鳥山百合子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「地球家族」 ピーター・メンツェル著 TOTO出版

高校生だった時、題名に惹かれて購入したこの本は、度重なる引越しにいつもついて来ました。

世界中の様々な家族のもとを訪ね、家にある持ち物を出して見せてくださいと頼んで撮影した写真集です。

溢れるようなものの中に人間がちょこんと座っているような日本の家族。水をくみに行くためのロバを一頭しか持っていないというアフガニスタンの家族。

あまりの違いに驚き、そして、生活の仕方や言葉や肌の色、宗教などが違っても私たちは同じ人間であり、同じ地球に住んでいるんだという実感に背中がゾクゾクしたのでした。

世界は広い!いつだってどこへだって、飛んでいけるのです。

2枚目の写真はブータンの家族。

国民の大半が「幸せだ」と答えているブータン。「家にある持ち物」はこれだけです。

人にとって本当に必要なものは何なのでしょう。

鳥山百合子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
読んでほしい

笹のいえのこと

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

この記事は、12月20日に発刊した「とさちょうものがたりZINE 03」の巻末に掲載した「笹のいえのこと(文:鳥山百合子)」を転載しています。

 

笹のいえのこと


 

「笹のいえ」との初めての出会いは、もうかれこれ5年ほど前になる。
その頃から私は移住支援の仕事をしていて、ある日「平石地区に空き家があるよ」と教えてくれた人がいた。地図を開き、その家に鉛筆で丸をつけた。細い一本道をまっすぐ進んだ突き当たりにある一軒家。なぜかよく覚えているのだが、この日は気持ちのいい秋晴れの日だった。

 

ちょうどその頃、洋介さんと子嶺麻さんは住んでいた千葉県内や日本各地を訪れ、自分たちの暮らしをつくる場所を探していた。四国に住む友人に紹介されたことがきっかけで土佐町を知り、実際に訪れ、平石地区の家に行った。多分こうなるようになっていたのだと思う。あの時、何の気なしにつけた丸印が「笹のいえ」になった瞬間だった。

縁は、この世の中に確かに存在していると思う。あのこととこのことは繋がっていたのかと気づいたときにはもう、そうなるようになっていたとしか思えない。今この時があるのは、これまでの毎日の出来事や、さりげない決心や、人との出会いが重なって絡み合っているからだと思うと、どんなことにも何かしらの意味があって、無駄なことなんてきっとないのだと思える。 

とさちょうものがたりの連載「笹のいえ」の一年間がぐるりと巡った時、笹のいえの歳時記が姿を現すだろうと思っていた。それはきっと土佐町の人たちが共感できるものであろうし、もっと言えば人間が共有できる何かが浮かびあがってくるような気がしていた。

春には春の喜びが、夏には夏の楽しみが、秋には秋の風が、冬には冬の暮らしがあることを、心の深いところにある何かに語りかけるように思い出させてくれた。はるか昔から田畑を耕し、種をまき、四季折々の仕事を積み重ねながら引き継いできた暮らし。先人たちが歩んで来た長い長い道の先に今の私たちがいる。それはきっとコンクリートの上ではなかなか感じられないことだ。この地の土の上に立ち続けてきた先人達の存在をいつもどこかに感じながら、「笹のいえ」は笹のいえらしく、土佐町での暮らしをつくってきたのだと思う。

 

ある日、洋介さんがこんな話をしてくれた。

今年の夏の台風の日のこと。山水を家まで引くパイプが詰まって、笹のいえの水が止まってしまった。こんなこともあろうかと台風が来る前に五右衛門風呂に水を貯め、水をたっぷり入れたタンクを用意していたので、まあいいかと家の中でのんびり映画を見ていたそうだ。外は大雨が吹き荒れる中、がらがらっと戸が開く音がした。そこには頭からすっぽり合羽を着た人がポタポタと雫を垂らしながら、両手に水のタンクを持って立っていた。

平石地区のその人は言った。「水、止まっちゅうろう?」。

 

「自分たちが知らないところで、自分たちのことを考えてくれていた人がいたことが本当に嬉しかった」と洋介さんは言っていた。

あの人はどうしているだろう、そう思ってその人が「普通」にしたことが、誰かの心にあかりを灯すことがある。
「どうしてこんな田舎に来たが?」「都会の方がよかったじゃろう?」この地で暮らし始めてから、私は今まで土佐町の人に何度この言葉を言われただろう。都会と田舎のどちらがよいという話ではなく、どうか知ってほしいと思う。その「普通」に支えられている人がいるということを。そしてその「普通」が、実は特別なのだということを。

 

