鳥山百合子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

鳥山百合子

「エルマーとりゅう」 ルース・スタイルス・ガネット 著, ルース・クリスマン・ガネット絵 福音館書店

以前紹介した「エルマーのぼうけん」の続編です。

動物島からりゅうを助け出したエルマーは、家に帰る途中に嵐にあい、カナリア島にたどり着きます。その島にはりゅうの大好物「スカンクキャベツ」と「ダチョウシダ」が生えているそうなのですが、「スカンクキャベツ」という文字面が面白く、そして「スカンクキャベツって何だか美味しそうだな」と子ども心に思っていました。

カナリア島は名前の通りカナリアが住んでいる島なのですが、カナリアの王様が代々知りたがっていることがあり(歴代の王様たちは皆「知りたがり病」で亡くなりました)、それが何なのかを知りたいと思っているカナリアたちみんなも「知りたがり病」にかかっているとのこと。

王様は何を知りたがっているのか?

王様はエルマーにその秘密を打ち明けます。

物語の後半にその秘密が明らかになりますが、白黒のイラストと手書き文字で書かれているそのページはとても魅力的です。白黒で印刷されているのに、まるでそこに色があるかのように見えてきます。

まさにお話の力。エルマーの世界はとてもゆたかです。

鳥山百合子

 

鳥山百合子

2019年11月10日、今年で35回を迎えた土佐町「さめうらの郷湖畔マラソン大会」が開催されました。

晴天に恵まれ、紅葉で色づき始めた早明浦ダム湖畔をたくさんのランナーの皆さんが走り抜けました。

遠く栃木県や東京都、大阪府や広島県、そして高知県内から1000人以上のご参加をいただきました。ランナーの皆さん、本当にありがとうございました。

 

写真提供:澤田智則

大会委員長の高石清賢さんは「走ったランナーの皆さんが満足感いっぱいで帰って頂けることが、我々の至宝です」と話します。

このマラソン大会は、ランナーの皆さんはもちろん、たくさんの人たちの協力のもと成り立っています。事前準備、申し込み受付、駐車場への配慮、コース整備、当日の運営、ランナーさんの安全管理、ランナーの皆さんへのおもてなしなど、たくさんの地域の方々もボランティアとして参加してくださっています。

まさに町をあげてのイベントのひとつと言ってもいいでしょう。

 

写真提供:澤田智則

今年も「ブレイク」の皆さんが自転車で伴走しながらランナーさんの安全を守ってくれました。保育園から小学生、中学生、高校生、大学生。あらゆる世代の子どもたちが、大会審判長で「NPOさめうらプロジェクト」の辻村幸生さんの元、頼もしく育っています。

 

 

私たち「とさちょうものがたり」は、今年も大会記念Tシャツを製作させていただきました。今年はグリーンの生地に、土佐町に生きる自然を描いたデザイン。土佐町の障がい者就労支援施設どんぐりと大豊町のワークセンター・ファーストのメンバーが、手で一枚ずつシルクスクリーン印刷したものです。

多くのランナーさんに大会参加応募の際にご購入いただいていましたが、当日会場でも購入できるようにブースを出させていただきました。

同時に土佐町オリジナルTシャツやとさちょうものがたりZINEの販売、土佐町役場で毎月1枚発行しているポストカードも並べました(土佐町役場で無料配布しています)。ポストカードを手にして「この場所に行きたい、これはどこですか?」とか「持って帰って玄関に飾ります!」という声をいただき、ひとつのものが誰かの元へ届く喜びを感じました。

昨年お会いしたランナーさんが「今年もきましたよ」とお店をのぞいてくださったり、昨年製作したブルーのTシャツを着てくださっていた方もたくさんいて、とても嬉しいことでした。

 

 

同じ職場で参加してくださった皆さん。「このサイズがいいんやない?」と互いの背中にTシャツを当てながら選んでいる姿はとても微笑ましかったです。

 

早明浦ダムの上からスタート!

 

司会の谷泰久さんがゴールした人を迎えます。谷さんは土佐町の人たちや子どもたちにスポーツの楽しさを伝える活動を長い間続けています。「やっちゃん!」と街角で声をかけられることもしばしば。子どもから大人まで、たくさんの町の人に愛されています。

 

走り終わったあとは「おもてなし」。土佐町湖畔りんご園のりんごや、土佐町の銘酒「桂月」が待っています。地域のボランティアの皆さんがこのブースを支えてくれています。

 

 

ランナーの皆さん、土佐町に来てくださってありがとうございました!

