おそくなりましたー!!!!
筆を取る気になりませんでした!ゴメンなさい!
でも『風立ちぬ』見てたら書かねばと思って描きました。
自分でも遅すぎると思います、次はちゃんとやります(前も言いました)。
いやー、最近夏風邪をひきまして、びっくびくしながら発熱外来に行ってきました。心当たりがなかったのですが、陰性と出るまでは、心臓が縮み上がっておりました。皆さんの中にもちょっと熱が出て、とか、咳がひどいとか、そんな症状がある方いらっしゃると思います。もう、気が気でないですよね。もう単純に、フツーに生きるというのは、これ程難しいことだったかと考え込んでしまいました。人は1人では生きられないのは自明の理です。そこにまぁ例えば、COVID-19がやってきたら、ここまで人が細分化される。今まで1人じゃなかった人が、突然1人になる。もし私が陽性だったら1人になる。心細い、寂しい、申し訳ない、不安だ。そんな感情になるのでしょう。今自宅待機で過ごされている方々のことを思うと心が痛みます。物理的な距離というのが、どれほど孤独であるか、逆に無ければどれほど心強いか、よくわかった気がします。
さて、前座は置きまして、6巻から7巻に入っていきましょう。
ナウシカはチチクと共にメーヴェで土鬼の僧侶達の大規模な処刑場に向かいます。そこは、まさに修羅の庭のよう。チチクはチヤルカと念話をしました。僧侶の首級を蹴り飛ばし、ナウシカはチヤルカの鎖を解き放ちます。そして、チチクは己の素性を明かしナウシカは民衆に殺戮の連鎖を辞めるよう強く訴えかけるのです。これによって民衆の騒乱は大分落ち着きました。しかし、ここにはサナギ状態の巨神兵が運ばれてきていたのです。ナウシカはそれをとめようと、皇兄ナムリスの旗艦で数匹のヒドラと対峙します。その際、ナウシカは救援に来ていたアスベルから巨神兵に役立つかもしれないと”秘石”を渡されていました。それが結果的にナウシカの命を救います。巨神兵はナウシカを”母”と認識し、ナウシカに従うようになったのです。かつて世界を終わらせた力がナウシカの手の内にあるのです。彼女はその覚悟とともに、土鬼の首都シュワと墓所を封じにその場から飛び立つのでした。
初めて巨神兵の登場シーンを見た時は衝撃でした。心が備わっており、精神が子どものままの強大な力を持つ生物兵器。なんと恐ろしいことでしょう。ナウシカが手綱を握ることが出来て安心しましたが、巨神兵を兵器として深く考察したことがなかったので手に汗握りました。巨神兵は現代風に言えば高度なAIを搭載した自律型兵器と言えるでしょう。ただAIと言うよりも、もっと高度な思考と“思想”を持っているという点において、火の七日間以前でも最高の兵器だったと言えるでしょう。私はこの点が恐ろしいと思っていて、兵器の思考や思想は変化が少ないとしても、人間は思想も善悪も1分後に変わってしまうし、集団で意思決定を行う。下手をすれば、自分が作った兵器に断罪される可能性があるということです。物語の中でも、ナウシカが巨神兵についても考察していますので後述しましょう。
この先、ナウシカは2つの出会いをします。
1つ目は父王の言いつけに背き、父王がシュワの秘密を独占しないかと高山帯を侵攻していた皇子達でした。
2つ目は隠された庭とその主達との出会いと交流です。
皇子達と直接会う前、ナウシカは斥候の兵と出会っていましたが、巨神兵は敵と判断して熱線で殺してしまいます。そこでナウシカは賭けをします。不用意に犠牲を出さないために、巨神兵に名付けを行ったのです。かくして巨神兵は古エフタル言で無垢を表す“オーマ”となりました。名付けを行った事により、オーマには明確な人格が生じ、もとより使命が与えられているかのような発言もします。『調停者にして戦士、裁定者』と。ナウシカは、私たちは何も知らない、オーマは人類に神として作られたのではないのか、と考えていました。
