「日本の文脈」 内田樹, 中沢新一 角川書店
内田樹と中沢新一。二人とも1950年生まれの同学年という思想家が、さまざまな機会に対談をしたものを綴った対談集。
内田樹は、古武道や能を通して「中世の日本人の体の動かし方を知りたい」と考える。その先には日本人の精神性の大元はどういうものだろう?という疑問がある。
中沢新一は、「アースダイバー」の著者。元々はチベット密教を体験体得し、それを科学的に、なお且つ平易な言葉で表現できる人。その地点から「日本とは?」という問いを発する人。
だいぶ乱暴な説明になってしまいましたが、この二人、アプローチは全然違うのに考えていることは大きく共鳴しあっているようで、それが対談を通して伝わってきます。
特に日本文化に対する眼差しは厳しくて温かい。「日本文化の中心は実は空っぽで空洞です。本質はその周縁部にある。」といったような指摘は思わず「なるほど」と手を叩いてしまいました。