また来年もお会いできることを心から楽しみにしています。

 

 

*2019.11.11~2020.1.22まで、参加ランナーさん限定で湖畔マラソンの写真がダウンロードできるようになっています。当日配布されたパスワードを入力してご覧ください!

さめうらの郷 湖畔マラソン2019 P1

 

私の一冊

鳥山百合子

「心ふるえる土佐の味」 小島喜和 高知新聞社

高知県出身の小島さんが“K+”というフリーペーパーに連載した高知県の料理の数々、お母さんの味が詰まった一冊です。

小島さんは高知県の海沿い町で育ったとのことですが、山沿いのこちら土佐町の食卓にのぼる料理や食材も色々登場します。海沿いも山沿いも、「高知」という土台でつながっていることを感じます。

きし豆茶、東山、リュウキュウと茄子の酢の物、四方竹と油揚げの煮物…。

中でも驚いたのは「冬苺の三角寿司」。ちょうど11月頃から日陰に実る赤い冬苺。子どもたちはこの苺が大好きで、手のひらにいくつか集めてから一気にパクッと食べる、甘酸っぱい冬苺。その葉っぱを使ったお寿司があるなんて知りませんでした。冬苺の葉で寿司飯を包むそうですが、こうすることで葉の表面にあるチクチクとした小さな棘が、すし飯が崩れぬよう守ってくれているのではとのこと。なるほど!どんな味がするのかな?今度冬苺を見つけたら葉っぱにも注目してみようと思います(表紙の写真が「冬苺の三角寿司」です)。

それからもう一つ「新生姜の天ぷら」!夏の新生姜をスライスして粉とあえて揚げるだけ。なんて美味しそうなんでしょう!来年の夏、試してみようと思います。

その土地ならではの食材や調理方法を知ることは、ちょっと新しい自分になるようでとてもうれしい。

高知の食材のゆたかさに出会うたび、高知県に来て良かったと感じています。

鳥山百合子

 

私の一冊

鳥山百合子

「夜廻り猫」 深谷かほる KADOKAWA

街のどこかから流れてくる涙の匂いを嗅ぎつけて、夜廻り猫はその人の元へと駆けつけます。「む!涙の匂い!」

話を聞き、その人が自分の答えを出す姿を見届けるお話が描かれているのですがいつもホロリとさせられます。人の死や介護、貧困や孤独、失恋や離婚、いじめや仕事のトラブル…。世の中にある色々な出来事、自分だけではどうしようもないこと…。それぞれの人の人生には本当に色々なことが詰まっていて、いい時もしんどい時も、泣きたい時も何もかも放り出したくなる時もある。でも、そんな中でも、きっと希望はあるのではないかとこの漫画は思わせてくれます。

土佐町図書館でふと手にして借りた「夜廻り猫」。机に何気なく置いておいたら子どもたちも読み始めました。「む!涙の匂い!」というセリフから始まって「あの場面、いいよね〜」と話せるのがうれしい。

早く次の号を借りに行こう!

鳥山百合子

 

私の一冊

鳥山百合子

「エルマーのぼうけん」 ルース・スタイルス・ガネット作,絵 渡辺茂男訳

みかん・棒付きキャンディー・輪ゴム・虫めがね・くし・磁石…などなど。この物語の主人公エルマーがりゅうを助ける旅に出るとき、リュックサックに詰め込んだものの数々です。私もエルマーと同じように、エルマーが詰め込んだものをあった分だけリュックサックに詰め込んで、近所を「冒険」していたものでした。多分、毛がボサボサのライオンや、こそこそ話が大好きなイノシシも道々の先に見えていたのでしょう。

エルマーは船に乗り込み、まず「みかん島」に上陸します。エルマーが知らず知らずのうちに「人間が島に入り込んだ証拠」を自ら島に残してしまうのですが、動物たちはそれに気づいて大騒ぎ。

「エルマー!なんでみかんの皮をむいたのをそのまま置いていっちゃうの!」と大人になった今は思うのですが、当時は、次はどうなるのだろうとハラハラしながらエルマーの一挙一動足を見守っていたことを思い出します。

それは子どもたちも一緒のようです。

自分が子どもの頃に楽しんだ世界を、今再び子どもたちと楽しめることはなんて嬉しいことだろうと感じています。

鳥山百合子

 

 

【布ぞうりづくりワークショップ、します!】
2019年11月17日(日)13:00〜15:00 @高知蔦屋書店

先生は土佐町の筒井政利さんと重子さん。わらじ・布ぞうりづくりの名人です。

今まで土佐町のたくさんの人たちに教えてきた筒井さん。11月17日は高知蔦屋書店に来て教えてくれます!

