょうものがたりメールアドレス:info@tosacho.com)
②電話 (担当:鳥山 080-8631-7461)
*お申し込みの際、お名前・年齢・連絡先・参加人数をお伝えください。

【申し込み締め切り】2019年11月10日(日)

【その他】床の上で座って作業しますので、作業しやすい服装でいらしてください。

 

 

 

*とさちょうものがたり編集部は、今まで筒井さんに大変お世話になってきました。
筒井さんの記事はこちらです。

筒井政利・重子 (地蔵寺)

地図の記憶 (前編)

 

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【さば寿司づくりワークショップ、します!】

 2019年11月16日(土)13時〜15時

 

高知県高知市出身の友人は言っていました。
「今までいろんなさば寿司を食べてきたけど、長野さんのさば寿司が一番美味しい!高知一、美味しいんやないかな?」

土佐町の人たちは皆、知っています。
「長野さんのさば寿司は本当に美味しい!」

40年以上続く、土佐町地蔵寺地区の長野商店。店主である長野静代さんの作るお寿司、おはぎ、お惣菜。どれもこれももちろん美味しいのですが、その中でとびきり美味しいのはやっぱり「さば寿司」!

11月16日(土)蔦屋書店にて、長野静代さんがさば寿司の作り方を教えてくれます。

 

今から2年前、とさちょうものがたり編集部は、長野さんにさば寿司の作り方を教えていただきました。

寿司飯を柚子酢に漬け込んださばで包み込む長野さんの手さばきは、経験と時間を積み重ねて来た人だけが持てるもの。いつも惚れ惚れとします。長年作り続けて来た長野さんの技をぜひ多くの方に知っていただけたらと思います。

 

 

【長野静代さんのさば寿司づくりワークショップ】

さばは前日から柚子酢に漬け込む必要があるため、長野さんが下ごしらえしたさばを使います。当日は、寿司飯をさばで包み込む作業をします。

【持ち物】エプロン、三角巾、タオル(さば寿司を形づける時に使います)

【日時】2019年11月16日(日)13:00~15:00

【場所】高知蔦屋書店

【参加費】2000円(さば、その他の材料費込。作ったさば寿司は一匹分ずつ持ち帰ることができます。大きめのタッパーをお持ちください)

【募集人数】10名(申し込み順)

【申し込み方法】
①メール(とさちょうものがたりメールアドレス:info@tosacho.com
②電話 (担当:鳥山 080-8631-7461)
*お名前・年齢・連絡先・参加人数をお伝えください)

【申し込み締め切り】2019年11月10日(日)

 

 

 

*とさちょうものがたり編集部は、今まで長野さんに大変お世話になってきました。
長野さんの記事はこちらです。

40年目の扉

皿鉢料理 その2 さば寿司

 

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「絵本作家のアトリエ 1」 福音館書店母の友編集部 福音館書店

絵本作家の方々のアトリエを訪問してのインタビューはとても面白く、一気に読みました。

「しょうぼうじどうしゃじぷた」の絵を描いた山本忠敬さん、「ぐりとぐら」の山脇百合子さん、「スーホの白い馬」の赤羽末吉さん、「だるまちゃんとてんぐちゃん」の加古里子さん、「はるかぜとぷう」の小野かおるさん…。

子どもの頃から親しんで来た絵本をつくった方たちのアトリエにある色鉛筆はビンに差し込まれ、絵の具は木の箱の中に無造作に置かれ、机には消印の押されたハガキや手帳やノートが所狭しと積まれていて、飾らず素のままです。今さっきまでここで絵を描いていたことが伝わってきて「絵本作家」というどこか遠いところにいるような気がしていた方たちが身近に感じられるような気がしますし、それと同時に、この場所でコツコツと描き続けてきたことへの尊敬の念が湧いてきます。

描き続けるということには大変なご苦労もあることでしょう。一筆一筆にその方の生き方をも込められているように思います。

今まで親しんできた絵本がまた少し違った風に見えてきます。

鳥山百合子

 

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読んでほしい

選書会

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毎年、土佐町小中学校では「選書会」が行われています。

体育館いっぱいにずらりと並べられた本の中から子どもたちが自分の好きな本を選び、そのなかから、多くの子どもたちに選ばれた本、先生が選んだ本が、毎年100冊ほど土佐町小中学校の図書館の本棚に加わります。

土佐町は「読書の町」。
これは15年ほど前から毎年続けられている、土佐町独自の取り組みです。

まず小学校低学年、その後に高学年、そして午後は中学生が自分の好きな本を選びます。

さあ、どの本を選ぼうかな?

 

たくさんの絵本や図鑑などの中から、自分のベスト3を選びます。

 

本に夢中になっている子どもの背中はいいものです。

 

「これいいね!」と友達同士で相談しながら選ぶ子も。

 

体育館いっぱいの本を運んできてくれたのは、高知市にある絵本専門店「コッコ・サン」。この日は、代表の森本 智香さんが来てくださっていました。

「本を日本中に売ってね!」と言った子の言葉に思わず笑顔の森本さん。

森本さんは子どもたちに絵本を読んでくださったあと、言いました。

「自分の好きな本を探してね。自分で選ぶことが大事なのよ」

 

そして、
「本を子どもたちにどう手渡すか。子どもたちにただ与えればいいということではなく、周りの大人が本を読んで、楽しんでいる姿を見せられたらいいですね」とも話してくれました。

今の時代、大人も子どもも読書離れしていると言われていますが、時間を忘れたように夢中になって本のページをめくる子どもたちの姿を見ていたら、子どもたちにとってやっぱり本は楽しいものなのだなとあらためて感じます。

 

子どもたちが選んだ本は、約1ヶ月ほどで学校の図書館の本棚に並びます。
その日を心待ちにしている子どもたちです!

 

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私の一冊

鳥山百合子

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 「スカーリーおじさんのはたらく人たち」 リチャード・スカーリー 評論社

愛すべき豚であるフランブルさん。「フランブルさん、どうして?!」というドジっぷりの連続、病院で体重計を壊す、レストランでバースデーケーキをひっくり返す、セメント塗りたての道を素足で歩く…。でもめげずにいつもニコニコしているフランブルさんが私はとても好きです。

この本には色々な仕事人の姿が描かれているのですが、町の中で働く人たちにはそれぞれの仕事や人との付き合いがあって、人がこの場所にいることで町が成り立っているんだなと思ったりします。本屋さん、キャンディー屋さん、金物屋さん、帽子屋さん、花屋さん、靴屋さん…、牧師さんもいます。

この本は1979年に出版されています。子どもの頃、弟たちと一緒にこの本を眺めていたことを思い出します。

鳥山百合子

 

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山の手しごと

はちみつの収穫

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土佐町の山沿いの道を見ていて気づくのは、山側の斜面に木箱が置いてあること。その木箱は大抵トタンで屋根がしてあって、箱の下側が少し開いている面が道に向けられ、風通しが良さそうな場所に置いてある。中には箱の表面に大きく墨で名前が書いてあるものもある。

土佐町に来てからしばらくの間、あの箱は何のためにあるのだろうと思っていた。神様が祀ってあると思っていた、と言った友人もいた。
その箱が、はちみつをとる為に置いてあるのだと知った時は本当にびっくりした。ミツバチが花粉を運び込み、その花粉が発酵することではちみつができるのだそうだ。

 

はちみつの収穫は夏。

8月上旬、上津川地区の高橋通世さんが蜂の巣箱をあけ、はちみつを収穫するところを見せてもらいました。

 

車一台がやっと通れる細い山道をのぼっていったところに通世さんのミツバチの巣箱はあり、連なる山々に臨むように置かれています。

ミツバチが巣箱の入り口を出たり入ったり、小さな体で忙しく働いています。

 

ブンブンブンブンブンブン…。

土底から響いてくるようなうなりがひっきりなしに聞こえてきます。

 

ブンブンブンブンブンブン…。

その音は箱の内側から発せられているのに、すぐ近く、まるで耳元を取り巻くように聞こえるのです。

 

「これは重い!よう持ち上げるろうか?」

蜂に刺されないように帽子にネットを付け、長袖長ズボン、手袋をした通世さん。蜂を握ったら刺されるので、蜂に触れないように慎重に巣箱を平らな場所へと動かします。

巣箱は大きな杉を製材して板をひき、通世さんが作ったのだそうです。

 

 

トタンを取ると、中にはミツバチがびっしり!

