私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

鳥山百合子

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「海べのあさ」 マックロスキー文・絵 岩波書店

ロバート・マックロスキーは素晴らしい絵本の数々を残しています。この「海べのあさ」をはじめ「かもさんおとおり」「サリーのこけももつみ」「すばらしいとき」など、絵も文章もとても美しく大好きです。

「海べのあさ」は、ある日、サリーの歯が一本ぐらぐらし始めたところからお話が始まります。

お母さんと話をして、いつ歯が抜けるのか楽しみに待つサリー。
海べで今晩のスープにするためにハマグリを取りに行っていた時、気づくと歯が抜けていたのです。
歯が抜けてもサリーは買い物に行ってお店の人とおしゃべりをして、アイスクリームを食べて、ハマグリのスープを楽しみに家に帰ります。

大人には「あたりまえ」になってしまったことが、小さな人にとってはどんなことも特別なこと。
毎日は「あたりまえ」なことでできているようですが、でも実はそうじゃない。

マックロスキーのまなざしは、いつもそういったことを思い出させてくれます。

すえの娘の同級生のお友達が何人も歯がぐらぐらしていたり、抜けて大人の歯が生え始めている子がいます。
娘は、自分の歯もぐらぐらするのかな?いつ抜けるのかな?とちょっとドキドキしながらも何だか楽しみにしているようです。

娘の歯がぐらぐらし始めた時、このお話をもう一度読んであげたいなと思っています。

鳥山百合子

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「国民総幸福度(GNH)による新しい世界へ ブータン王国ティンレイ首相講演録」ジグミ・ティンレイ(著)日本GNH学会(編) 芙蓉書房出版

 

「ブータンの名宰相」と呼ばれるティンレイ首相が、2010年に高知(!)を訪れ講演を行った際の講演録です。

GNHを基にした国づくり、理想を掲げつつ口だけの理想論に終わらせないGNHという新しいモノサシについて、その推進役であるティンレイ首相自身が非常に丁寧な言葉で解説しています。とても漠然とした抽象度の高い「幸福度」というモノサシは、政策につながる具体性があってなんぼ。「言ってるだけではダメですよ」とティンレイ首相が発言しているわけではないけれど、行の合間からそんなメッセージを受け取りました。

この講演が高知で開催されたということに、なんらかの巡り合わせの妙を感じます。

 

 

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「つきのぼうや」 イブ・スパング・オルセン 福音館書店

お月さまが夜空にのぼり、ふと下を見ると、池の中にももうひとりのお月さまがいました。

お月さまは月のぼうやを呼び「ちょいと ひとっぱしり したへ おりていって、あの つきを つれてきてくれないか」と頼みます。

月のぼうやは下へ下へと降りる途中、流れ星や飛行機、渡り鳥やこどもたち、魚たちに出会います。

さて、月のぼうやはもうひとりのお月さまを連れて帰ることができたでしょうか?

 
 

まあるいお月さまが美しく見える夜、空を見上げながら、すえ娘が「かあさん、つきのぼうや、どうしてるかな?」と言いました。

あっちにいるかな? それともこっちかな?

つきのぼうやを探して、月明かりに照らされた道を歩きました。

幼い人たちの目に映る月のある風景のなかにはいつも、つきのぼうやがいるのかもしれません。

 

鳥山百合子

 

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私の一冊

石川拓也

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[ブータンで本当の幸せについて考えてみました。「足るを知る」と経済成長は両立するのだろうか?] 本林靖久 (著), 高橋孝郎 (著)  CCCメディアハウス

 

「幸せの国」の民は本当に幸せなのか?

首相フェローとしてブータンで1年間仕事をした高橋氏と、宗教人類学者で僧侶の本林氏がそれぞれの視点からブータンを語る本。

「国民総幸福」「GNH」などの概念で世界に新しい波を起こしているブータンですが、実際のところはどうなのか?

念のため書くと、ブータンの影の部分や問題点を挙げつらう内容ではなく、GNHがただの夢物語にならないように、ブータンが向き合っている現実にフォーカスをあてている本です。

「幸福」などの主観的な概念は、ともすれば夢見心地なキラキラワードで終わってしまいがち。だからこそ「幸福」を一番のモノサシとして国づくりに邁進するブータンのような国は、きちんと現実と向き合おうとしているようです。

石川拓也

 

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「宇宙兄弟」 小山宙哉 講談社

ただいま33巻まで発売されている「宇宙兄弟」。自分の夢だった宇宙飛行士になった兄のムッタ、先に宇宙飛行士になっていた弟のヒビトの活躍や挫折、周りの人たちと関係を築きながら歩んでいくふたりの姿がグッと来ます。

「It’s a piece of cake!」

ムッタとヒビトを宇宙に導いてくれた天文学者シャロンが、自らの手術に向かう前に、月にいるムッタに送ったメール。「大丈夫!余裕です!」というような意味なのですが、この言葉は私の頭の片隅にもいつもあって、おまじないみたいな存在になっています。

