鳥山百合子

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

鳥山百合子

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「とさの笑」 梅原デザイン事務所制作 高知県文化生活部・国際課

高知の人、食、笑、技…。高知ならではのそれぞれが詳しく書かれている「とさのかぜ」の本です。こちらはその中の一冊「とさの笑」。

高知の道ぞいにある良心市やよさこい祭の花メダル、桂浜の五色の石、沈下橋、ミレービスケット。高知ならではの文化を「勝手に重要文化財認定」して紹介しています。高知に来たら必ず耳にしたり、手にするものごとについて、それはそれは詳しく調べられているのでとても面白い。

中にはサバの姿寿司もあります。
「頭や尾の部分が残るが、それは翌日、焼いて食べるのが楽しみ。酢が戻り、サバの焼き汁がしゃりに染み込んで、これがまたすごくうまい!」。土佐町で40年以上さば寿司を作り続けて来た長野さんもそう言ってた!とうれしくなりました。

この本は高知に来てから手にしたのですが、私の本棚のいつも「いい場所」に並んでいます。無意識でしたがそれはなぜなのか?先ほどはっと気が付きました。
この本の作り手の愛情が伝わって来るからだ、と。高知という土地が培って来た文化、その文化をつくり引き継いで来た人たちへの尊敬の念。それを伝えたいと思った作り手の方たちの熱が伝わってくるのです。「熱」と「真摯な姿勢」がここにあります。そして作り手がこの本を作ることを楽しんでいるだろうことも伝わってきます。

背筋がピンと伸びるようなこの一冊。私はこれから何度もこの本のページを開くと思います。

鳥山百合子

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土佐町南川地区で作られている「南川百万遍味噌」。

土佐町をはじめ、高知県内の産直市やスーパーなどで販売されています。

南川地区のお母さんたちが麹を作り、大豆を蒸して作ったお味噌はとても美味しい。しかし近年、作り続けてきた方たちの高齢化や体調の変化などにより、作ることのできる人が減っています。

2年前に味噌作りのお手伝いに行き、休憩時にお弁当を広げていると、水野和佐美さんが「よかったら食べてみや」とおすそ分けしてくれたのは南川百万遍味噌と山で収穫した柚子で作ったという柚子味噌でした。それはごはんが何杯でも食べられるほどの美味しさでした。

お話しながら、和佐美さんに作り方を教えてもらいました。

 

 

和佐美さんは作った柚子味噌を「持って帰りや」とお土産に持たせてくれました。

身の回りにあるものを工夫して大切に使い、あらたな美味しいものを生み出す。お母さんの台所の知恵は深く、ゆたかです。

もうすぐ南川百万遍味噌を作る時期がやってきます。

今年もお手伝いに行くことができたらと思っています。

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私の一冊

鳥山百合子

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「エルマーと16ぴきのりゅう」 ルース・スタイルス・ガネット 著, ルース・クリスマン・ガネット絵 福音館書店

エルマーとりゅうの最後のお話。

自分のふるさとである「そらいろこうげん」に帰ったりゅうは、自分の両親や兄弟たちが洞窟に追い込まれ、人間たちに捕まりそうになっていることを知ります。

自分だけの力では助けられないと悟ったりゅうは、助けを求めにエルマーの元へと急ぎます。

りゅうの話を聞いたエルマーがリュックサックに詰めたのは、

・ふえ・ラッパ・運動会に使うピストルと弾・丈夫なひも・板チョコ6枚・ほしいちじく6箱・お金。

エルマーのこの持ち物!なんだかワクワクしませんか?

りゅうの家族に会えた時、エルマーがその時持っていた板チョコを全部、人数分に割ってみんなに食べさせてあげる場面がとても好きでした。

チョコレートを食べながらエルマーの考えた脱出計画を聞くりゅうたち。

「りゅうたちは、それをきいて、ふぐふぐと、りゅうわらいをしました。それでだいぶげんきがでてきました。」

うん、きっと、もう大丈夫、と思えたことを思い出します。

エルマーのお話は世界中で読まれていますが、国や言語、年齢を超えて共有できることがきっとある。

そう思えるお話は本当に素晴らしいなと思います。

鳥山百合子

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「たたたん たたたん」 西村繁男 絵, 内田麟太郎 文 童心社

