「どうぶつサーカスはじまるよ」 西村敏雄作 福音館書店
「母さん、このプツプツ、なんだろう?」
長女が4歳だった時、手のひらを広げて、私に見せに来ました。手のひらには赤い発疹がいくつか。「あれ?なんだろうね?」そう言っている間に発疹はどんどん増え、顔やお腹、足に広がっていきました。次第にその点同士が繋がって、全身は紅色のまだらの斑点で覆われました。熱もどんどん高くなる。呼吸も乱れ、ぐったりとしている娘。
その症状を見て、思いました。まさかと思うが、間違いない。多分、麻疹だ…。
熱の塊になっていた娘をおんぶして病院へ。お医者さんは「あれ?はしかかな?でも背中に発疹がないのがおかしいね…」と言います。多分予防接種をしていたから、背中は斑点が出なかったのではとのこと。結局、血液検査で麻疹だとわかりました。
麻疹は感染力が強いため、治るまで外に出られません。治るまでどうやって過ごそう…。
先が見えず途方に暮れていた時、本屋を営む知人の顔が浮かびました。
「思いっきり元気になれる、楽しい気持ちになれる本を送って!」
その注文に応えて、送ってくれたのがこの本でした。
パンパカパーン、パンパンパン、パンパカパーン!で始まるどうぶつサーカス。馬のダンスやワニの組体操。ライオンの火の輪くぐりでは、ライオンの毛が燃えていました(笑)。空中ブランコでは、怪我をして出られなくなった猿の代わりにお客さんのぶたが宙を舞う。いい意味でのんきで楽しい動物たちに、どんなに励まされたか!
一緒に笑うことで不安やしんどさを吹き飛ばし、麻疹の日々を何とかやりくりしていました。今となっては、たまらなく懐かしい思い出です。