「テンプル・グランディン 自閉症と生きる」 サイ・モンゴメリー著, 杉本詠美訳 汐文社
コロラド大学准教授のテンプル・グランディン博士は大柄で力が強く、自信にあふれて見えます。けれども本当は、自閉症を抱えている内気な女性です。専門は動物学。非虐待的私設の設計者として活躍しており、過去にはタイム誌の「世界で最も影響力をもつ100人」に選ばれたこともあります。
グランディン博士の生い立ちと、物事を「絵で考える」という特性を生かし、動物虐待防止の観点から彼女が設計畜産施設や食肉処理用の設計システム、そしてそれらが受け入れられる過程などが詳細に紹介されています。 畜産施設や食肉処理場に動物虐待の視点が必要などとは考えたこともありませんでしたが、「家畜によい一生を与えてやることは、私たち人間の務めである」と、家畜動物の福祉の必要性を説く言葉は、どれも記憶に刻まれる言葉ばかりでした。