私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

鳥山百合子

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「水木しげるの娘に語るお父さんの戦記」 水木しげる 河出文庫

水木しげるさんが書いた自分自身の戦争の記録です。

激戦地であったラバウル。左腕を失いマラリアにかかり食べ物もない。そんなときに現地の人が夜にこっそりパパイヤやパイナップルなど食料を運んできてくれたことで生き延びた水木さんは、悲惨な毎日のなかでも現地の人との出会いや出来事をどこかユーモアも持ち合わせて受けとめ、楽しみにもしていました。よくぞ生き延びた、と思います。

 

「ラバウル」。

今まで戦争を体験した土佐町の方たちに当時のお話聞かせていただいたことがありますが、その地名は何度も聞いたことがあります。

『地図の記憶

『ラバウル』

水木さんや土佐町の方たちが当時見つめていたそれぞれの風景に、もしかしたらどこか重なるところがあるかもしれません。

水木さんはラバウルで終戦を迎え、必ずまた戻るから、という約束を戦後30年たってから果たし、そのあと何度もラバウルを訪れたそうです。水木さんのお人柄はこのような姿にもあらわれているように思います。

鳥山百合子

 

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私の一冊

石川拓也

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「おいしいデ」 梅原真   羽鳥書店

この欄でなんども紹介している高知のデザイナー梅原真さん。
近年の仕事を詳述した新刊が羽鳥書店から出版されました。タイトルは「おいしいデ」。 

梅原さんの考え方、仕事ぶりは、おそらくどんな業種の人にとっても勉強になり参考になるんじゃないでしょうか。デザイナーとして単に美しいパッケージを作るということよりも、(多くは高知で)土地と人の中を駆け入って、根本的な視点からアプローチして行く。
 
現場から離れない。地面から離れない。机の上からモノを言わない。その梅原さんがひとつひとつの仕事について丁寧に解説したのがこの一冊です。

石川拓也

書評サイトの記事にて梅原さんご本人を撮影する機会をいただきました。こちらの記事もおすすめです。

 

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私の一冊

石川拓也

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“EPA Graphic Standards System”           Standards Manual

EPAというのはアメリカの環境保護局(Environmental Protection Agency)のこと。

その環境保護局が内部向けに作成していたグラフィック・マニュアルを復刊したのがこの本。

グラフィック・マニュアルというのは例えば‥

・ロゴの使い方
・書類の作成
・使って良い色と使ってはいけない色

などなど、EPAとしてのビジュアル全般をこと細かにルール化したものです。こうやって大元のルールブックを作り、すべての作成物(印刷物に限らず、ありとあらゆるもの)をそれに則ってデザインしていく。

そうすることで対外的なイメージを統一的な強いものにしていく。これはEPAに限らず、イメージ戦略に敏感な企業もやっていることですね。

ビジュアル的にも面白いものなのですが、その根本の考え方が面白い一冊です。

石川拓也

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「ナショナルストーリープロジェクト」 ポール・オースター編 柴田元幸訳 新潮文庫

「とさちょうものがたり」の連載のひとつ「土佐町ストーリーズ」が生まれたきっかけとなった本です。

アメリカの作家ポール・オースターがラジオ番組で募集した、アメリカで暮らす「普通の」人々の実話が綴られています。
私は特に「お祖母ちゃんの食器セット」「青空」というお話が好きです。

毎日の中にある「普通の」出来事が、実はあの時のあのこととつながっていたんだ、とはっとする時があります。
そのことに気づくのは、いつもあとからなのですが。

今日刻むだろう足跡も、これからの歩いていく道のりも、きっといつかこの先で、どこかで何かとつながっているのでしょう。

鳥山百合子

 

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私の一冊

前田清美

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    「 Someday 」 Alison Meghee & Peter. H. Reynolds著 Atheneum Books for Young Readers

 

 

娘が1歳の時に贈った絵本。

親の気持ちは、自分が親になってようやくわかり始めるもの。

いつか我が子も、生まれてきた時、成長していく姿を、母がどれだけ嬉しかったかを知ることでしょう。

前田清美

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私の一冊

中山美月

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リトル・フォレスト(全2巻 )  五十嵐大介   講談社

山間の集落で暮らすいち子が、畑仕事をしながら感じる四季の移り変わりを食と共に語ってくれる物語です。
読んでいるとお腹が空いてくるし、畑や山に収穫に行きたくなる。
自給自足での山暮らしは、現実逃避なのか?本当にやりたい事なのか?いち子の心中で葛藤が続きます。どう決着するのでしょう?

この本は、10月に高知県立美術館でも上映された映画「リトル・フォレスト」の原作です。
美しい映像に魅了されていたので、原作漫画に感情移入できるか心配でしたが、杞憂でした!
自然物に対する写実的な描写、映像と変わりなかった…..。
作者コラムやレシピも載っていて勉強になります。

中山美月

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私の一冊

西原聖子

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「いーとんの大冒険」 なばたとしたか作 ロクリン社

「こびとづかん」の作家、なばたとしたかさんの絵本です。
自分の欲ばかり追いかけていると近くの大切なものを失っちゃうよ、という内容で、まだ小さかった姪っ子に読んであげたくて。

と思ったんですが、大切なものを見失いがちなのは大人の自分ではないか。

と、結局自分に読み聞かせています。

西原聖子

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「せいめいのれきし」 バージニア・リー・バートン作・絵 石井桃子訳 福音館書店

これは、「地球じょうに、せいめいがうまれたときから、いままでのおはなし」です。

劇場を舞台に、銀河系がうまれたとき、古生代、中生代、新生代、現世、このごろひとびとの生活が描かれていきます。

バートンの最後のこの作品は、完成までに8年もかかったそうです。

最後の文章がとても素晴らしいのです。

『さあ、このあとは、あなたがたのおはなしです。その主人公はあなたがたです。

ぶたいのよういは、できました。時は、いま。場所は、あなたのいるところ。

いますぎていく一秒一秒が、はてしない時のくさりの、新しいわです。

いきものの演ずる劇は、たえることなくつづき

いつも新しく、いつもうつりかわって、わたしたちをおどろかせます。』

バートンがこの本に込めたメッセージが伝わってくるようです。

鳥山百合子

 

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私の一冊

渡貫洋介

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「鳥人大系」 手塚治虫 角川文庫

 

大人が読む手塚治虫漫画と言えば、プッダや火の鳥などが有名だ。

大作は数巻にわたるので、夜更けまで読んでしまう。

その点、短編集はちょっとした空き時間に読めるので嬉しい。

これは「鳥」たちが主役の話をまとめたものだが、猫編もある。

渡貫洋介

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私の一冊

鳥山百合子

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「いやいやえん」 中川李枝子作,大村百合子絵 福音館書店

子どもの頃から大切にしていた一冊「いやいやえん」。

作者は昔も今も子どもたちに愛され続けている絵本「ぐりとぐら」の作者、中川李枝子さんと山脇百合子さん。(「大村」は旧姓です)

お二人は姉妹です。

「いやいやえん」の子どもたちが、遠足に行ってそれぞれの山になっているみかんやりんごを食べたり、積み木の「らいおん丸」という船に乗って海へ出かけ、クジラに出会ったり…。その中のひとりになりきっていた自分自身のことを今でもはっきりと覚えています。

お二人の本は、いつもなんだか安心して読むことができます。

楽しかったり面白かったり、悲しかったり怖かったり、ドキドキしたりワクワクしたり…。
本を通してこれから大きくなっていく子どもたちに「この世界はよいところだよ」と伝えてくれている気がするのです。

鳥山百合子

 

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