「くんちゃんとふゆのパーティー」 ドロシー・マリノ作, あらいゆうこ訳 ペンギン社
今日はクリスマス。サンタさんからのプレゼントを心待ちにしていた子どもたちは、どんな顔をして朝を迎えたでしょうか。
これは、クリスマスが近くなると毎年読みたくなる一冊。こぐまのくんちゃんが「雪を見てみたいから、冬ごもりするのはもう少し待ってほしい」とお母さんにお願いします。お母さんはその言葉を聞いて、冬ごもりを先延ばしに。雪に覆われた森のなかで、森の動物たちが食べものがなくて困っていると知ったくんちゃんは、木に食べものを吊るしてあげます。その周りを飛び交う鳥たちのうれしそうなこと。羽を羽ばたかせている音が聞こえてきそうです。
この本は、以前幼稚園で仕事をしていた時、担任をしていたもうすぐ小学生になる学年の子どもたちに贈ったものです。「幼稚園に遊びにきたサンタさんがこの本をプレゼントしてくれた」という演出を他の先生と考えました。絵本を包んだ紙に色鉛筆で「Merry Chiriatmas!」と描いたこと、英語で書かれているその文字を見て「サンタさんが来てくれたんだ!」と信じていた子どもたちの姿を思い出します。今からもう20年前のことです(!!)。
ページを開くたび、くんちゃんの姿と子どもたちの姿が重なり、なんとも言えない懐かしさを感じます。ささやかなことかもしれませんが、私にとっては、今もはっきりと思い出せる大切な出来事です。
2020年のクリスマス。きっと、この日の先に、まだ見ぬ未来があるのだと思えます。それを信じ、大切な人たちやものごとを見つめていきたいと思っています。