「富士山うたごよみ」 俵万智 短歌,文 U・G・サトー,絵 福音館書店
自転車のカゴからわんとはみ出して 何か嬉しいセロリの葉っぱ
今日までに 私がついた嘘なんて どうでもいいよというような海
はなび花火 そこに光を見る人と 闇を見る人いて並びおり
さよならの形にススキが手を振って 駆け抜けてゆく 風の輪唱
落ち葉踏む音を比べて歩く道 しゃかしゃかはりり しゅかしゅかぱりり
湯からあげ タオルでくるむ 茹でたての ホワイトアスパラのようだね
藤田純子
著者名
記事タイトル
掲載開始日
山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。
人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。
土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?
みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!
(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)
「ヴィオラ母さん」 ヤマザキマリ 文藝春秋
漫画「テルマエ・ロマエ」を描いたヤマザキマリさんが、自分を育てたお母さんのことを書いた一冊。
現在86歳というお母さんが20代の頃、まだ女性が仕事を持つということが難しかった時代に「やりたいことをやる」とヴィオラ演奏家になり北海道へ移住、各地で開かれる演奏会をこなしながら、なかなかのハチャメチャぶりで二人の娘を育てていく。「これはすごい…」と思わず唸ってしまうような出来事の数々がこれでもかと飛び出して来ます。
当時、女性が自分の思いを貫き通すことは相当の覚悟がいることだったでしょうし、並大抵のことではなかったと思います。そのお母さんのそばでマリさんは、お母さんの背中をちゃんと見ていたのだとわかります。
「鼻息荒く駆け抜ける野生の馬のように自分の選んだ仕事をし、子供を育てて来た一人の凄まじき女の姿を思い浮かべてもらうことで、自分や子供の未来に対してどこまでも開かれた、風通しの良い気持ちになってくれたら嬉しく思う。」
もう一度「テルマエ・ロマエ」を、そして他の著書も読んでみたくなりました。
鳥山百合子
笹のいえはこれまでいくつかの取材を受けたことがあって、その記事を見てくれた人がふらりと寄ってくれることがある。たいていの場合、僕か奥さんが居るので、敷地内を見学してもらったり家を案内したりする。でも、たまたま家族で出掛けていて不在なことや、作業で忙しく時間を取るのが難しいこともある。「興味があるんだけれど、突然行くのは気がひける」という方もいた。
そういえば、知り合いのシェアハウスでは、オープンデーというイベントを開催して、その日は誰でも自由に出入りできるようにしてるらしい。笹でもやったらどうか。と奥さんが言ったので、それじゃあ、やってみようということになった。
日にちを設定して、「あるもんでキッチン」と不用品を持ち寄るフリーマーケットも同時開催にした。
Facebookでイベントページを公開したとき、ふと心配になった。
「誰も来なかったら、どうしよう」
細い山道を不安になるくらい進んだ先にある笹のいえ。しかも、平日。果たして、来る人はいるのだろうか。
まあ、どちらにせよ、お昼ご飯は作るんだし、ひとりも来なくてもいいじゃない?と奥さん。
作業で慌ただしい毎日だけど、来るか来ないかわからないお客さんをゆっくり待つのもいいか、と僕。
とりあえず、家を掃除して、来客に備える。いつも散らかっている部屋が片付くのは、お客さんが来る最大のメリットだったりする。