笹のいえに行くと、いつも心地いい風が吹いている。それは笹のいえの縁側がポカポカと暖かいからだろうし、台所のやわらかい橙色のあかりの中をいったり来たりする子嶺麻さんの足音が心地いいからだろうし、この家が今も今までも、ずっと変わらずに大切にされてきた気配を感じるからかもしれない。

以前洋介さんが私に言ってくれたことがあった。

百合子さんは百合子さんでいいし、僕は僕でしかいられない。変わらないってことじゃなくって、そのときはそのときの自分がいるってことで、それを否定なり、ときには肯定もできない、というかその必要がないのだろうと思うよ」。

この言葉にずい分救われた。

 

笹のいえを訪れると、この家が「あなたはあなたでいいんだよ」と言ってくれている気がする。それは、この家で暮らしている洋介さんと子嶺麻さんの生きかたでもあると思う。

世のなかにはいろんな人がいて、いろんな考えがあって、いろんな生きかたがある。これが正解とかこれが間違っているということではなく、それぞれの場所で、それぞれの選択をしながら、人は生きる。

笹のいえは今日もあの場所に在る。そう思うだけで、何だか今日も頑張れそうな気がする。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「絵で読む子どもと祭り」 西村繁男 福音館書店

11月に土佐町に来てくれた西村繁男さんがプレゼントしてくれた一冊です。

今年7月に発行されたこの本を西村さんは2014年から4年をかけて制作、全国9箇所の子どもが参加するお祭りを描いています。

長野県松本市の「三九郎」、福島県福島市・浪江町の「安波祭」、大分県姫島村の「姫島盆踊り」…。そして高知県は仁淀川町の「秋葉まつり」。

西村さんは3年前にも土佐町に来てくださいましたが、この「秋葉まつり」の取材もあって高知県を訪れ、おじいさんの生まれ故郷である土佐町にも足を伸ばしてくれたのでした。

今年西村さんが土佐町に再訪してくださったことは、実は3年前からつながっていたのです。

この本をつくるために4年間という時間を重ねた西村さん。ページをめくるたび、筆を握り机に向かう西村さんの背中が見えるような気持ちがします。

鳥山百合子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「とびきりすてきなクリスマス」 キングマン作, バーバラ・クーニー絵 岩波書店

エルッキは10歳。仕事中に行方不明になってしまったお兄さんが毎年してくれていたように、妹弟たちにプレゼントを作ろうとします。

弟や妹たちがほしいと言っていたものをどうやってつくったらよいか考えるエルッキ。

物置から板や車輪を持ってきて、お父さんの作業場で作った手押し車。
お母さんのはぎれ袋からこっそり布をもらって、妹がほしがっていた人形を。針と糸はお姉ちゃんに借りて、指に何度も針をさしながら作りました。人形の家は、オートミールの入っていた古い箱でできています。お母さんには、台所の奥で埃まみれになっていたガラスの鉢に、森で見つけた苔をつめ、赤い実のつるをさしたものを。

お父さんはこう言うのでした。
「クリスマスは、プレゼントをもらうだけの日じゃない。大事なのは、プレゼントをあげたいと思う心なんだ」。

さて、エルッキはだれから何をもらうのでしょう。

もうすぐクリスマス。
世界中のこどもたちがしあわせでありますように。

鳥山百合子

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「サンタクロースの部屋」 松岡享子 こぐま社

クリスマスの準備を始める頃、毎年決まって開きたくなる本、「サンタクロースの部屋」。

子どもは大きくなると、いつの頃からかサンタさんが誰なのかを知ります。

この本の中のこの言葉に出会ったとき、“その時”が来るまでは、サンタさんを信じる気持ちを守ってあげたいなあと思ったのでした。

『心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の心の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎えいれることができる。』

『この空間、この収容能力、つまり目に見えないものを信じるという心の働きが、人間の精神生活のあらゆる面で、どんなに重要かはいうまでもない。のちに、いちばん崇高なものを宿すかもしれぬ心の場所が、実は幼い日にサンタクロースを住まわせることによってつくられるのだ。別に、サンタクロースには限らない。魔法使いでも、妖精でも、鬼でも仙人でも、ものいう動物でも、空飛ぶくつでも、打出の小槌でも、岩戸をあげるおまじないでもよい。幼い心に、これらのふしぎの住める空間をたっぷりとってやりたい。』

目に見えない何かや人を信じる信じるちからは、その人の土台をずっと支え続けてくれるものだと思います。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ヒコリみなみのしまにいく」 いまきみち 福音館書店

先月11月に土佐町に来てくれた西村繁男さんといまきみちさん。お住いの神奈川県に戻ってから、いまきさんは絵本を送ってくださいました。

そのうちの一冊「ヒコリみなみのしまにいく」、この絵本は刺繍でできています。海の波も、ヤシの木の幹も枝も、おじいさんが来ているTシャツも、いまきさんがチクチクと一針ずつ縫ったのだそうです。

すごいなあ!一冊の本になるまで、どれだけの時間がかかっているのでしょう。

この本を開くと、いまきさんの穏やかな声が聞こえてくるようです。

またお会いしたいです。

鳥山百合子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
お知らせ

情報求ム!!!

