「カメラを止めて書きます」 ヤン ヨンヒ CUON
過日、ずっと観たいと思いながらその機会を逸していたヤン ヨンヒ監督のドキュメンタリー映画「スープとイデオロギー」を観ることができました。
済州島出身の両親を持つ、日本生まれ日本育ちのヨンヒさん。3人の兄を北朝鮮に「帰国」させたのをずっと恨みに思い、でも両親にその思いをぶつけることはできず、「帰国」させたことを本当はどう思っているのか両親に尋ねることは憚られ…。時にユーモアも交えながら、国家に翻弄された家族の歴史を描きだした素晴らしい映画でした。
この「スープとイデオロギ―」の前に撮られた「ディア・ピョンヤン」、「愛しきソナ」と合わせ、家族ドキュメンタリー三部作のなかでは撮ることのできなかった様々を「カメラを止めて書いた」のがこのエッセイです。
家族の映画を撮り発表するたびに、家族と会うことができなくなったヨンヒ監督。それでも「家族は消えない、終わらない、面倒でも会えなくても死んでも家族であり続ける」実感を持ち続けることができたのはどうしてか。何が彼女を支え、強くし、今のヨンヒ監督を作り上げてきたのかが、丁寧に綴られています。
機会があれば映画もぜひ観てほしいなぁ…。