「夜のピクニック」 恩田陸 新潮文庫
主人公は特殊な事情のため、それぞれの母親の元で育っている同級生の異母兄妹。
「夜のピクニック」とは一昼夜全校生徒が歩き、走るという遠足と耐久マラソンを合体させたようなイベントをさしています。故に登場人物のほとんどが高校生です。
学園もの…、感情移入ができるかしら…?
何せ3世代ほどの年代の相違があります。
テンション低めでページをめくり始めました。
ところが、一ページ目から引き込まれ、最終ページまでくぎ付けです。随所にサスペンスまがいの仕掛けがあり、登場人物の一人一人をまるで隣にでも居るかのように丁寧に描写してあります。
この描写力、構成力には脱帽です。久し振りに見事にいい方向に予想を裏切られた作品との出会いでした。
西野内小代