母親の誕生日と同じ日に、四人目が誕生した。
「無事に生まれてくれれば、性別はどちらでもいい」と言っていたものの、男子がふたり続いた後なので、実は待ってた女の子。名は「月詠(つきよみ)」です。どうぞ宜しくお願いします。
名づけ親はお義父さんで、日本神話に出てくる神様・月読尊(ツキヨミノミコト)が由来だ。
神様の名前だなんて、どうしたって名前負けするしかないけど、「月をよむ子になってほしい」という願いが込められている。
「最近の子の名前は難しくて、よう覚えん(とても覚えられない)」
と言われる昨今。そう言えばうちの子たちの名もその部類に入るかもしれない。
長女・ほの波(わ)の誕生のときは、初めての子と言うこともあり、名付けに気合が入っていた。出産予定だった9月は、田んぼに稲穂が実る季節。風が吹くと波のように揺れる穂波をイメージ、やわらかい印象にしたくて一部をひらがなにした。
次に生まれてきた長男の名前は、玄人(げんと)。僕は玄米好きなので、この文字を使いたかった。音が男らしくて好きだ。「玄」は全ての源と言う意味があると後から知った。彼から名前の由来を聞かれたら、さも知っていた風に教えてやろう。一般にはクロウトと読むってこと、人から指摘されるまで気づかなかった。
ここまでは親としての想いというか、イメージ先行というか、字画による右往左往はあったけど、比較的スムースに命名していた。しかし、三人目が生まれるときは、すでにネタが切れていた。
三人目、次男がやって来た日は、皆既月蝕でしかも満月だった。だから、月に因んだ名前にしようかと考えたが、これが難航した。新生児の名前は出生後14日以内に届け出ないといけない。刻々と迫るタイムリミットに段々焦ることになる。
提出期限まで待ったなしというある晩、集中的に考えた。奥さんのお祖母さんが字画に詳しい方なので、候補を挙げては伺いを立て、却下されては、また考え、の繰り返し。結局その日は決まらずにいつの間にか寝落ち。翌朝、改めてノートを見て笑ってしまった。央丸(まんまる)とか蒔人(まきと)とか、個性的な名前が書き殴られていた。
結局、20ほどの候補の中から、親類友人たちと投票をし、「耕丸(たがまる)」と名が決まった。これで一安心と思っていたが、里帰りしていた千葉から高知に戻って、土佐弁に「ちゃがまる」という言葉があることを知ることになる。「壊れる」という意味だが、地元の知り合いは親しみを込めて「ちゃがまったらいかんぞね〜」と冗談を言われ、しばらく「ちゃがまるくん」と呼んでいた。命名するときは、その字や音が国内外の言葉や言語でどういう意味になるのかリサーチする必要がありそうだ。
変わった名前と言えば、うちの奥さんの名は「子嶺麻」と書いて、シネマと読む。あだ名のような名前だが、本名だ。ご察しの通り、彼女の御両親は映画鑑賞が好き。一度聞いたら忘れないだろうし、海外の方にも覚えやすい名前だ。