2019年12月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

川村房子

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「自閉症のうた」 東田直樹 角川書店

自閉症である彼が書いた本を英訳したイギリス人作家との交流、メールのやりとりがQ&Aの形式で書かれている。

作家自身も自閉症の子どもを育てているので質問も具体的。他に「自閉症のうた」「旅」の二編が掲載されている。

作者は言葉としてしゃべる事ができないし、自分で文字にする事もできない。12歳から24歳の現在まで20冊以上の本を出版しているが、それは文字盤ポインティングやパソコンを使って表現しているとのこと。内に秘めているものは大きい。

この本を読んで、自閉症のの人たちと交流のある私は参考になった。

是非読んで欲しい一冊です。

川村房子

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4001プロジェクト

仙田聡美

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季節の焼き菓子orioriの仙田聡美さん。11月に開催した「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店」の紹介記事のために、実際にお菓子作りをされている場にお邪魔しました。

お家に入ったとたんに立ち込める焼き菓子の良い匂い!町のあちらこちらで見かけるお菓子のできあがる様を目の当たりにできたのは貴重な体験でした。

とても楽しそうに仕事する聡美さんが印象的で、これは土佐町の多くの人にも言えることですが、

好きなこと x 地元の材 x ビジネス =

この方程式で仕事が成立しているのは、見ていても楽しいことだなあと思います。

 

 

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私の一冊

田岡三代

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「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ 文藝春秋

今まで、自分より年上の作家の方が書いた本を読む傾向にありましたが、好きな作家の方々も、ご高齢になり、中にはお亡くなりになった方もいて、これからは、最前線で書かれている方の本も読んでみようと手に取った本です。

主人公の十七歳の女の子には、父親が三人、母親が二人。

そのたびに名字が変わる。

数奇な運命と考えがちですが、いつも回りから愛され、淡々とその流れの中で生きていく。

境遇を受け入れる力と、人間の持つ温かさを信じた視点にほっとしました。

田岡三代

 

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4001プロジェクト

澤田順一・みどり・光

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相川の花農家である澤田さん一家です。代々この相川の地で農家さんだった澤田家、順一さんがハウスでの花栽培をスタート、現在は2代目にあたる息子の光くんが後継ぎとして勉強中です。

先月、みどりさんにお願いして、とさちょうものがたり編集部はトルコキキョウを100本仕入れさせていただきました。「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店」ではその100本を、来場したお客様にプレゼント。これが好評で、午前中1時間で瞬く間になくなりました。

イベントの趣旨が「土佐町の山の空気をそのまま届ける」ことだったので、そのとても大切な部分を澤田さんのトルコキキョウはしっかりと担ってくれました。土佐町の土で育ったお花が手に入るということはとても大きなことです。

 

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私の一冊

矢野ゆかり

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「精霊の守り人」 上橋菜穂子 偕成社

初めまして。名字でお気づきの方がいらっしゃいましたら、さすが土佐町、田舎のネットワークの凄さでしょうか。私の母は私がとても小さな頃から物語を語り読ませてくれました。母の1冊は私の1冊でもあります。

『まゆとおに』『14ひきのかぼちゃ』次は私が、誰かに物語るのでしょう。

さて、私の1冊目は私の運命を変えた本。この本がなかったら、私はわたしではなかったという本。『精霊の守り人』。この本はアニメ化や漫画化、NHKで実写ドラマ化もされ、知る方も多いのではないでしょうか。『守り人シリーズ』として外伝も含め10冊以上の物語でもあります。

私がこの本に出会ったのは忘れもしない、4年生の晩秋の放課後でした。今は廃校になった森小学校の図書室。昼休みに友人から勧められ、この本を手に取りました。ちょっと様子を見るつもりで、面白くなかったら返そうと思いながら、西日にページをあてました。ランドセルも背負ったままで。そして気がつくと見回りの教頭先生が、肩を叩いていました。周りは真っ暗で日が暮れていました。急いでその本と続編を借りて、家の勉強机で必死にページをめくっていました。

『精霊の守り人』は児童書ですが、主人公の凄腕女用心棒バルサのシンプルな強さ。タンダの包容力。トロガイ師の深い知性。チャグムの成長。登場する人物全てを引き立てる世界観。今まで読んだどんなファンタジーとも違うと感じました。作者がどのような人か、知りたいと思ったのもこの本が最初でした。著者は、民俗学研究をしておりアボリジニについて研究していました。しかし、彼女はアボリジニの文化に敬意を払い、決して自分の著作に流用はしないそうです。私はゼロから物語を作り出した著者のように、既成の価値観にとらわれないように、自分で自分の考えを持とうと思うようになりました。そしてバルサのような強くてカッコイイ女性になりたいと強く憧れました。中学校から大学まで剣道を続けたのも、バルサのような女性になりたいというのがあったからです。大学選びの時にも、民俗学に触れてみたい、世界を包む文化を学びたいという理由から、文化学部を志望し、志望動機にこの本の事を書きました。