楽しかったり嬉しかったり、悲しかったりもう嫌になったり、諦めたり怒ったり、人間はいろんな感情を持ちながら日々を送っています。ため息をつきたくなるようなとき、自分にはどうにもできないことがあるとき、

「It’s a piece of cake!」

大丈夫!きっと何とかなる。

自らに言い聞かせるようにこの言葉を呟くと、さっきより少しだけ、顔を上げられるようになるのです。

 

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私の一冊

西野内小代

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「日本国憲法」なのだ! 赤塚不二夫・永井憲一 草土文化

一見、子ども向けのように見えますが、十分に一般対象として活用できます。

後半にはおふたりの対談も掲載され、資料は振り仮名付きなので子どもたちも読むことが可能です。

社会科で習った程度の微々たる知識しかないので、入門書としてとても手に取りやすい本のように感じました。

西野内小代

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私の一冊

鳥山百合子

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「どろぼうがっこう」 かこさとし 偕成社

今年5月に亡くなった、かこさとしさん著「どろぼうがっこう」。

学校に通う生徒たちが立派などろぼうになれるよう“くまさかとらえもんせんせい”が「どろぼうをやってこい」と宿題を出します。

生徒たちは、ありの巣からたまごを取って来たり、学校の黒板を取って来ちゃったり、くまさか先生の金時計をしっけいしたり。

かこさとしさんのユーモアは、いつも安心してクスッと笑えます。

 

リズム良い文章は、読んでいても楽しいです。

この本を読むことに私はかなり自信があるので(どろぼうになりきるのがポイント。子どもたちがクスクス笑いながら聞いてくれるのがうれしい)、
夜寝る前に子どもたちがこの本を持って来たときは、かなり張り切って読みます。

私がこの本を読みたくて、今日はこれね!と自ら選ぶときもありますが。

読み終わった後、読んだ人も読んでもらった人も「あー、楽しかった!」って思えるのは、とても気持ちがいいのです。

鳥山百合子

 

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私の一冊

西野内小代

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「フランス人は10着しか服を持たない」 ジェニファー・L・スコット 大和書房

 

私はこの本を断捨離の海外バージョンとしてとらえました。

一年前に土佐町へのUターンを決意した時、20数年ため込んだ荷物を整理して荷造りをする必要が発生、一年ほど手前から断捨離の開始です。

その時、とても刺激になったのがこの本です。

どんどん処分、まだまだ使えそうな品質の良いものは、欲しい方の手元に嫁いでいきました。

スッキリそしてこじんまりと引越しできた思い出があります。

ささやかな幸福の中、自分の歩幅を大切に生活する日常の大切さを再認識させられた一冊です。

西野内小代

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私の一冊

石川拓也

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“NASA Graphics Standards Manual”           Standards Manual

先日紹介した”EPA Graphic Standards”の姉妹書。
こちらはNASAが内部用に発行していたデザインマニュアルを書籍化したものです。写真にあるように車体へのロゴの置き方や色の使い方まで指定してあります。スペースシャトルや人工衛星へのロゴの置き方も載っています。スペースシャトルのかっこよさは、機体そのものだけでなく、こういったグラフィックからのアクションも大きく影響していることがわかります。このかっこよさ、NASAにあやかってTOSAもできるかな‥‥笑 

興味深いのは、先のEPA本もそうですが、これを書籍化したのがアメリカの若いデザイン事務所であること。クラウドファンディングで資金を募り、出版し、きちんとビジネスとして成立させていること。

「いろんな人がいるなあ」という言葉を、100%ポジティブな意味で呟きました。

石川拓也

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私の一冊

鳥山百合子

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「水木しげるの娘に語るお父さんの戦記」 水木しげる 河出文庫

水木しげるさんが書いた自分自身の戦争の記録です。

激戦地であったラバウル。左腕を失いマラリアにかかり食べ物もない。そんなときに現地の人が夜にこっそりパパイヤやパイナップルなど食料を運んできてくれたことで生き延びた水木さんは、悲惨な毎日のなかでも現地の人との出会いや出来事をどこかユーモアも持ち合わせて受けとめ、楽しみにもしていました。よくぞ生き延びた、と思います。

 

「ラバウル」。

今まで戦争を体験した土佐町の方たちに当時のお話聞かせていただいたことがありますが、その地名は何度も聞いたことがあります。

『地図の記憶

『ラバウル』

水木さんや土佐町の方たちが当時見つめていたそれぞれの風景に、もしかしたらどこか重なるところがあるかもしれません。

水木さんはラバウルで終戦を迎え、必ずまた戻るから、という約束を戦後30年たってから果たし、そのあと何度もラバウルを訪れたそうです。水木さんのお人柄はこのような姿にもあらわれているように思います。

鳥山百合子

 

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