冬の夕陽。
土佐町から16号を通って工石山にさしかかる少し手前、立割集落のあたりから西の山々を望んだ風景です。この辺りは標高も高く、冬の空気は冷たく澄みきっています。
陽が沈む直前から撮り始め、定点観測的にシャッターを押し続け、陽が暮れて暗くなるまで撮影しました。あとで取れたものを確認し、夕陽は山陰の向こうに落ちたけれど空はまだ明るいという「黄昏」の瞬間を選びました。
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掲載開始日
図らずもTPP。あっちのTPPではありません。
土佐町在住の写真家、石川拓也がひと月に1枚のポストカードを作るプロジェクト。
2016年11月から始まり、たまに遅れたりもしながら、いちおう、今のところ、毎月1枚発表しています。
各ポストカードは土佐町役場の玄関と道の駅さめうらにて無料で配布しています。
「ネパール・インドの聖なる植物」 著者:T.C マジュプリア 訳者 西岡直樹 八坂書房
土佐町に移ってくる少し前の数年間、インドに頻繁に行っていた時期がありました。
グジャラート州というインド北西部の、友人となったあるインド人家族を訪れるため、年に2、3回は飛行機を乗り継ぎ訪問していました。
ラオさんというその友人の家に寝泊まりさせてもらい、長い時には1ヶ月や2ヶ月インドで過ごしていたので、これは旅というよりかはホームステイに近いものだったかもしれません。
お父さんのバーラット、お母さんのプラティマ、姉のクルッティ、弟のダムルー。
とても仲の良い家族の中で、僕も家族の一員として暖かく遇してもらい、クルッティの結婚式があった際には弟のダムルーと共に「新婦の兄弟」として出席しました。
そんな訪問を繰り返していた最中、別れ際にお母さんのプラティマが手渡してくれたのがルドラークシャという木の実をつなげた数珠。
「これはあなたを守ってくれるから」と言いながらぼくの手首に巻いてくれたのです。
帰国後、ルドラークシャが一体なんなのか知りたくて読んだのがこの本。
ヒンドゥー文化が数千年の間、大切に紡いできた植物への考え方がとても詳しく解説されています。
ルドラークシャの項によると、ルドラークシャ(ジュズボダイジュ)はヒンドゥ文化の中で非常に重要な植物であるとのこと。
古伝説を紐解くと、ルドラークシャは主神シヴァ自身である。シヴァ神は別名ルドラという。数珠に使われる種子は神聖で、縁起がよく、それを見ただけでもたいへんなご利益があるという。
お母さんのプラティマは「これを身につけていたら健康になる。高血圧も治る!」と力説していましたが、ヒンドゥの伝説の熱量からするとそれもどうやら真実であり、なによりもプラティマのその気持ちをうれしく感じたのでした。
「SLEEPING BY THE MISSISSIPPI」 著者:Alec Soth 発行:Steidl
アメリカ人写真家アレック・ソス(Alec Soth)の写真集です。
アメリカのミシシッピ川流域の、そこに住む人々や風景を大判カメラで撮影した一冊です。
異論もあるかもしれませんが、僕はアレック・ソスの肩の力が抜けたやる気のなさが好きです。やる気のなさと言うと語弊があるかもしれませんが、強い感情や緊張感や超絶技法とか計算され尽くした構図とか、そういうのナシで、「そのまま撮りました〜」みたいな感じ。
これを自分に置き換えると、できそうな気がしてできないので好きなのです。
ゆるいリズムと低いトーンで心地よい音楽が流れているような写真集です。
「死んだかいぞく」 下田昌克 ポプラ社
とさちょうものがたりがスタート時からとてもお世話になっている絵描きの下田昌克さん。
とさちょうものがたりzineも、どんぐりやファーストなど障がい者支援施設と協働で行なっているシルクスクリーン事業も、下田さんの力なしでは実現しなかったことでしょう。
その下田さんが、新しい絵本を作りました。
その名も「死んだかいぞく」。
絵本だけど「死」。絵本だけど表紙が真っ黒でガイコツ。最初のページから、かいぞくが刺されて死ぬところから話は始まります。
帯にもあるように、この本のテーマは「死ぬとは?」。
死生観とは?命とは?肉体とは?生きるってどういうこと?
本当に大事なことは簡単な言葉で語られる。誰かが言っていたそんなことを思い出しました。
深海の青がとにかく妖しくきれいです。