そのうちにひとり、またひとりとお客さんがやって来た。友人が過半数ではあったが、市内などからはじめていらっしゃった方たちもいた。こんな遠いところまでわざわざすいません、と自分で企画しておいて恐縮してしまうのが可笑しい。挨拶もそこそこに、台所のかまどに火が入り、お昼ご飯作りがはじまる。持ち寄った食材を、皆で調理していく。僕は末っ子を抱っこしながら、移住までの経緯をお話ししたり、五右衛門風呂やコンポストトイレなどについての質問に答える。
5月6月と一回ずつ開催したが、どちらにも10名を超えるお客さんが来てくれた。女性が多いが、男性や子どももいる。6月のときは乳児が数名いて、皆でかわるがわる抱っこしたり、あやしたりして、なんだかちょっとしたコミュニティみたいだった。お昼を食べてお腹いっぱいになったところで、ひとりずつ自己紹介をすることにした。「笹のいえの暮らしを見てみたかった」「オーガニックな食に興味がある」「農的暮らしや移住を考えている」など、参加した理由は様々だった。お客さん同士のおしゃべりから共通点が見つかり、連絡先を交換している姿もあった。
特に時間は決めていなかったので、それぞれの都合の良いタイミングで解散。三々五々人が集まり、三々五々帰っていくのを自分の家で見ているのは、なんだか不思議な感じだった。
笹の風通しを良くするために、そして家を片付けるためにも、続けていけたらと思う。
写真は本文とは関係ないのだけれど、木臼の中で気持ち良さそうに昼寝をするイネオ。まるでお風呂に入っているようだ。
「日本の文脈」 内田樹, 中沢新一 角川書店
内田樹と中沢新一。二人とも1950年生まれの同学年という思想家が、さまざまな機会に対談をしたものを綴った対談集。
内田樹は、古武道や能を通して「中世の日本人の体の動かし方を知りたい」と考える。その先には日本人の精神性の大元はどういうものだろう?という疑問がある。
中沢新一は、「アースダイバー」の著者。元々はチベット密教を体験体得し、それを科学的に、なお且つ平易な言葉で表現できる人。その地点から「日本とは?」という問いを発する人。
だいぶ乱暴な説明になってしまいましたが、この二人、アプローチは全然違うのに考えていることは大きく共鳴しあっているようで、それが対談を通して伝わってきます。
特に日本文化に対する眼差しは厳しくて温かい。「日本文化の中心は実は空っぽで空洞です。本質はその周縁部にある。」といったような指摘は思わず「なるほど」と手を叩いてしまいました。
「とさちょうものがたり ZINE 」は、一定期間の無料配布の後に増刷し、バックナンバーとして販売を行なっています。
ありがたいことに「とさちょうものがたり ZINE」を販売してくださるお店が少しずつ増えてきました。今日は大阪府吹田市と高知市で販売してくださっているお店を紹介します。
1976年にオープンした、作家の落合恵子さんが主宰する「クレヨンハウス」。クレヨンハウス大阪店で「とさちょうものがたりZINE」を販売していただいています。
2階へ上がる階段の途中にある本棚に並んでいます。
以前から無料配布を引き受けてくださっていたクレヨンハウス大阪店。販売したいと相談すると、快諾してくださいました。店長の山本さんが「土佐町のことを通して、人として大切なことや普遍的なことを取り上げているのですね」と言ってくださったことは、私たちにとって大きな励みになっています。
先日、シルクスクリーン・ワークショップを行ったTSUTAYA中万々店。とさちょうものがたり編集長の石川が撮影した写真と土佐町オリジナルTシャツがゆらゆら揺れるなかで「とさちょうものがたりZINE」やTシャツ、CD「Live in 土佐町」を販売してくださっています。
イベント時にお世話になったTSUTAYA中万々店の水谷さんは、下田さんの著書を以前から持っていたそうで「土佐町のTシャツの絵を描いた下田さんの本も一緒に販売しましょう!」と言ってくださいました。
中万々店オリジナルグッズを作ったり、本に手書きのポップを付けたり、店員さんの「熱」を伝える工夫が散りばめられているTSUTAYA中万々店。
ぜひ足を運んで見てくださいね!
