笹のいえ

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フロントガラス

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毎朝しっかりと霜が降りる時期になった。

寒いのは苦手だけど、冷え込む日は快晴が多いので、日が昇るのを温まりはじめたストーブの前でじっと待つ。

そんな朝、車に乗るとき、ストーブの上にあるやかんを持っていく。フロントガラスに付いている霜を溶かすためだ。

湯気を出しながらガラスを滑っていくお湯はやがて水となり、さらに流れながら再び凍りはじめる。ガラスには、なんとも不思議な模様が描かれていく。

エンジンを掛け、ヒーターが車内を温めるあいだ、子どもたちとその様子を眺める。寒さを我慢したご褒美みたいだ。

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米麹

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外では乾燥した強い北風が吹き、木々を揺らしてる。

こんな寒い日にぴったりの作業は、米麹の仕込み。

かまどで米を蒸しあげれば、部屋も身体も温まり一石二鳥。

テーブルに米を広げると湯気が立ちのぼり、思わず深呼吸する。

人肌くらいに冷ましたら、麹菌を満遍なくふりかける。

しゃもじで丁寧に混ぜ、麹蓋に詰めて、豆炭こたつの中へ。

数時間ごとに温度を確認しながら切り返しをしていくと、こたつから段々米の甘い幸せな香りする。
三日後に米麹のできあがり。

今回のは味噌用だけど、たくさんつくっておいて冷凍保存しておけば、甘酒などを作るときに重宝する。

近所にあるスーパーの棚に麹菌の袋(しかも、醤油用と味噌用の二種類!)を発見したときは驚いた。
麹つくりが身近な土地ならではの品揃えだ。

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やけど

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父ちゃんが朝一番に起きて、薪ストーブに火をいれ、台所を温める。

子どもたちが起きると、真っ先にストーブの前に集まって暖をとる。

ちゃっかり者のお姉ちゃんは、お腹に豆炭あんかを忍ばせてる。

母ちゃんはストーブに鍋を並べ、朝ごはんを作りはじめる、、、最近の朝の風景だ。

 

火のある暮らしを家族でしたくって、笹のいえにやってきた。

釜戸 七輪 薪ストーブ 五右衛門風呂 焚き火 豆炭あんかなど

火は毎日の生活に欠かせないアイテム。

扱いには注意しているが、ちょっとした不注意から、おとなも子どもも小さなやけどをする。

怪我は痛いし不快だけど、またひとつ経験値が上がった気がする。

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大豆の収獲

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米小麦と同じくらい、我が家で大切な大豆。

数年前に在来の種を分けてもらい、その種を繋いでいる。

今日は収獲の日だ。

車を運転し、まだ朝露の残る畑に出向く。

寒さに震えながら作業をしていると、あるときすっと日が差し込んだ。

その暖かさに、心も身体もほぐれていく。

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今日の保存食

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今年も有難いことにたくさん頂けた柿。

熟した柿で柿酢も仕込んだし、硬い渋柿で干し柿も作りました。

でも柿酢にするには熟れてない柿や、ヘタがとれてしまって吊せない渋柿、
美味しいうちに食べきれなそうな甘柿って意外とあるんですよね。

そんな柿はいくつでもスライスして薪ストーブのオーブンに入れておきます。

2、3日もすればいつの間にかいい感じの柿チップが出来上がり。

薪ストーブがまだ稼働していないと出来ない代物だけど、
やわやわのセミドライの時期からカリカリのチップになっても嬉しい。

もちろん保存もきくし、行き場のない柿の有効利用にもってこいです。

ただし、渋柿で作る場合はカリカリに出来上がるまで味見はしないに限ります。

 

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カメムシを考える

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冷え込みが強くなると、よく見かけるようになるカメムシ。

ご存知の通り、彼らが出す匂いは独特で、嫌いな人も多い。ここらの地域では「クサムシ」と呼ばれる。
うーん、なんと分かりやすい名前だ。

触らないように気をつければ特に害はないのだけれど、どこにでも潜り込む彼ら、気づかないところで触ってしまう。
そうするとどこからかあのパクチー臭が漂い、臭いの元を探し回る羽目になる。

