「十二単衣を着た悪魔」 内館牧子 幻冬舎
「源氏物語」は、中学校の古典の授業で初めて触れた方が多いと思います。登場人物が多く、人間関係も複雑で、長い物語です。「あさきゆめみし」の方がむしろ馴染みやすいのかもしれません。かく言う私も、実は現代語訳を全部読んだことはありません。
これは、あの「弘徽殿(こきでん)の女御」目線の物語です。彼女にはどうしても光源氏の母(桐壺の更衣)を虐めた女御という悪いイメージが強いのですが、こんな風に描かれると違った人物に見えてきて、魅力的な人間にも思えてきます。もう一度「源氏物語」を読んでみようかなという気になりました。
矢野信子