とさちょうものがたり編集部の鳥山が、2023年春より、高知新聞の「閑人調」というコラムに寄稿させていただいています。
このコラムには数人の執筆者がおり、月曜日から土曜日まで毎日掲載。月初めにその月の執筆者の氏名が掲載され、コラム自体には執筆者のペンネームが文章の最後に記されます。
鳥山のペンネームは「風」。月に2回ほど掲載されます。
らっきょう
毎年6月に友人たちと行う「らっきょう仕事」をこよなく楽しみにしている。お山のお母さんに頼まれている恒例行事で、もう7、8年になる。
午前中はらっきょうの葉とひげ根を包丁でひたすら取る。らっきょうが少しずつかごに重ねっていく様子はなかなかいいものだ。
つーんとした香りが辺り一面に広がる中、仕事する手はもちろん、おしゃべりの口もせっせと動く。アカショウビンの鳴き声がこだまし、そばには山水の流れる音がする。
お楽しみは昼ご飯。お母さんが作ったちらしずしやゼンマイの炒め煮、タケノコ煮と切り干し大根、新タマネギの塩もみ、タマネギと芋の天ぷら。大皿にどーんと盛られて並ぶ。お母さんが朝4時から準備してくれた。
おなかいっぱいで閉じてしまいそうなまぶたを開き、午後の仕事に取りかかる。かごいっぱいのらっきょうを1粒ずつ、山水で洗い上げる。
行水できそうなほど大きなトロ箱に水をため、らっきょうを放り込む。しゃがんで1粒ずつ土を洗い落としていく。つるり、きらりとらっきょうは光る。
今年も無事に仕事を終えた。お母さんはその日の晩に塩漬けし、乳酸発酵させてから本漬けする。
(風)
2024年6月25日、高知新聞に掲載されたコラム「閑人調」です。
6月はらっきょうの季節。毎年恒例、土佐町溜井地区の和田農園さんを訪れての「らっきょう仕事」のことを書きました。
「らっきょう仕事」の前日、畑で育てたらっきょうを収穫し、お昼ごはんを作って待ち構えてくれているのが和田農園の計美さん。私のお山のお母さんです。
次の日「らっきょうは全部で10kg以上あった」「みんなに助けてもらって、ありがとう」と伝えてくれた計美さん。こちらこそありがとうございます!
来年の「らっきょう仕事」が待ち遠しいです。