さて、うちでは室内にこの虫を見つけると、ペットボトルにそっと誘導し外にポイっとする。
末っ子はそんな様子を真似してか、カメムシを積極的に捕まえるようになった。

ただ、二歳児がカメムシを直接触らないように室外に出すのは難しい。

そのうち、ああなんということでしょう、素手で捕まえるようになったのだ。
当然、カメムシは例の臭いを発し、彼もまた同じ臭いに包まれる。父母は目を丸くし、姉兄はワーキャーと逃げ回る。
しかし、当の本人は一向に気にしない様子で黙々とこの昆虫を手に乗っけては観察してる。

まだ先入観のない小さな子どもは純粋な好奇心で生き物と向き合い
「臭いからヤダ、嫌い」などというのは大人の先入観なのだなあ。
と感心して末っ子の顔を見ると、両方の穴から鼻水が出ている。
なんということはない、鼻が詰まって、なんのニオイも感じていないだけだった。

しかし、彼のカメムシ遊びのお陰で「カメムシは本当に臭いのか」という疑問が僕の中で生まれた。
「嫌われ者のこの虫だって一生懸命生きているのだ」と考えると、「それほど臭くないんじゃないか」とさえ感じてしまう。
が、しかし、嗅ぎすぎで自分の臭覚が狂ったと思わなくもない。

そういう僕はカメムシの飛ぶ音が苦手。
匂いと同様、羽音も特徴があり、文字にはしにくいけど、「ゔーーーん」という低音が気になってしょうがない。

カメムシが大量発生する年は、寒い冬になったり大雪が降ると聞いたことがある。
今年は厳しい冬になるのだろうか。

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くん炭

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お米を籾摺りすると籾殻(摺り糠)がたくさん出る。

その籾を炭化させて、コンポストトイレに使っている。

くん炭と呼ばれるこの炭は臭いを抑える働きがあるし、微生物の住処にもなり、排泄物の発酵を促す。
畑に入れれば土壌改良材にもなる。

地面に種火を起こし、くん炭器を被せ、その周りに籾殻を積んでいく。

二、三時間くらいかけてじっくり炭にする。

煙が目にしみるけど、くん炭作りは冬の晴天によく似合う。

さて、この作業に興味津々の末っ子くん。

百歩譲って、素足は目を瞑るけど、パンツは履こうね。

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薪ストーブ

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11月に入り、朝晩冷え込む日が多くなった。
つまり、今年も薪ストーブの季節がやって来たのだ。

お山の冬は考えていた以上に寒い。

南国土佐という言葉があるように、一般的に「高知=暖かい」という印象が強いのではないだろうか。
確かに、四国の南側で海に面している高知市のような場所は冬でも比較的暖かい。
そこから北に移動するほど標高は上がり「冷やく」なる。霜もよく降りるし、雪もそこそこ降る。
車のタイヤはスタッドレス。

前述のイメージを抱いていた僕は、引っ越し当初、この冷え込みに「騙された」とすら思っていたけれど、
暮らしていくうちに、この季節が好きになっていく。

その理由のひとつが、薪ストーブだ。

木が燃えるときの温かさは、ガスや電気の暖房器具とは異なる。
遠赤外線の効果もあるのだろうが、熱が身体に染み込み、優しい気持ちになる。
ついでに、お湯を沸かしたり、料理もできてしまうのだから、素晴らしい。

うちのストーブは、シネマがデザインしたものを隣町の鉄工所で造ってもらったものだ。

ストーブの上面は、火から近い順に、調理面 保温面 常温面 と分かれ、食べ物の温度によって置く場所を変える。
オーブン付きで、パンも焼けるし、落花生も炒れる。
柿やリンゴ、キウイなどをスライスし余熱でドライフルーツを作ることもある。

木を切るのが面倒なので、長い木も入るよう、奥行きは80cmにした。

良いことづくめのようだが、使ってみると改良点も見えてくる。
長い木は乾きにくいし、火がつきにくい。しかし燃え出すと今度は暑すぎてしまう。
鉄製で温まりやすく冷めやすいため、薪をこじゃんと消費する。高熱によって鉄板が反ってくる等等。