『精霊の守り人』との出会いから10年以上経ちますが、今まで何度も読み返しました。読む度に理解が深くなり、新たな解釈が出来るようになっていきました。ジェンダーについて、差別について。宗教観についてetc. その度に私は初心に帰り、自分の視野の狭さを知ります。そしてバルサに憧れて始めた剣道でも、大学時代になぜ剣の道なのか改めて考えるようになりました。物語の中でバルサはひとかどの武人として、その界隈でも有名な人物として描かれています。しかし用心棒として人を守るために殺し恨まれ、命を天秤にかけ、その行為に深く傷つき、それでも戦いたいという内に眠る凶暴性が彼女を苦しめます。この衝動や暴力的な気持ちは、実際に剣道をしていても感じる時があります。つまり、体の強さや技術に伴って強くなる勝ちたいという衝動性や勝つためなら手段を選ばないという凶暴性を抑えるからこそ、道になるのではないかという理解にたどり着きました。更にバルサの深い苦しみと業を、ここまでリアルに描くことの出来る著者の見識と、観察眼は滅多なもので手に入るものでは無いと思いました。

さて話はかわりますが、今私はバルサのような女性になれたのかと、いつも考えています。なぜなら、もう少しでバルサが物語に登場する年齢になるからです。どう転んでも、バルサのようになれていない。私は心を患ってしまったし、他に持病も持っている。剣道も弱い。でも今まで、自分はベストを尽くした選択の末にここにいる、という気持ちは強くあります。バルサも小学生の頃憧れた、清く正しい正義のヒーローではありませんでしたし、等身大の同じ女性でした(ただし、とんでもなくカッコよくて強くて思い切りがいい)

何度も読んで、私も大人になって、それがわかって本当に良かったと思います。私はまだまだ頑張れる。バルサのような強くてカッコイイ女性になれると思えます。そしてまた私は何かのきっかけで『精霊の守り人』を手に取るのでしょう。あの、西日の当たる図書室でワクワクした気持ちを思い出すために。

矢野ゆかり

 

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土佐町南川地区で作られている「南川百万遍味噌」。

土佐町をはじめ、高知県内の産直市やスーパーなどで販売されています。

南川地区のお母さんたちが麹を作り、大豆を蒸して作ったお味噌はとても美味しい。しかし近年、作り続けてきた方たちの高齢化や体調の変化などにより、作ることのできる人が減っています。

2年前に味噌作りのお手伝いに行き、休憩時にお弁当を広げていると、水野和佐美さんが「よかったら食べてみや」とおすそ分けしてくれたのは南川百万遍味噌と山で収穫した柚子で作ったという柚子味噌でした。それはごはんが何杯でも食べられるほどの美味しさでした。

お話しながら、和佐美さんに作り方を教えてもらいました。

 

 

和佐美さんは作った柚子味噌を「持って帰りや」とお土産に持たせてくれました。

身の回りにあるものを工夫して大切に使い、あらたな美味しいものを生み出す。お母さんの台所の知恵は深く、ゆたかです。

もうすぐ南川百万遍味噌を作る時期がやってきます。

今年もお手伝いに行くことができたらと思っています。

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私の一冊

鳥山百合子

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「エルマーと16ぴきのりゅう」 ルース・スタイルス・ガネット 著, ルース・クリスマン・ガネット絵 福音館書店

エルマーとりゅうの最後のお話。

自分のふるさとである「そらいろこうげん」に帰ったりゅうは、自分の両親や兄弟たちが洞窟に追い込まれ、人間たちに捕まりそうになっていることを知ります。

自分だけの力では助けられないと悟ったりゅうは、助けを求めにエルマーの元へと急ぎます。

りゅうの話を聞いたエルマーがリュックサックに詰めたのは、

・ふえ・ラッパ・運動会に使うピストルと弾・丈夫なひも・板チョコ6枚・ほしいちじく6箱・お金。

エルマーのこの持ち物!なんだかワクワクしませんか?

りゅうの家族に会えた時、エルマーがその時持っていた板チョコを全部、人数分に割ってみんなに食べさせてあげる場面がとても好きでした。

チョコレートを食べながらエルマーの考えた脱出計画を聞くりゅうたち。

「りゅうたちは、それをきいて、ふぐふぐと、りゅうわらいをしました。それでだいぶげんきがでてきました。」

うん、きっと、もう大丈夫、と思えたことを思い出します。

エルマーのお話は世界中で読まれていますが、国や言語、年齢を超えて共有できることがきっとある。

そう思えるお話は本当に素晴らしいなと思います。

鳥山百合子

鳥山百合子

鳥山百合子

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笹のいえ

笹のお風呂の入りかた

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前回記事にした五右衛門風呂について、興味がある方や泊りにいらした方に説明する機会があるので、この場でも「笹のいえ流」お風呂の入りかたをお伝えしようと思います。また、いつか笹のいえに泊まってみたいという方への参考になれば幸いです。

