「ルリユールおじさん」 いせひでこ 講談社
ソフィーの宝物は大きく立派な植物図鑑です。ところが何度も何度も読んでいるうちに閉じ糸は弱くなり、ある日、ページがばらばらになってしまいます。本屋に行けば新しい図鑑はたくさんあるけれど、ソフィーに必要なのは、この本を直してくれる人でした。
やっと見つけた「ルリユールおじさん(製本職人)」は、図鑑がソフィーにとってどんなに大切なのかを理解し、丁寧に綴じ直し、世界にたった一冊の図鑑に生まれ変わらせてくれました。本を抱きしめたソフィーの姿のなんて幸せそうなこと。このシーンを読むたび、私も幸せな気持ちになります。
興味津々でおじさんの周りをうろうろしながらおしゃべりするソフィーと、ルリユールおじさんの受け答えから醸し出される穏やかで満ち足りた時間は絵本ならではのもの。おとなの方にも楽しんでほしい作品です。