「七度笑えば、恋の味」 古矢永塔子 小学館
表紙はアニメ。日本おいしい小説大賞…って何?と思って購入。
第一話の鮭と酒粕のミルクスープからはじまって、第七話のたっぷり山葵のみぞれ鍋までの七話になっていて、料理方法や料理のおいしさまで伝わってくる。
でもこの小説は美味しいだけじゃないんです。
主人公の日向桐子。完璧に美しすぎるため母の人形。幼い頃より辛い目にあい、大人になった。今では夫の人形。内緒でみつけた職場も、頭巾にマスク、メガネをかけての仕事。昼食も人目を避け、誰もいない処でとる。自分が自分でいられないことに泪が…。
そこにあらわれるのが72歳の匙田さん。味があって人情味満杯。まわりのみんなも人間味があるんです。
一まわりも二まわりも離れているのに抱く恋心。匙田さんの対応がしゃれていて大人なんです。
読み終えると、ほのぼのとした気持ちになりました。
作者は高知県在住でした。それだけでもうれしくなりますよねえ。