「星の王子さま」 サン=テグジュペリ著 池澤 夏樹訳 集英社文庫
遠く離れた異星に一人で住む王子さまが、宇宙の星を回る中で地球を訪れる物語。厳密にいえば、その王子さまの体験談を地球に住む”ぼく”が聞くお話。
自らの星で大切にしていたバラとの喧嘩をきっかけに、世界へと旅に出た王子さま。いくつかの星を訪れますが、出会う人は独特の価値観を持つ変な大人ばかり。
花や動物も話せる世界観の上、王子さまの感性も天然なもので、終始ふわふわとした感覚に襲われます。
でも、ところどころに、とてつもない力を持った名言…強い思いが表現されています。
「それはね、ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていうことなんだ。大切なことは、目に見えないからね」
出会いや別れ、価値観といった、人生のキーワードが散りばめられているこの作品。
これまで培ってきた、自分の人生観について考えさせられると言っても過言ではありません。
ファンタジーに包まれた雰囲気の中で現実を語る、そんな不思議な不朽の名作です。
式地涼