香炉峰の雪は簾を撥げて看る

料理とわたし

先日、土佐町内の同世代の友人たちとポットラックパーティー(料理を各自作って持ち寄る飲み会)があり、料理を作らなくてはいけない機会があった。

持ち寄りが決まった瞬間、「うっ」と胸が詰まった。

お世辞にも料理が得意とは言えないのだ。

自炊はもちろんするが、切って焼くだけか電気圧力鍋に入れるだけの料理ばっかり作っている。

あとはエスニック料理が好きなので、バリ料理や麻辣香鍋(麻辣湯の焼きそば/野菜炒め版)など味の偏ったもの。

飲み会の参加者に、

「わたし、料理苦手なんですよね」

と、やんわり相談してみた。

すると、

「荒木さんは、米を炊いてくれるだけでいいよ」

と言われた。

プライドの人一倍高いわたしは、

それはそれでムカついたので、

ちゃんと作ってやる!!!!

と意気込んだ。

料理は苦手だが、料理人には憧れがあった。

というのも、Netflixのお料理対決番組が大好きで、

プロの料理人たちが、与えられたテーマにそって料理を作り、

技術をぶつけあう姿に、

時に熱くなり、時に涙し、

わたしも頑張ろう、という刺激をもらっている。

お気に入りは

白と黒のスプーン ~料理階級戦争~ 』『レストラン・ウォー THAILAND』

だ。

白と黒のスプーンは、韓国の一流シェフ(白さじ)と無名のシェフ(黒さじ)が一同に集まり、その中で頂点を決めるという番組。

料理人の腕はもちろん、ミシュラン3つ星シェフの審査員の非常に精密な味覚・嗅覚等による審査も素晴らしく、感動した。

いったいミシュラン3つ星料理人の料理とはどんなものだろう、と、この番組でミシュラン料理店への憧れが芽生えた。

レストラン・ウォーはタイの人気店の屋台料理人が集まり、料理対決する番組。

この番組を通して、タイ人のおおらかなお国柄を体感できるのがとても楽しい。

審査員チームに、とても厳しい鬼教官みたいな人がいて、
料理人に厳しいことを言ったり説教したりする。

日本人や前の番組の韓国人料理人は、真剣にそれを受け止めようとする雰囲気を感じるのだが、

タイ人はみんなヘラヘラしている(笑)

注意されても、「やっちゃった~」という深刻な感じさえなく、

鬼教官の注意をまるでセミの鳴き声のように

「すいません、気を付けます!」と言って受け流しているのだ。

この明るさというか、おおらかさが大好きで番組を見ている。

話がそれたのだが、

この料理番組とミシュラン料理人への憧れが、
わたしのポットラックパーティーでの料理に悲惨な結果をもたらすことになった。

ポットラックパーティー前日のわたしは、
ギリシャヨーグルトにハマっていた。

ギリシャヨーグルトを食べたいがために、ギリシャ旅行を企画し、貯金もはじめた。

読んでいたギリシャ旅行ガイドブックで、
ヨーグルトを料理に取り入れたグルメを見つけた。

「ふーん、料理にヨーグルト入れれるんや~」

と発見し、
どうしてもヨーグルトを料理に入れたいと思った。

そこで

「ミシュラン 料理人 レシピ ヨーグルト」

で検索したら、1件料理レシピがヒットしたので、それを作ることにした。

ところが、

レシピをそのまま作ればいいのに、

どうしてもレシピに出てくる”マスタード”を買うのがイヤだったのだ。

「マスタードきらい。マスタードなんて買ったって、普段の料理で使わねーよ」

と思い、マスタードを買わなかった!!

自分からミシュラン料理人に憧れておいて、自分からミシュラン料理人のレシピにケチつけはじめたのである。

マスタードなしでもなんとかなるだろうと思い、
いざ当日作ってみたら、味がモッタリしている。

「なんか、一味足りない….」

このとき、

アクセントのためのマスタードだったのか~!

と、マスタードがわりと重要な役割をつとめていたことに気づいた。

そんな時に、料理番組の料理人たちの姿が浮かんだ。

どんなテーマの料理でも、オリジナルで創作しておいしい料理を生み出していた姿を思い出したのだ!

ということで、

トムヤムペーストを入れてみた。

気分は料理番組の料理人である。

味見をしてみたが「うーん、まあ。」
という感じで、”白菜のヨーグルト和え ~トムヤム風~ ”を創作した。

いざ!

料理を持っていって、

参加者が料理を口に運んだ。

第一声!

「….これちゃんと味見した?! 腐ってない!?」

ガーーーン

である。

一瞬ひるんだが、少し反論してみた。

「いや、ちゃんと味見したし、なんといっても、ミシュラン料理人のレシピを見て作ったんだよ!」

「ほんとに?ちゃんとレシピ通り作った?」

「….いや、マスタードの代わりにトムヤムペーストを使った」

「それ、ミシュラン料理人のレシピっちゃうやん!創作してるやん!」

ここにきてはじめて、たしかに、と思った。

そして、料理番組の料理人たちの創作料理がおいしいのは、
これまでの料理経験の蓄積があるからで、

素人のわたしがかっこつけて思いついた調味料をいれてもギャンブルだったのだ、と悟った。

料理を食べた人も、さすがに言い過ぎたと思ったのか、

「でも、人間はこういう挑戦と失敗を繰り返すことによって進化してきたから、
 ナイスチャレンジだと思うよ!」

と、謎のフォロー(?)された。

結局、
玄米ごはん/卵焼き/創作白菜ヨーグルト/わたしが究極においしいと思うきゅうりづけ
をもっていったが、

いちばん人気があったのは玄米ご飯だった。。。

後日、土佐町民の憩いの場所・『青木幹勇館』へ行って、
カゴバック?を編みに来ていた人たちにそのことを話したら、

「そんな難しいことしようとするからあかんのよ~!

 ちくわにきゅうり入れといたらええのよ!」

と、長年の料理経験をもとに、

簡単においしく作れる料理をたくさん教えてもらった。

さらに、先週帰省したとき、母親にこの話をしてみた。

「あんた、昔から料理あかんかったよな~」

と言われた。

この期におよんで、

「うそやー!」

と反論してみた。

すると、

「何言うとんの!
 
 中学生のころに玉ねぎをピーラーでむこうとしとって、
 こいつ、大丈夫かと思ったわ~

 しかも指摘したら逆ギレするし」

お料理教室にでも通おうか、と思っていたが、
母のこの話を聞いて、

“そうか、昔からあかんかったのか~”

とさっぱりあきらめがついた。

嶺北にウーバーイーツがきたらいいのに!!!

この記事を書いた人

  • 三重県四日市市出身。東京大学教育学部卒業。在学中上海へ留学。ネット広告代理店のクリエイティブディレクターを経て、土佐町に地域おこし協力隊として移住し、大屋敷の管理人を務める。白拍子舞の舞手として各地で公演や奉納も行う。そろばん/ダンス教室も立ち上げ、台湾茶の販売もスタートさせ、踊りを主軸に多方面に活動を広げている。
三重県四日市市出身。東京大学教育学部卒業。在学中上海へ留学。ネット広告代理店のクリエイティブディレクターを経て、土佐町に地域おこし協力隊として移住し、大屋敷の管理人を務める。白拍子舞の舞手として各地で公演や奉納も行う。そろばん/ダンス教室も立ち上げ、台湾茶の販売もスタートさせ、踊りを主軸に多方面に活動を広げている。

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