ワークショップでは、こんなに素敵な布ぞうりを作ることができます。

 

これは筒井さんが作ったもの。古い浴衣をほどいて作ったのだそうです。布の絵柄や色合い、組み合わせによってぞうりの表情が変わります。

 

取材のため筒井さんの家に伺った日も、近所の方がわらじの作り方を習いに来ていました。足の親指にわらじの土台となる紐をかけ、今までずっと働き続けてきた筒井さんのゴツゴツした厚い手と太い指が布を織り込んで行きます。
筒井さんは、お父さんがわらじを作っているのを見ながら作り方を覚えたのだそうです。昔は学校へ行く時、畑で仕事する時、雨や雪が降ろうがいつもわらじを履いていたとのこと。

 

筒井さんに教えてもらいながら、編集部も作ってみました!
作る工程には「お〜〜〜!!」と感動する技がいくつもあって、昔から引き継がれて来た知恵は本当に素晴らしいとあらためて感じました。
踏みごごちがとても気持ちが良く、ずっと履いていたいと思うほど!

こども用の古い浴衣をほどいて作ったぞうり

 

 

【布ぞうりづくりワークショップ】

【日時】2019年11月17日(日)13:00~15:00(2時間程度。初めての方はもう少し時間がかかるかもしれません。時間に余裕を持ってお申し込みください)

【場所】高知蔦屋書店

【参加費】2000円(材料費込)

【募集人数】10名(申し込み順)

【持ち物】
・(ある人は)自分の好きな布 *綿が良いです
→布はこちらでも用意しています。好きな布で作りたいというご希望のある方はご持参ください。
・ハサミ

【申し込み方法】
①メール(とさちょうものがたりメールアドレス:info@tosacho.com)
②電話 (担当:鳥山 080-8631-7461)
*お申し込みの際、お名前・年齢・連絡先・参加人数をお伝えください。

【申し込み締め切り】2019年11月10日(日)

【その他】床の上で座って作業しますので、作業しやすい服装でいらしてください。

 

 

 

*とさちょうものがたり編集部は、今まで筒井さんに大変お世話になってきました。
筒井さんの記事はこちらです。

筒井政利・重子 (地蔵寺)

地図の記憶 (前編)

 

 

【さば寿司づくりワークショップ、します!】

 2019年11月16日(土)13時〜15時

 

高知県高知市出身の友人は言っていました。
「今までいろんなさば寿司を食べてきたけど、長野さんのさば寿司が一番美味しい!高知一、美味しいんやないかな?」

土佐町の人たちは皆、知っています。
「長野さんのさば寿司は本当に美味しい!」

40年以上続く、土佐町地蔵寺地区の長野商店。店主である長野静代さんの作るお寿司、おはぎ、お惣菜。どれもこれももちろん美味しいのですが、その中でとびきり美味しいのはやっぱり「さば寿司」!

11月16日(土)蔦屋書店にて、長野静代さんがさば寿司の作り方を教えてくれます。

 

今から2年前、とさちょうものがたり編集部は、長野さんにさば寿司の作り方を教えていただきました。

寿司飯を柚子酢に漬け込んださばで包み込む長野さんの手さばきは、経験と時間を積み重ねて来た人だけが持てるもの。いつも惚れ惚れとします。長年作り続けて来た長野さんの技をぜひ多くの方に知っていただけたらと思います。

 

 

【長野静代さんのさば寿司づくりワークショップ】

さばは前日から柚子酢に漬け込む必要があるため、長野さんが下ごしらえしたさばを使います。当日は、寿司飯をさばで包み込む作業をします。

【持ち物】エプロン、三角巾、タオル(さば寿司を形づける時に使います)

【日時】2019年11月16日(日)13:00~15:00

【場所】高知蔦屋書店

【参加費】2000円(さば、その他の材料費込。作ったさば寿司は一匹分ずつ持ち帰ることができます。大きめのタッパーをお持ちください)

【募集人数】10名(申し込み順)