熱の有効利用や煙突の取り回しなどを考えては、毎年試してる。手間だけど、そんな試行錯誤も冬の楽しみだ。

まださほど寒くない10月下旬のある日「ちょっと試しに」とストーブを点けたら、
その快適さの虜になり、結局毎日稼働してる。
来年5月上旬くらいまでせっせと薪をくべる日々になるだろう。

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笹のいえ

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うちでは薪を使って、煮炊きやお風呂を沸かしている。

土佐町で薪ストーブを使っている家は珍しくないし、薪風呂が現役な家庭も少なくない。
日が落ちる時間になると、集落の所々から煙が上がりはじめ、木が燃える匂いが鼻をかすめる。

周りを山で囲まれた環境で、木自体は比較的手に入りやすい。
「小屋を壊すけ、廃材持っていかん?」「木を切ったき、持って行きや」。
背板と呼ばれる製材の残りも大量にいただくことがある。連絡が来ると軽トラにチェーンソーなどを積んで出掛ける。
処分にお金が掛かったり、邪魔になるものをもらってきてエネルギーとして使う。
お互いに嬉しい関係を築く。

「焚きもの」と呼ばれる薪、使う用途によって大きさや長さを変えている。

五右衛門風呂を沸かしたり、ストーブで使う材は、柱などの廃材を70〜80cmくらいに切ったものを使うことも多い。
釘など金具はついたまま燃やして、灰なったら、磁石にくっつけてまとめて処分する。

毎日三度の食事を作るための薪は、車の燃料と同じくらい暮らしにとって大切で、
ストックを十分に用意しておかなくてはいけない。
風呂は二三日入らなくてもどうってことないが、食事はそうはいかない。

釜戸の火口に入る長さに切り、斧で割って、乾燥させておく。
炒めものや揚げものをするときは短時間で高温になる杉や檜が便利だし、
野菜をコトコトと煮る場合などは太めの枝だと具合が良い。

湿っていたりなど薪の状態が悪いと、調理に時間が掛かってしまう。そのイライラは食事の味や品数にも影響しかねない。
薪管理者(僕のことです)が、料理人(奥さんのことですね)の機嫌を損ねては円満な薪生活に支障が出てしまう。

木はタダで手に入るが、運んだり薪にする手間を考えると、無駄にはできない。
いつも、どうやったら効率的合理的にこの資源を利用できるか考えてる。

薪棚が薪でいっぱいになると心豊かになる。
焚きものが大量に手に入ったり、すぐ使える薪をいただいたりすると、
途端に気持ちが大きくなって「いつもより熱めにお風呂焚いちゃおう」なんて思う。

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おこめ

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「おこめ」はうちの飼い猫の名前で、もちろん「お米」が名の由来だ。

千葉に住んでいたとき、路端にひょっこり現れたところを保護。
生後二ヶ月ほどだったが、周りに母猫がいる様子もなかったので、そのまま放置もできず、以来家族となった。

笹での生活が落ち着いた頃、預かってもらっていた家から彼女を連れてくることになった。
車とフェリーを乗り継ぎ、二日掛けて高知に引っ越してくるときは、ずっと不安そうに鳴いていた。
人間の都合で申し訳ないことをしたなと思う。
猫は家につくというから、新しい環境に慣れてくれるのか心配したが、笹のいえを気にいってくれたみたいだった。

彼女を迎えるまで、家はネズミ天国。天井を走り回るわ、台所の野菜を齧られるわ、困った状態だった。
おこめを飼いはじめると、ネズミたちはどこかへ引っ越してくれたのか被害は一切なくなった。

朝起きたとき、狩ってきたばかりのネズミやトカゲが枕元に置いてあって、ドキッとさせられる。
横にドヤ顔の彼女が座っているので、褒めてやって、亡骸に手を合わせる。

千葉でも高知でもひとの出入りが多いところで暮らしているので、人懐っこくて甘え上手。
猫好きのヒトが分かるようで、足元に絡んできて喉を鳴らす。
でも、実は子どもが苦手で、特に人数が多いとぷいとどこかに行ってしまう。

作業に追われ忙しい時間を過ごしているとき、陽だまりのある縁側で優雅に毛繕いをしている彼女が目に入ると、
「まあそんなに急がなくてもいいか」と思わせてくれる。

拾い猫ゆえ正確な歳は不明だが、大体七歳くらい。うちの子どもたちよりも長い付き合いだ。

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