「風光る」 渡辺多恵子 小学館
幕末という激動の時代を自らの信念を貫いて駆け抜け、散っていった新選組。
新選組にどっぷりハマった時期がありました。
新選組関係の漫画も色々ありますが、私がハマったのはこの「風光る」。
野暮天沖田総司と、そんな沖田に恋する、男装して新選組に入り込んだ女の子、神谷清三郎とのお話。
結末は史実通りなのか、それとも・・・?
和田亜美
著者名
記事タイトル
掲載開始日
山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。
人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。
土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?
みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!
(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)
「ワンダー」 R・J・パラシオ作 ほるぷ出版
私が以前、美術館で出会った小さな男の子。その子を見て、変わったお面をつけてふざけているのかなとほほ笑みかけたら、お面ではなかった。正直、ギョッとしてしまった経験がある。
多分「ワンダー」の主人公オーガストと同じ、“トリーチャーコリンズ症候群”という染色体の先天性異常で、顔や耳の骨がうまく整形されず顔の形が変形してしまう病気だと思う。
一緒にいた家族はごく自然であった。
私の示した反応は、おそらくまちがっていたと思う。
正解もわからず、この本を読む機会を得て一気に読んだ。
オーガストは言っていた。
「自分がふつうの10歳の子じゃないってわかっている。といっても、もちろんふつうのことをするよ。アイスクリームを食べる。自転車に乗る。ボール投げをする。ゲーム機を持ってる。そういう意味でいえば、ぼくはふつう。多分。そして、ふつうの感情がある。心の中はね。だけど、ふつうの子なら公園で会ったふつうの子に悲鳴をあげられて逃げられることはない。ふつうの子なら、どこかへ行くたびにじろじろ見られることもないよね。」
重度の障害をもつ人も、ふつうの人。
そんなわかりきったことを再認識させられた自分に少しがっかりした。
クールなオーガストと様々に個性豊かなクラスメート、とりまく大人たちとのストーリー。そしてハッピーエンド。
映画化もされたベストブックです。
藤田純子
「いたずらこねこ」 バーナディン・クック作, レミイ・シャーリップ絵 福音館書店
生まれた初めて「かめ」に出会ったこねこは、何だろう?と思いながら、ちょっとした恐怖とそれを上回る好奇心でかめに近づきます。
頭と手足を甲羅の中に引っ込め、そして再び手足を出し、歩き始めるかめ。こねこはかめが自分の方へ歩いてくるので、たじたじと後ろへ下がる。
そして、バチャーーン!
かつて幼稚園で働いていた時、クラスの子どもたちとこの本を何度も一緒に読みました。(今はもう本当に大きくなって20歳を超えています!)
こねことかめの一歩ずつを息を呑んで見つめていた目、バチャーーン!と池に落ちるシーンでいつも決まって大笑いしていた子どもたち。
この本を開くと、幼稚園で一緒に過ごしたあの子たちのことをいつも思い出すのです。
また会えたらうれしいな。
鳥山百合子
「泣きたくなったあなたへ」 松浦弥太郎 PHP研究所
『年齢を重ねるにつれて、いろいろなことができるようになります。
たいていのことに、うまく対応するコツみたいなものができてきます。
でもなぜが年齢を重ねるにつれて、不安はより身近に、くっきりと大きくなり、見て見ぬふりができなくなります。
そうしてどんなに疲れていても眠れないのです。
あれこれが目の前に迫ってきます。
将来の不安。自分の弱さ。一日のわだかたまり。
もうごまかしはきかない。しっかりと向きあわざるを得ないのです。歳をとればとるほど…。』
これは、作者のまえがきの一部ですが、この文章に心をグッと掴まれて読み始めました。
気をはらず、無理をせず、自然体でいながら大切なことを忘れない生き方、日々の小さな気づきに向き合う少しの努力…。
優しい人になれそうな気がします。
藤田純子
「ふくろうくん」 アーノルド・ローベル作 文化出版局
座ってお茶を飲むのが大好きで、いつも大まじめ。それでいていつもクスッと笑わせてくれるふくろうくんが大好きです。
この本の中には5つお話があって、その中でも『うえとした』というお話を子どもたちは気に入っています。
「ぼくんちの2かいはどうなっているのかなあ。いっぺんに2かいと1かいにいられるやり方があるはずだぞ」。
そう考えたふくろうくんは、階段をものすごい勢いで一晩中上がったり下がったり駆けどおし。
「ぼくがうえにいるときは、ぼくはしたにいないんだ。ぼくがしたにいるときには ぼくはうえにはいないんだよ」。
ふくろうくんはそう悟ります。
ふくろうくんのような人と一緒に暮らしたらきっと楽しい。
表紙の写真にある羽は、ふくろうくんが階段を駆けのぼったときに抜け落ちた羽。。かな?
鳥山百合子
“New York City Transit Authority Objects” Standards Manual
以前、NASAなどいくつか紹介したデザイン・マニュアルシリーズ。
この一冊は、ニューヨーク市交通局が制作していた様々なものを、若きデザイナーたちが収集して編集して出版して、一般の人の目にも届くようにしたもの。
おかげでなかなか面白いものを見ることができます。
ニューヨークのバスや地下鉄関連の出版物などはもちろんのこと、メトロカードのデザインや地下鉄乗務員の制服、はたまた作業用の分厚い手袋まで。ちなみに手袋は作業で実際に着用した痕跡がはっきりと付いています。
これを一冊にまとめたのはとてつもない”交通局オタク”なんでしょう。
石川拓也