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

情報求ム!!!土佐芝刈唄のハッピを探しています!

色: 黒
特徴:前側の衿に白字で「土佐村」「芝刈唄」と入っている

 

土佐町の無形文化財「土佐芝刈唄」。

土佐町の棚田の名所である高須地区に、その唄い手である池添博喜さんという方がいます。
とさちょうものがたり編集部は、土佐町の素晴らしい伝統文化のひとつである芝刈唄を後世に残していきたいと、池添さんが土佐芝刈唄を唄う姿の撮影をしたいとお願いしていました。

池添さんは「それやったら棚田の前で撮影しよう!」と快諾してくれましたが、その後「先代の池添好幸さんから土佐芝刈唄のハッピを受け継ぎ、唄うときにはハッピを着ていたが、そのハッピをどこにしまい込んだかわからなくなってしまった」とのこと。

せっかくの機会、その黒いハッピを探し出し、ぜひともそれを着た池添さんに土佐芝刈唄を唄ってもらいたい!

他にも持っている人はいないのか?何か知っている人はいないか?頭を悩ませた編集部は、相川地区の仁井田作太郎さんを訪ねました。

作太郎さんは、冒頭写真にある一枚のチラシを探し出してくれました。

なんと、以前、作太郎さんが「芝刈唄を保存しよう」と呼びかけ「土佐村土佐芝刈唄保存会」を作り、そのときに何枚かハッピを作ったのだそうです。そのうちの一枚が、博喜さんが好幸さんから引き継いだもの。

他の数枚は、一体どこへ?!

 

土佐町のみなさま、

どなたか、このハッピを持っている方はいませんか?

どなたか、このハッピについて何か知りませんか?

どんなに小さなことでもいいので、心当たりのある方は、ぜひ、とさちょうものがたり編集部まで!

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「やかまし村のクリスマス」 アストリッド・リンドグレーン作 ポプラ社

クリスマスが近づいてくると読みたくなるこの本、「やかまし村のクリスマス」。

森へ行ってもみの木を切ってクリスマスツリーに、ジンジャークッキーを焼いてひもをつけてツリーに飾るページは、ろうそくの灯りがぽっと灯るような気持ちがします。

小さな頃、小さなクリスマスツリーを出し、サンタさんへの手紙をツリーの元へ置き、母と弟たちと輪飾りを作って部屋に飾りました。部屋は暖かくて、ガラス窓の内側は白くぼんやりと曇り、そこに指で色々な絵を描きました。次の日、曇りがとれた窓にうっすらと残っている指のあと。

今でも思い出すその風景はなんだか懐かしく、子どもたちにもそんな思い出を残してあげたいなあと思います。

鳥山百合子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

西村繁男さん、いまきみちさんが土佐町にやってきた!

 

2018年11月9日絵本作家の西村繁男さんと奥さまのいまきみちさんが土佐町に来てくださいました。

高知県高知市ご出身の西村さん。西村さんのおじいさんが土佐町で暮らしていたので、土佐町に来た時には地蔵寺川で泳いで遊んだそうです。

おじいさんは旧地蔵寺村の村長だった西村繁太郎さん。(今まで土佐町の人から何度も聞いたことがあるお名前だったので、とても驚きました)

 

現在、神奈川県にお住いの西村さんといまきさん。
おふたりが東京にいた頃、高知県の西村さんのご両親から柚子酢(ゆずを絞ったもの)やゼンマイの入ったふるさとの小包が送られてきたことがとても嬉しかったのだそうです。

「西村さんのお母さんがお祝い事の時によく赤飯を炊いてくれたの。それまで私にはそのような習慣がなかったけれど、誕生日などお祝い事があるときは、お赤飯を炊くようになったのよ」。
いまきさんがそう話してくれました。

西村さんのお母さんからいまきさんへ、いまきさんから次の人へ、とその習慣は受け継がれていくのでしょう。

 

土佐町立図書館に絵本を寄贈してくださいました。

 

西村さんは絵本『にちよういち』を制作した時の話をしてくれました。

『にちよういち』を制作した時、西村さんは32歳。この頃は仕事がなくて、高知へ帰るたびに取材していたのだそうです。

 