 

 

蜂が逃げないように、巣箱の口にむしろを巻きつけます。

ブンブンブンブンブンブン…。

ブンブンブンブンブンブン…。

むしろの内側で鳴る羽音が響く中、通世さんは淡々と仕事を進めます。

 

箱の脇を木片で叩きます。そうすることで中の蜂が驚き、巣箱から上がり、むしろの方へ移動するのだそうです。

トントントントン、トントントントン…。

森から聞こえてくる蝉の声と巣箱を叩く音が、山の中に響きます。

 

 

しばらくすると、羽音が静かになってきました。

「音がせんなったら、みんな上がったっていうこと」

むしろをそっと外すと、あんなにびっしりとひしめいていた蜂がいない!

むしろに移動したようです。

 

金色の規則正しい六角形の組み合わせでできた層が、いくつも連なっていました。ミツバチはどうしてこんなに美しい組み合わせを作ることができるのでしょう。ずっと昔から引き継いできた本能なのだと思いますが、あの小さな体に詰まっている知恵は本当に素晴らしい。

みつの匂いを嗅ぎつけて、スズメバチやウシアブが何匹も飛んできます。スズメバチは隙あらばミツバチをさらおうと勢いよく飛び込んできて体当たりしてくるのですが、作業中、巣箱にいた一匹のミツバチがスズメバチに捕らえられ、あっという間に連れ去られてしまいました。

 

竹で作ったヘラで箱に付いている巣の縦の部分を切り、持ち手のついた鉄の棒で下の端を切り、上へと持ち上げます。

「巣箱に戻ってきたミツバチはびっくりするろうね、家がない!って」と通世さん。

夕方、ミツバチがアメ(通世さんは、巣とはちみつのことを“アメ”と言います。ここでは“花粉”の意)を取りに行って、日が暮れるやろ。そしたら山で泊まって、あくる朝に戻ってくる」

泊まり込みで働いて戻ってくるミツバチ…。なんて働き者なんでしょう!

 

 

黄金色のはちみつがポタポタと滴り落ちます。

「ちょっと食べてみや」

まさにエネルギーの塊!美味しい!

 

巣は全部は採らず、いくつか残しておくのだそうです。

「アメを取られて、ミツバチは機嫌悪くして逃げる時がある。ハチにとったら大変よ、全財産取られるんやき。人間だったらおおごと、訴えられる」

 

いくつか残しておいた巣のミツを食べながら、ミツバチたちはさらにミツを集め、冬までにまた巣箱をいっぱいにするそうです。この時のはちみつは採らず、冬の間のハチたちの食料になります。

「冬の間はミツバチは働かんき、外に出んずく巣箱の中でそれを食べて3月ごろまで暮らさないかん」

「3月頃、ミツが足らんかったら死ぬるき、はちみつのエサをやらないかん。砂糖水でもいいけんど、あんまりやったら、巣へも使うき味が悪くなる。一番いいのは、安いはちみつでもいいから、それをやったら違う。ミツを皿に入れて、その上にすりぬかを入れたりしてハチが溺れんようにしてやるのよ」

 

ハチたちの仕事を分けて頂いた分、人間もちゃんとお返しをする。そうすることで、ハチと人間のいい関係を長く続けていくことができるのでしょう。

 

巣箱を元に戻し、下に棒を挟んでミツバチが入りやすいようにしておきます。

 

むしろを広げておくとミツバチは巣へ戻ります。女王蜂が中へ入ると、皆あっという間に中へ入っていくのだそうです。

 

巣箱の中へ入ろうと押し合いへし合いしているミツバチたち

写真の真ん中あたりに、お腹の脇に黄色の花粉をつけたハチがいるのがわかるでしょうか?

「山から戻ってきたのが足に花粉をつけちゅう。これが集まって、中で発酵させてミツにするんやから。気が長い話よ」

 

作業中、ミツの甘い匂いに惹かれてスズメバチが飛び交っていましたが、もしオオスズメバチが巣箱の中へ入ったら、2日ほどでミツバチは全滅、食い殺されてしまうそうです。ミツバチも戦う術を持っていて、入り口付近にスズメバチが現れると、全部のミツバチが羽を一斉に同じ方向へと左右にバタバタと揺らして威嚇します。それでも巣箱のなかに入ってしまった場合、ミツバチたちはスズメバチを一斉に取り巻き、自らの発する熱で蒸し殺すのだそうです。

お互い命がけなのです。

 

働き、戦い、また働くミツバチたち。

今日も山を飛び、せっせと花粉を集め、自分の仕事をしていることでしょう。

 

 

収穫したはちみつは、ひと晩からふた晩、ざるに入れて漉し、はちの巣のカスなどをのけるそうです。通世さんは、さらに網で漉して別の容器に移し替え、純度の高いはちみつともっと細かい不純物を分離させてからビンに詰めるそうです。

その方法も人それぞれ。

自分にとってどの方法がいいのか、はちの巣箱を持つ人と情報を交換しながら色々と試しているそうです。

 

 

*一昨年の8月にも、高橋通世さんのお父様である高橋美雄さんにはちみつを収穫するところを見せてもらいました。美雄さんは、今年の収穫風景をきっと空から見守ってくださっていたことと思います。美雄さん、通世さん、本当にありがとうございました。

高橋美雄(上津川)

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私の一冊

鳥山百合子

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「土佐寿司の本」 松崎淳子 飛鳥出版室

2018年にこの本が出版された時、92歳だった松﨑淳子さん。高知新聞で紹介されていた松﨑さんの記事を読んだことがあったので、松﨑さんが「土佐の伝統食の生き字引的存在」の方であることは知っていました。ぜひ一度お会いできたらいいなあと思い続けています。

この本には松﨑さんのさば寿司や田舎寿司の作り方が載っています。

身の回りにある食材を使った美しいお寿司たちと共に、大小さまざまなおたまや網じゃくしが壁にかけられている写真からは、美味しいものは家々の台所から生まれて来るのだなあという思いをあらためて持ちます。

土佐町にもさば寿司の名人がいます。土佐町地蔵寺地区にある長野商店の長野静代さんです。40年以上、長野商店の台所から美味しいものを作り続けて来た長野さんの技術は素晴らしく、いつ見ても惚れ惚れします。

ある春の日、長野さんはさば寿司のすし飯の中に山椒の葉を刻んだものを加えていました。山椒の緑が映え、柚子酢と山椒の味の組み合わせがとても爽やかだったことを今でもよく覚えています。

作ることを続けて来た人ならではの技と、作る人が重ねて来た時間の層がみえるようなさば寿司。

高知の素晴らしい文化です。

鳥山百合子

 

*長野さんに教えてもらったさば寿司・山菜寿司の作り方はこちらです。

皿鉢料理 その2 さば寿司

皿鉢料理 その5 山菜寿司

*長野さんのことを書いた記事はこちらです。

40年目の扉

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私の一冊

鳥山百合子

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「宇宙兄弟」 小山宙哉 講談社

以前にも「宇宙兄弟」は紹介しましたがもう一度!

この写真の36巻はこの夏に発売された最新刊です。

「宇宙兄弟」は私の道しるべのような存在。「うーーん、いいなあ!」と巻ごとに心に響くセリフがあって、気持ちがしゅんとした時に読むと元気になります。

『「上には上がいる」ってことを痛感した時、打ちのめされるのか、ワクワクするかは、自分で選べばいいからね。ワクワクしながら挑戦するよ、私』。

36巻のこの言葉、グッときました。

多くの子どもたちにも読んでもらえたらいいなあと思います。(土佐町小中学校の図書館にも「宇宙兄弟」は置いてあります!)

 

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らっきょうの塩漬けから約1ヶ月が過ぎ、「そろそろ本漬けしようかと思うんじゃけど」と計美さんが言いました。
その日は7月29日、昼間の色々な仕事を済ませ、その日の夜、いよいよ本漬けです。

この時期は昼間はとても忙しいきよ。毎年、らっきょうの本漬けは夜なべ仕事よ」と計美さん。

 

 

 

 

計美さんは、部屋の奥から一枚の黄色がかった紙を持ってきてくれました。

計美さんのらっきょう漬けのレシピ

30年以上前、雑誌に載っていた「らっきょうの甘酢漬」の作り方。切り取って大事に持ち続け、このレシピでらっきょう漬けを作ってきたのだそうです。

「何十年も昔の本の資料。これがなくなったら困るけ」

作ることを重ねてきた計美さんの蓄積が見えるようでした。

 

「まあ、らっきょうを畑で育てるところからやってみや!」と笑う計美さん。

らっきょうを育て、収穫し、洗って、塩漬け、塩抜き、そして本漬けする。そうすることで初めてらっきょう漬けを食べられる。

長い道のりですが、いつかやれるようになれたらいいなあと思います。

 

*計美さんのことを書いた記事はこちらです。

お山のお母さん 1

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