【申し込み方法】
①メール(とさちょうものがたりメールアドレス:info@tosacho.com
②電話 (担当:鳥山 080-8631-7461)
*お名前・年齢・連絡先・参加人数をお伝えください)

【申し込み締め切り】2019年11月10日(日)

 

 

 

*とさちょうものがたり編集部は、今まで長野さんに大変お世話になってきました。
長野さんの記事はこちらです。

40年目の扉

皿鉢料理 その2 さば寿司

 

 

私の一冊

鳥山百合子

「絵本作家のアトリエ 1」 福音館書店母の友編集部 福音館書店

絵本作家の方々のアトリエを訪問してのインタビューはとても面白く、一気に読みました。

「しょうぼうじどうしゃじぷた」の絵を描いた山本忠敬さん、「ぐりとぐら」の山脇百合子さん、「スーホの白い馬」の赤羽末吉さん、「だるまちゃんとてんぐちゃん」の加古里子さん、「はるかぜとぷう」の小野かおるさん…。

子どもの頃から親しんで来た絵本をつくった方たちのアトリエにある色鉛筆はビンに差し込まれ、絵の具は木の箱の中に無造作に置かれ、机には消印の押されたハガキや手帳やノートが所狭しと積まれていて、飾らず素のままです。今さっきまでここで絵を描いていたことが伝わってきて「絵本作家」というどこか遠いところにいるような気がしていた方たちが身近に感じられるような気がしますし、それと同時に、この場所でコツコツと描き続けてきたことへの尊敬の念が湧いてきます。

描き続けるということには大変なご苦労もあることでしょう。一筆一筆にその方の生き方をも込められているように思います。

今まで親しんできた絵本がまた少し違った風に見えてきます。

鳥山百合子

 

読んでほしい

選書会

毎年、土佐町小中学校では「選書会」が行われています。

体育館いっぱいにずらりと並べられた本の中から子どもたちが自分の好きな本を選び、そのなかから、多くの子どもたちに選ばれた本、先生が選んだ本が、毎年100冊ほど土佐町小中学校の図書館の本棚に加わります。

土佐町は「読書の町」。
これは15年ほど前から毎年続けられている、土佐町独自の取り組みです。

まず小学校低学年、その後に高学年、そして午後は中学生が自分の好きな本を選びます。

さあ、どの本を選ぼうかな?

 

たくさんの絵本や図鑑などの中から、自分のベスト3を選びます。

 

本に夢中になっている子どもの背中はいいものです。

 

「これいいね!」と友達同士で相談しながら選ぶ子も。

 

体育館いっぱいの本を運んできてくれたのは、高知市にある絵本専門店「コッコ・サン」。この日は、代表の森本 智香さんが来てくださっていました。

「本を日本中に売ってね!」と言った子の言葉に思わず笑顔の森本さん。

森本さんは子どもたちに絵本を読んでくださったあと、言いました。

「自分の好きな本を探してね。自分で選ぶことが大事なのよ」

 

そして、
「本を子どもたちにどう手渡すか。子どもたちにただ与えればいいということではなく、周りの大人が本を読んで、楽しんでいる姿を見せられたらいいですね」とも話してくれました。

今の時代、大人も子どもも読書離れしていると言われていますが、時間を忘れたように夢中になって本のページをめくる子どもたちの姿を見ていたら、子どもたちにとってやっぱり本は楽しいものなのだなとあらためて感じます。

 

子どもたちが選んだ本は、約1ヶ月ほどで学校の図書館の本棚に並びます。
その日を心待ちにしている子どもたちです!

 

私の一冊

鳥山百合子

 「スカーリーおじさんのはたらく人たち」 リチャード・スカーリー 評論社

愛すべき豚であるフランブルさん。「フランブルさん、どうして?!」というドジっぷりの連続、病院で体重計を壊す、レストランでバースデーケーキをひっくり返す、セメント塗りたての道を素足で歩く…。でもめげずにいつもニコニコしているフランブルさんが私はとても好きです。

この本には色々な仕事人の姿が描かれているのですが、町の中で働く人たちにはそれぞれの仕事や人との付き合いがあって、人がこの場所にいることで町が成り立っているんだなと思ったりします。本屋さん、キャンディー屋さん、金物屋さん、帽子屋さん、花屋さん、靴屋さん…、牧師さんもいます。

この本は1979年に出版されています。子どもの頃、弟たちと一緒にこの本を眺めていたことを思い出します。

鳥山百合子