みなさま、いつもとさちょうものがたりのシルクスクリーン事業を応援していただきありがとうございます。
今年度は、れいほく博という一大イベントのポロシャツを製作させていただいていることもあり、最近では生産がなかなか追いつかないほどの発注をいただいております。ありがたや。お待たせしてしまっている方々は、すみませんがもう少しお待ちいただけるとありがたいです。
嬉しい悲鳴が、少しずつ本当の悲鳴になってきそうな今日この頃、このシルクスクリーン事業に新たな仲間が増えました。
それが大豊町のファーストさん。正式には「就労継続支援B型ワークセンター ファースト」。
最近では職員さんを含めた3人のチームで、週3回ほどシルクスクリーンのお仕事をしに作業場まできていただいています。
この日は、下田昌克さんが描いてくれた「おおくまたか」をTシャツに印刷しました。ファーストのみなさんが作業場に来るたびに上達していく様子が頼もしい。
先ほど書いたように、今年度はれいほく博という嶺北地方のイベントのポロシャツを製作販売することで、土佐町の枠を超えた4町村の方々から多くの発注をいただいています。
折しも、現在はちょうど大豊町役場のみなさまからの発注分(160枚という大量の発注をいただきました。ありがとうございます。)をせっせと作る日々。
そこにファーストさんが参加してお仕事をしてもらうことで、大豊町の方々から頂いたものを、可能な限り大豊町に戻すという循環が可能になります。
そうやって少しずつ循環の輪の質を高くしていった結果として、関わる全ての方々が笑顔で楽しんで、同時にきちんと稼げる場所にしていきたいと考えています。
土佐町には年に一度、11月に「さめうらの郷 湖畔マラソン」という名のマラソン大会がありまして。
地元の方には略して「湖畔マラソン」と呼ばれております。
その名の通り、これはさめうらダム湖の周囲を回るマラソン大会なのです。
当日には毎回町内外から総勢1200人のランナーさんが集結します。トップ争いのランナーさんたち、自己記録更新を目論む方々、もしくはマイペースで風景を楽しみながら走る方々など、たくさんの人々が様々に思い思いに湖畔周回のコースを楽しむ熱い大会となっております。
その11月10日(日)の開催に先立って、本日8月1日より大会参加募集が開始しました。湖畔マラソンを走ったことがある方もない方も、奮ってご参加お待ちしています。
昨年度の湖畔マラソンから、とさちょうものがたりは大会記念Tシャツを製作販売させていただいています。
製作はもちろん、土佐町と嶺北の障がいを持った方々がシルクスクリーンで印刷します!
以下が2019年度バージョンの背中の絵柄。いかがでしょう?
背中の図柄、2019年度のタイトルは”THOREAU”(ソロー)。
生命を育む樹木を中心に、土佐町に生きる動物たちを表しています。
円上部には”SAMEURA KOHAN MARATHON TOSACHO, KOCHI 2019″(さめうら 湖畔マラソン 土佐町 高知 2019)。
円下部には”LIFE IN US IS LIKE THE WATER IN A RIVER – HENRY DAVID THOREAU”。
「水で活きる」をテーマに掲げる土佐町にちなみ、19世紀アメリカの哲学者・作家であるヘンリー・デイヴィッド・ソローの「私たちにとって命とは、川にとっての水である」という言葉を印刷しています。
このTシャツは、「さめうらの郷湖畔マラソン大会」参加者限定のものとなっております。みなさまぜひこのTシャツで湖畔マラソンを走ってください。
以下は具体的なインフォメーションです。
●素材 ポリエステル100% ※吸水速乾性と紫外線カットをかなえる高性能ドライTシャツ
●色 グリーン
●料金 ¥2,500-
●ご注文は以下のリンク(またはパンフレット)より、大会参加申し込みと同時にお願いいたします。
●大会参加のお申し込みは8月1日から9月20日となっております。
※とさちょうものがたりウェブサイト並びに土佐町役場ではご注文いただけませんのでご注意ください。
・大会パンフレット(最寄りのゆうちょ銀行または郵便局)
※大会パンフレット(申し込み用紙)をご希望の方は、土佐町教育委員会までご連絡ください。電話: 0887-82-0483
たくさんのお申し込みをお待ちしております!
ちなみに以下は昨年度のTシャツ & 大会レポートです。