「それぞれの終楽章」 安部牧郎 講談社
本棚にあった一冊で、昭和62年発行だから、30年以上前になります。作者紹介をみても、何も書いておらずスマホで調べてみた。85歳で死去。
推理小説、官能小説、野球小説等、多岐にわたって書いていて直木賞候補には何度もあがっていたらしい。「直木賞受賞」にひかれて読みました。でもなんで読んでなかったろう?
主人公は矢部宏、小説家、50歳。親友だった森山が自殺した。通夜に出るため故郷に帰った。友人の借金の保証人になっていたのだ。1億円以上の負債をかかえていたのだ。その上愛人と子どもまでいるという。通夜の席で同級生たちに会い、中学、高校の頃が苦い思い出とともによみがえってくる。
森山とは音楽も一緒によく聞いた。シンフォニーの弟三楽章で幕を閉じてしまった。矢部は終楽章を聞くことができる。もうそれははじまっていると。
私も楽しい思い出とともに苦い思い出もいっぱいある。終楽章がとっくにはじまっている身としては、今を大事に生きていきたいと思う。