・お風呂が沸いたらすぐ入る。

ガスや電気のお風呂ならボタンひとつでオンオフできるけど、薪風呂は温度の調整が難しい。熱いからといって一度火が消えてしまうと再度焚きつけるのに時間がかかってしまう。入浴時間中は基本的に常に火がついていて、湯温は徐々に上がっていくので、少しぬるめから入るのがオススメです。入浴準備に時間が掛かり過ぎると、今度は熱すぎて入れないということも。

・服を脱ぐ前に、水温を確認する。

適温だろうと早合点して服を脱ぎ、お湯に手を入れてみたらまだ冷たかった(または熱すぎた)ため、寒い浴室に裸で何分も震える羽目になった経験が何度かある。お客さんに入ってもらう場合、僕たちが事前にお湯の温度を確かめますが、ちょうど良い湯加減には個人差があるので、必ず確認をお願いしています。

・蛇口からは水しか出ないので、湯船のお湯を上手に使う。

浴室にあるたらいに上がり湯を貯めたり、入る前にかけ湯したり身体を洗うと、浴槽のお湯を綺麗にキープできます。ちなみに、シャワーはないので、頭からお湯を浴びるときは手桶をどうぞ。

・蓋を沈める。

先日の記事でもお伝えしたが、これがないと足の裏を火傷してしまうので、忘れずに使う。沈めるには少しコツがいるけれど難しくはありません。特に小さなお子さんと一緒のときは、大人が先に入って蓋を沈めてあげると安心です。湯が子どもに熱すぎる場合は、たらいに温(ぬる)くしたお湯を用意して、身体を慣らしてから浴槽に入るのも良いかもしれません。

・熱いと感じたら遠慮なしに水で埋める。

釜の下では薪が燃えているので、湯温はゆっくりと上がっていく。「温くしちゃうと次の人に迷惑になるのでは」と、熱いのを我慢して入り、すぐ出てきてしまう心優しい方がいるけれど、心配ご無用。温度が下がっても、薪を足せば湯が沸きます。

・石鹸などは備え付けのものを使う。

上下水道のない笹のいえでは環境負荷を考えて、シャンプーリンスの類は使いません。備え付けの生分解する手作り石鹸や自家製柿酢シャンプーをご利用ください。また同じ理由で洗剤や歯磨き粉も使っていません。ご協力をお願いします。

・身体が温かいうちに布団に潜り込む

じっくり入れば、入浴後もしばらく身体がポカポカします。とは言え、時間とともに冷えてくるので、その前に服を着込むか、布団に入って、その温もりを楽しみましょう。寒い時期には湯たんぽや豆炭あんかをお渡ししますので、布団の足元に忍ばせておくと、朝まで温かいです。

 

なんだか面倒そうでしょうか?確かに一般的なお風呂と比べると、気を付けなくてはいけないことが多いかもしれません。それでも、五右衛門風呂の気持ち良さ、一日の疲れから解放される温かさには敵いません。

より快適にお風呂を利用できるよう、今後さらなる改修や使い方の変更があるかもしれません。初めてお使いの方にはその都度ご説明しています。

 

写真:改修したばかりのころ。いまでは使い込まれて、赴きを感じる雰囲気です(ボロくなった、とも言う)。

 

五右衛門風呂

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私の一冊

鳥山百合子

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「たたたん たたたん」 西村繁男 絵, 内田麟太郎 文 童心社

先日、絵本作家の西村繁男さんが、新しい本ができたからと送ってくださいました。「みつば保育園のみなさんへ」とサインが入った絵本です!先日、保育園の先生に渡しましたが、とても喜んでくれていました。

昨年、土佐町に来てくださった西村さん。みつば保育園にも足を運んでくださり、子どもたちに絵本を読んだり、音楽付きのスライドを見せてくださいました。繁男さんも奥さまのいまきみちさんも、子どもたちが目を輝かせて絵本の世界に入っていることをとても感激してくださっていました。

この本は、西村さんが20年前に出版した絵本「がたごとがたごと」の続編です。

「がたごとがたごと」は20年たっても色褪せず、子どもたちは大好きです。みつば保育園にも絵本「がたごとがたごと」があり、その佇まいから今まで本当にたくさんの子どもたちが読んだことがわかります。あちこちテープで継ぎ接ぎされ、それでもまた破れて、またテープを貼って…。その繰り返し。この本がとても愛されている証拠です。

きっとこの「たたたん たたたん」も同じようになっていくのでしょう。

西村さん、本当にありがとうございました。またいつでも土佐町にいらしてくださいね!

鳥山百合子

 

西村繁男さんが土佐町にやってきた!

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