花粉が飛び交う時期がやってきた。
春には申し訳ないけれど、杉花粉症の僕にとって、気が滅入る季節だ。
見ると、向かいの山々には杉が立ち並び、風が吹くたびに黄色い花粉が舞っている。
年々、新たな方法を試してはいるが、僕の症状に対する効果的な対処法にはまだ出会っていない。
今年は、特に花粉の量が多いらしい。
それも影響してか、例年より目の痒みや鼻水の症状が酷い。スマホやPCのスクリーンを見ていると、目が充血して、痒みやゴロゴロ感が増してくる。そこを無理して続けていると、状態は益々悪化し、不快感で目を開けていられなくなるほどだ。
こうなると作業の続行は不可能。スマホをテーブルに置いて、ラップトップを閉じ、目も閉じてしばらくジッとする。
すると真っ暗になった僕の視界の代わりに、周囲の音が耳に入ってくる。
山から聞こえる鳥たちの鳴き声
水瓶に注がれる山水の音
台所からは包丁のリズミカルな響き
末娘が人形とおしゃべりしている可愛いらしい声
それらは色や温度すらも感じさせる美しい音色だった。
様々な音を堪能して、そっとまぶたを開ける。
暗闇から解放された目に飛び込んできたのは、どこまでも青い空と緑が芽吹きはじめた山、そして僕たちの暮らしだった。
スマホやPCでインターネットを操作して、遠方で起こる出来事に心と時間を消費し、溢れる情報や他人の意見に引っ張られる。そんなことに慣れてしまうと、一番大事なはずの身の回りの日常が見えづらくなっていく。
僕にとって本当に大切なものは、なんだ?
花粉症が、問いかけてくれた。
そう考えれば、これからもこの症状とうまく付き合っていける(かもしれない)。
読むだけで目が痒くなりそうな過去記事はこちら↓