先日、絵本作家の西村繁男さんが、新しい本ができたからと送ってくださいました。「みつば保育園のみなさんへ」とサインが入った絵本です!先日、保育園の先生に渡しましたが、とても喜んでくれていました。

昨年、土佐町に来てくださった西村さん。みつば保育園にも足を運んでくださり、子どもたちに絵本を読んだり、音楽付きのスライドを見せてくださいました。繁男さんも奥さまのいまきみちさんも、子どもたちが目を輝かせて絵本の世界に入っていることをとても感激してくださっていました。

この本は、西村さんが20年前に出版した絵本「がたごとがたごと」の続編です。

「がたごとがたごと」は20年たっても色褪せず、子どもたちは大好きです。みつば保育園にも絵本「がたごとがたごと」があり、その佇まいから今まで本当にたくさんの子どもたちが読んだことがわかります。あちこちテープで継ぎ接ぎされ、それでもまた破れて、またテープを貼って…。その繰り返し。この本がとても愛されている証拠です。

きっとこの「たたたん たたたん」も同じようになっていくのでしょう。

西村さん、本当にありがとうございました。またいつでも土佐町にいらしてくださいね!

鳥山百合子

 

西村繁男さんが土佐町にやってきた!

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「エルマーとりゅう」 ルース・スタイルス・ガネット 著, ルース・クリスマン・ガネット絵 福音館書店

以前紹介した「エルマーのぼうけん」の続編です。

動物島からりゅうを助け出したエルマーは、家に帰る途中に嵐にあい、カナリア島にたどり着きます。その島にはりゅうの大好物「スカンクキャベツ」と「ダチョウシダ」が生えているそうなのですが、「スカンクキャベツ」という文字面が面白く、そして「スカンクキャベツって何だか美味しそうだな」と子ども心に思っていました。

カナリア島は名前の通りカナリアが住んでいる島なのですが、カナリアの王様が代々知りたがっていることがあり(歴代の王様たちは皆「知りたがり病」で亡くなりました)、それが何なのかを知りたいと思っているカナリアたちみんなも「知りたがり病」にかかっているとのこと。

王様は何を知りたがっているのか?

王様はエルマーにその秘密を打ち明けます。

物語の後半にその秘密が明らかになりますが、白黒のイラストと手書き文字で書かれているそのページはとても魅力的です。白黒で印刷されているのに、まるでそこに色があるかのように見えてきます。

まさにお話の力。エルマーの世界はとてもゆたかです。

鳥山百合子

 

鳥山百合子

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2019年11月10日、今年で35回を迎えた土佐町「さめうらの郷湖畔マラソン大会」が開催されました。

晴天に恵まれ、紅葉で色づき始めた早明浦ダム湖畔をたくさんのランナーの皆さんが走り抜けました。

遠く栃木県や東京都、大阪府や広島県、そして高知県内から1000人以上のご参加をいただきました。ランナーの皆さん、本当にありがとうございました。

 

写真提供:澤田智則

大会委員長の高石清賢さんは「走ったランナーの皆さんが満足感いっぱいで帰って頂けることが、我々の至宝です」と話します。

このマラソン大会は、ランナーの皆さんはもちろん、たくさんの人たちの協力のもと成り立っています。事前準備、申し込み受付、駐車場への配慮、コース整備、当日の運営、ランナーさんの安全管理、ランナーの皆さんへのおもてなしなど、たくさんの地域の方々もボランティアとして参加してくださっています。

まさに町をあげてのイベントのひとつと言ってもいいでしょう。

 

写真提供:澤田智則

今年も「ブレイク」の皆さんが自転車で伴走しながらランナーさんの安全を守ってくれました。保育園から小学生、中学生、高校生、大学生。あらゆる世代の子どもたちが、大会審判長で「NPOさめうらプロジェクト」の辻村幸生さんの元、頼もしく育っています。

 

 

私たち「とさちょうものがたり」は、今年も大会記念Tシャツを製作させていただきました。今年はグリーンの生地に、土佐町に生きる自然を描いたデザイン。土佐町の障がい者就労支援施設どんぐりと大豊町のワークセンター・ファーストのメンバーが、手で一枚ずつシルクスクリーン印刷したものです。

多くのランナーさんに大会参加応募の際にご購入いただいていましたが、当日会場でも購入できるようにブースを出させていただきました。

同時に土佐町オリジナルTシャツやとさちょうものがたりZINEの販売、土佐町役場で毎月1枚発行しているポストカードも並べました(土佐町役場で無料配布しています)。ポストカードを手にして「この場所に行きたい、これはどこですか?」とか「持って帰って玄関に飾ります!」という声をいただき、ひとつのものが誰かの元へ届く喜びを感じました。

昨年お会いしたランナーさんが「今年もきましたよ」とお店をのぞいてくださったり、昨年製作したブルーのTシャツを着てくださっていた方もたくさんいて、とても嬉しいことでした。

 

 

同じ職場で参加してくださった皆さん。「このサイズがいいんやない?」と互いの背中にTシャツを当てながら選んでいる姿はとても微笑ましかったです。

 

早明浦ダムの上からスタート!

 

司会の谷泰久さんがゴールした人を迎えます。谷さんは土佐町の人たちや子どもたちにスポーツの楽しさを伝える活動を長い間続けています。「やっちゃん!」と街角で声をかけられることもしばしば。子どもから大人まで、たくさんの町の人に愛されています。

 

走り終わったあとは「おもてなし」。土佐町湖畔りんご園のりんごや、土佐町の銘酒「桂月」が待っています。地域のボランティアの皆さんがこのブースを支えてくれています。

 

 

ランナーの皆さん、土佐町に来てくださってありがとうございました!

また来年もお会いできることを心から楽しみにしています。

 

 

*2019.11.11~2020.1.22まで、参加ランナーさん限定で湖畔マラソンの写真がダウンロードできるようになっています。当日配布されたパスワードを入力してご覧ください!

さめうらの郷 湖畔マラソン2019 P1

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「心ふるえる土佐の味」 小島喜和 高知新聞社

高知県出身の小島さんが“K+”というフリーペーパーに連載した高知県の料理の数々、お母さんの味が詰まった一冊です。

小島さんは高知県の海沿い町で育ったとのことですが、山沿いのこちら土佐町の食卓にのぼる料理や食材も色々登場します。海沿いも山沿いも、「高知」という土台でつながっていることを感じます。

きし豆茶、東山、リュウキュウと茄子の酢の物、四方竹と油揚げの煮物…。

中でも驚いたのは「冬苺の三角寿司」。ちょうど11月頃から日陰に実る赤い冬苺。子どもたちはこの苺が大好きで、手のひらにいくつか集めてから一気にパクッと食べる、甘酸っぱい冬苺。その葉っぱを使ったお寿司があるなんて知りませんでした。冬苺の葉で寿司飯を包むそうですが、こうすることで葉の表面にあるチクチクとした小さな棘が、すし飯が崩れぬよう守ってくれているのではとのこと。なるほど!どんな味がするのかな?今度冬苺を見つけたら葉っぱにも注目してみようと思います(表紙の写真が「冬苺の三角寿司」です)。

それからもう一つ「新生姜の天ぷら」!夏の新生姜をスライスして粉とあえて揚げるだけ。なんて美味しそうなんでしょう!来年の夏、試してみようと思います。

その土地ならではの食材や調理方法を知ることは、ちょっと新しい自分になるようでとてもうれしい。

高知の食材のゆたかさに出会うたび、高知県に来て良かったと感じています。

鳥山百合子

 

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私の一冊

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「夜廻り猫」 深谷かほる KADOKAWA

街のどこかから流れてくる涙の匂いを嗅ぎつけて、夜廻り猫はその人の元へと駆けつけます。「む!涙の匂い!」

話を聞き、その人が自分の答えを出す姿を見届けるお話が描かれているのですがいつもホロリとさせられます。人の死や介護、貧困や孤独、失恋や離婚、いじめや仕事のトラブル…。世の中にある色々な出来事、自分だけではどうしようもないこと…。それぞれの人の人生には本当に色々なことが詰まっていて、いい時もしんどい時も、泣きたい時も何もかも放り出したくなる時もある。でも、そんな中でも、きっと希望はあるのではないかとこの漫画は思わせてくれます。

土佐町図書館でふと手にして借りた「夜廻り猫」。机に何気なく置いておいたら子どもたちも読み始めました。「む!涙の匂い!」というセリフから始まって「あの場面、いいよね〜」と話せるのがうれしい。

早く次の号を借りに行こう!

