梅雨の季節になったら思い出すことがあります。
制服が夏服になった中学三年生の六月中旬の土曜日(学校は土曜日半日だった)、下校途中の橋(南泉地区へ帰るには、50㎝位の幅の木の板をつないで並べただけの危ない橋でした)を渡っていると、アヒルが川を泳いでいた。
私は何故かそのアヒルをつかまえたくなり、カバンを置いて制服のまま川へ入った。梅雨時なので水量は腰のあたりまであり、スカートはボッタリ濡れてしまい、重くて水の中を歩くのは大変だった。それでもアヒルを何とかつかまえたい私は、川下へと追い回していたけれど、ひとりでは所詮無理な挑戦だった。
しばらくアヒルと格闘していると、二年下の「ヒロくん」が、通りかかった。ヒロくんは普段からやさしい男の子で、私が制服のままアヒルとおっかけっこしているのを見かねて、制服のまま川に入って来てくれた。二人になったらこっちのものだ。
ヒロくんと私は、川上と川下から挟みうちでアヒルを捕まえることが出来た。
私は、アヒルを胸に抱いて、びっしょり濡れた制服のまま家へ帰った。
母にアヒルを見せて、捕まえた事を喜んで話すと「馬場の人が飼いよったアヒルが逃げたと言って探しよったき、返してきや」と、いともなげに言い放った。
私は「こんなになってまでして捕まえたのに」と言うと「アヒルをどうするつもり?」と聞かれた。
「エーッ」と、飼う?食べる?ただ、川にアヒルがおったき、つかまえただけよと思った。
馬場へアヒルを抱いて行ったら喜んでくれた。良いことしたね。
その後、制服のスカートを、アイロンをかけながら乾かして、寝敷きして大変だった。
教訓、「川で何か見つけても制服で入らない事」。
式地健男
そんな事あったんやー ほのぼのやね〜
西村真弓
ヒロくんは、覚えているだろうかねぇ❗