「笑え、シャイロック」 中山七里 KADOKAWA
図書館であわてて借りて「シャーロック」かと思いきや「シャイロック」という題名。
帝新第一銀行に入行した結城。バブル崩壊後に焦げついた債権の取り立て部署に配属となり、上司は伝説悪名髙い回収マン山賀。彼について回収不可能と思われる案件に取りくんでいく。
「シャイロック」は「ヴェニスの商人」に登場する、強欲なユダヤ人の金貸しだという。山賀について学ぶうちに秘めた優しさや配慮に気づかされていく。
そんなある日、山賀が刺殺体でみつかる。帝都第一銀行の闇をにぎっていたようだ。
部長があげた稟議で決済された案件の多くが不良債権であった。山賀の残した多くの案件に孤軍奮闘していく。銀行の窓口にいくと笑顔で応対してくれるが預かるだけではやっていけない。
貸し付けてはじめて成り立つ大変さは、大小の銀行を問わずあるのだろうと改めて思わされた一冊だった。
川村房子