「美しい川」 高橋宣之 小学館
「水が透明であるという喜びを知っていますか」
尊敬すべき先輩写真家・高橋宣之さんの写真集です。
ご存知の方は特に高知には多いと思いますが、高橋さんは仁淀川を撮り続けている写真家。「仁淀ブルー」という言葉はこの人の仕事から生まれました。
この本も川の美しさを冷凍保存のように切り取った写真で構成されています。一枚一枚の写真の美しさもさることながら、「川を撮る」という場合の、視点のバリエーションの豊かさに驚かされます。
言ってみれば、あるときは虫の眼になり、あるときは魚の眼に、鳥の眼で撮られたものもあります。そう考えると、この本自体がひとつの生態系を成しているようにも感じます。
「川」とひと言で言った時に、これほど豊かな撮り方がひとりの写真家の内部で息づいている。そのこと自体が真似のできることじゃないよなぁ、とため息の出る思いです。