「どこかに座って行き交う人を人間観察してた。そうしてると見えてくることがあってね。お店の人に袋を売ってる人がいたり、車椅子の人がいたり、誕生日のおんちゃんと言われている人なんだけど、“今日はわしの誕生日じゃきまけちゃお!”っていう名物おじさんがいたり…」。

絵本『にちよういち』の中には、西村さんが登場しています。

「自分だけわかる楽しみ。自分を絵本に入れた。これ僕なんですよ、わかんないでしょ?」とそのページを開いてニコッと笑う西村さんは、いたずらっ子の少年のようでした。

さあ、西村さんはどこにいるのかな?『にちよういち』の絵本を開いてぜひ探してみてください。(ヒント:メガネをかけていて、いまきさんが作ってくれたカバンを肩にかけて立っています。)

 

保育園に入ると、この看板が迎えてくれました。

 

みつば保育園には西村さんの本が何冊もあります。『おばけでんしゃ』『むしむしでんしゃ』『にちよういち』…。テープを貼って直したあとが何箇所もあって、今までたくさんの子どもたちがこの本を楽しんできたことが伝わって来ます。

 

西村さんといまきさんがスライドの準備をしていると、「あ、西村さんや!」と言いながら集まって来た子どもたち。西村さんといまきさんも思わず笑顔になっていました。

 

お話は、いまきさん作『ちびだこたこらす』『とちのき』、西村さん作『おばけでんしゃ』『むしむしでんしゃ』の豪華4本立て!

スライドが始まると、子どもたちは音楽に合わせて体を揺らし、目をキラキラ輝かせていました。

この一体感!

絵本の力はすごいなあ!

 

 

撮影:石川拓也

いまきさんがあとで話してくれました。

「みつば保育園の子たちは繁男さんの本をよく読んでくれているのね。お話の内容がもうわかっているのに、あんなに喜べるのはとても素晴らしいですね」。

 

すぐそばに3歳の子が座っていました。ひとつお話が終わった時にふと目が合って、ニコッと笑ったその子の目は「おもしろいネ」と私に言ってくれているようでした。その子はまた前を向き、西村さんといまきさんを見つめていました。楽しさや嬉しさを子どもはこんな風に表すのだなあと感慨深いものがありました。

 

 

子どもたちからのプレゼントもありました。

 

西村さんといまきさんは、ダンボールに絵本をたくさん詰め込んで持って来てくれていました。

「保育園にない本があったら、遠慮なく選んでくださいね」という言葉に大喜びの園長先生と志保先生。

 

「わあ!これもない。あ、これも!」とたくさんの絵本を手にする先生たち。

 

西村さんは言っていました。

「子どもがいると世の中いいよね」。

 

西村さんの絵本は、子どもたちへの手紙のような存在なのかもしれません。

 

世の中にはいろんな出来事があるんだよ。

たくさんの人がいて、たくさんの場所があって、たくさんの面白いことがあるよ。

それを楽しみに、ゆっくり、ゆっくり、大きくなっておいで。

 

西村さんのまなざしがそう語りかけているようでした。

 

子どもたちが保育園や図書館で西村さんの絵本に出会った時、西村繁男さんといまきみちさんというおふたりが土佐町に来てくれたこの日ことを、ふと思い出してくれたらうれしいなと思います。

西村さんといまきさんとのご縁をこれからも大切にしていきたいです。

 

西村さんといまきさんの絵本は、土佐町立図書館とみつば保育園に並んでいます。ぜひ手にとって楽しんでみてくださいね。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「もりのなか」 マリー・ホール・エッツ 福音館書店

「保育園で “はんかちおとし”、したよ」。
5歳の娘がある日、保育園から帰ってきた時に言いました。

あ、確かこの本にも“はんかちおとし”が出てきたはず。そう思って一緒にページを開きました。

「ぼく」が森へ散歩に行くといろんな動物がついてきて、一緒に歩いて、ひと休みして、誰かがピクニックをしたあとのピーナッツやジャムやアイスクリームを食べたり、かくれんぼしたり…。

そして、

「それから、“はんかちおとし”を ひとまわり しました。」

その文章で「一緒やねえ」と嬉しそうに笑った娘の顔を見たとき、絵本の世界と娘の生活がつながった瞬間に立ち合ったような気がして、何だか感慨深いものがありました。

マリー・ホール・エッツの描く線はとても温かい。もう亡くなっているので会うことはできませんが、エッツの残した作品から本人の人柄や大切にしていたことが伝わってくるようです。

作品を残すことは、私はこのように生きた、というひとつの証でもあるのだと思います。

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone