うちでは薪を使って、煮炊きやお風呂を沸かしている。
土佐町で薪ストーブを使っている家は珍しくないし、薪風呂が現役な家庭も少なくない。
日が落ちる時間になると、集落の所々から煙が上がりはじめ、木が燃える匂いが鼻をかすめる。
周りを山で囲まれた環境で、木自体は比較的手に入りやすい。
「小屋を壊すけ、廃材持っていかん?」「木を切ったき、持って行きや」。
背板と呼ばれる製材の残りも大量にいただくことがある。連絡が来ると軽トラにチェーンソーなどを積んで出掛ける。
処分にお金が掛かったり、邪魔になるものをもらってきてエネルギーとして使う。
お互いに嬉しい関係を築く。
「焚きもの」と呼ばれる薪、使う用途によって大きさや長さを変えている。
五右衛門風呂を沸かしたり、ストーブで使う材は、柱などの廃材を70〜80cmくらいに切ったものを使うことも多い。
釘など金具はついたまま燃やして、灰なったら、磁石にくっつけてまとめて処分する。
毎日三度の食事を作るための薪は、車の燃料と同じくらい暮らしにとって大切で、
ストックを十分に用意しておかなくてはいけない。
風呂は二三日入らなくてもどうってことないが、食事はそうはいかない。
釜戸の火口に入る長さに切り、斧で割って、乾燥させておく。
炒めものや揚げものをするときは短時間で高温になる杉や檜が便利だし、
野菜をコトコトと煮る場合などは太めの枝だと具合が良い。
湿っていたりなど薪の状態が悪いと、調理に時間が掛かってしまう。そのイライラは食事の味や品数にも影響しかねない。
薪管理者(僕のことです)が、料理人(奥さんのことですね)の機嫌を損ねては円満な薪生活に支障が出てしまう。
木はタダで手に入るが、運んだり薪にする手間を考えると、無駄にはできない。
いつも、どうやったら効率的合理的にこの資源を利用できるか考えてる。
薪棚が薪でいっぱいになると心豊かになる。
焚きものが大量に手に入ったり、すぐ使える薪をいただいたりすると、
途端に気持ちが大きくなって「いつもより熱めにお風呂焚いちゃおう」なんて思う。