皇子達はナウシカに対して最上の対応をしますが、その下心はシュワまで最高の手勢を連れて行けるというゲスなものでした。ナウシカといえば、オーマの放つ毒の光によって体を侵され意識を失うほどに追い詰められていました。
一方その頃、トルメキアのクシャナ達と、土鬼の民の間では緊張感が高まっていました。クシャナは船を借りてシュワの墓所に行こうとしていますが、土鬼の民たちはトルメキアを信用していません。更にトルメキアに復讐するという気運が高まっていました。その中でクシャナは思い悩みます。『自分は結局血塗られた道をゆくのか、他を選べないのか、永劫の憎悪の繰り返しをここでうつのか』。お互いの駆け引きの中で、ケチャやユパ、チヤルカやチチクが必死で憎しみの連鎖を止めようとしています。しかしお互いは止まらず、ついに動き出してしまいます。土鬼の女が投げた手榴弾を咄嗟にユパは掴み、土鬼の戦士たちはクシャナを取り囲みました。そこに片腕のユパが現れクシャナを諭します。土鬼の戦士の前には人垣が出来ていました。もう戦を心底辞めたいと願い、戦士の心を鎮めようとする人々の決死の人垣でした。
それでも高まった殺意は止められず、クシャナに凶刃が振るわれようとします。その一瞬、ユパは体を滑り込ませ彼らの剣戟をその身に受け入れたのです。その時チチクが反応し、ユパの身にマニ僧正が乗り移り、人々を諌めました。ユパは致命傷を負いクシャナを支えられて彼女に「血は血はむしろそなたを清めた……王道こそそなたにふさわしい……」と鼓舞しその一生を終えました。そしてその亡骸の元で、クシャナとチチクが手を取り合うのです。
ナウシカは皇子達の船の中でテトの死とともに、ユパが逝ってしまったことを悟りオーマに外に出してもらいます。せめて木のある所に埋めてあげたかったのです。その際に船から皇子達もくっついてきてしまいました。
オーマは1000年は生きただろう木を見つけ、ナウシカをそこに下ろしました。ナウシカの目からは大粒の涙が零れます。どんなときも共に生き、時に励ましてくれたテト。オーマの毒の光にボロボロになりつつも、船で主人を守ったテト。そして、ナウシカにテトをくれたユパという偉大な師も失いました。書いている私も涙が滲んできました。
そこに人が現れます。これが2番目の出会い、隠された庭の住人です。ナウシカは先を急ごうとしますが、オーマの体にまた不調が現れてしまいました。これをきっかけにナウシカはこの場所でひとときの休息をとることになるのでした。
次に目覚めたのは薬湯浴の最中でした。この庭の住人であるケストというヤギに、新しい服や靴をもらったナウシカは、食事を取り微睡んでいました。周りの動植物は既に失われた種ばかりなことにナウシカは気づきます。しかし、まるで何かを忘れているように、思考がぼんやりとしています。そこへ音楽が聞こえてきます。ナウシカは広い屋敷を歩いてその部屋を見つけます。楽器を引いていたのは皇子達でした。しかし双方共何者なのか分かっていませんし、分からないことがわかりません。しかし2人の引く音楽の中でナウシカはテトのことを思い涙します。そしてオーマの名を思い出し、全てを思い出しました。彼はナウシカを巧みな幻影で翻弄します。心が弾けそうになった時、セルムを思います、挫けぬよう力をくださいと。するとセルムが心象風景に現れ、ナウシカを支えます。そして庭の守り人が1000年生きた不死のヒドラで特殊な個体であることを知るのです。そして。問答を続けていくうちに、ナウシカはとうとう腐海の真実を知ることになります。人体改造、生態系の急激な変化、全て人が行ったことだと見抜いたのです。ナウシカはシュワの墓所に真実があると確信し、そこへ向かうことをセルムとともに決めたのです。
さて、今回はここで筆を置きます。
私が筆を取らなかった間、沢山のことがありました。
誰がこんな世の中になると想像したでしょうか。
こんな書評でも誰かの時間つぶしになるなら幸いです。
次でラストになります。
コロナ禍の中で働く全ての人にエールを。
闘病中の方にエールを。
偏見や差別と戦う人にエールを。
それでは。