鳥山百合子

 

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「エルマーのぼうけん」 ルース・スタイルス・ガネット作,絵 渡辺茂男訳

みかん・棒付きキャンディー・輪ゴム・虫めがね・くし・磁石…などなど。この物語の主人公エルマーがりゅうを助ける旅に出るとき、リュックサックに詰め込んだものの数々です。私もエルマーと同じように、エルマーが詰め込んだものをあった分だけリュックサックに詰め込んで、近所を「冒険」していたものでした。多分、毛がボサボサのライオンや、こそこそ話が大好きなイノシシも道々の先に見えていたのでしょう。

エルマーは船に乗り込み、まず「みかん島」に上陸します。エルマーが知らず知らずのうちに「人間が島に入り込んだ証拠」を自ら島に残してしまうのですが、動物たちはそれに気づいて大騒ぎ。

「エルマー!なんでみかんの皮をむいたのをそのまま置いていっちゃうの!」と大人になった今は思うのですが、当時は、次はどうなるのだろうとハラハラしながらエルマーの一挙一動足を見守っていたことを思い出します。

それは子どもたちも一緒のようです。

自分が子どもの頃に楽しんだ世界を、今再び子どもたちと楽しめることはなんて嬉しいことだろうと感じています。

鳥山百合子

 

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【布ぞうりづくりワークショップ、します!】
2019年11月17日(日)13:00〜15:00 @高知蔦屋書店

先生は土佐町の筒井政利さんと重子さん。わらじ・布ぞうりづくりの名人です。

今まで土佐町のたくさんの人たちに教えてきた筒井さん。11月17日は高知蔦屋書店に来て教えてくれます!

ワークショップでは、こんなに素敵な布ぞうりを作ることができます。

 

これは筒井さんが作ったもの。古い浴衣をほどいて作ったのだそうです。布の絵柄や色合い、組み合わせによってぞうりの表情が変わります。

 

取材のため筒井さんの家に伺った日も、近所の方がわらじの作り方を習いに来ていました。足の親指にわらじの土台となる紐をかけ、今までずっと働き続けてきた筒井さんのゴツゴツした厚い手と太い指が布を織り込んで行きます。
筒井さんは、お父さんがわらじを作っているのを見ながら作り方を覚えたのだそうです。昔は学校へ行く時、畑で仕事する時、雨や雪が降ろうがいつもわらじを履いていたとのこと。

 

筒井さんに教えてもらいながら、編集部も作ってみました!
作る工程には「お〜〜〜!!」と感動する技がいくつもあって、昔から引き継がれて来た知恵は本当に素晴らしいとあらためて感じました。
踏みごごちがとても気持ちが良く、ずっと履いていたいと思うほど!

こども用の古い浴衣をほどいて作ったぞうり

 

 

【布ぞうりづくりワークショップ】

【日時】2019年11月17日(日)13:00~15:00(2時間程度。初めての方はもう少し時間がかかるかもしれません。時間に余裕を持ってお申し込みください)

【場所】高知蔦屋書店

【参加費】2000円(材料費込)

【募集人数】10名(申し込み順)

【持ち物】
・(ある人は)自分の好きな布 *綿が良いです
→布はこちらでも用意しています。好きな布で作りたいというご希望のある方はご持参ください。
・ハサミ

【申し込み方法】
①メール(とさちょうものがたりメールアドレス:info@tosacho.com)
②電話 (担当:鳥山 080-8631-7461)
*お申し込みの際、お名前・年齢・連絡先・参加人数をお伝えください。

【申し込み締め切り】2019年11月10日(日)

【その他】床の上で座って作業しますので、作業しやすい服装でいらしてください。

 

 

 

*とさちょうものがたり編集部は、今まで筒井さんに大変お世話になってきました。
筒井さんの記事はこちらです。

筒井政利・重子 (地蔵寺)

地図の記憶 (前編)

 

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