分類キク科タンポポ属の多年草
分布日本固有種、関東以西の本州・四国・九州に分布する
概要黄色い花のタンポポよりやや早く開花し、2月頃から4~5月にかけて花を咲かせる
撮影土佐町樫山/2022年4月
白い花のタンポポです。
牧野富太郎博士は明治37年発刊の学術誌へ「土佐はみな白花品のみ」と記述したそうです。今思えば不思議な感じですが、その頃の高知県にはヨーロッパ原産の黄色いセイヨウタンポポはなかったのですね。
シロバナタンポポは点々と分布しており、その気になって探せば意外と沢山あることに気づかされます。土佐町では西石原、立割、樫山などに群生地があり、時期が良ければ見応えのある景色に出合えます。いずれの場所も毎年欠かさずに適期の草刈りが行われており、在来種のタンポポはそういうところに繁茂するようです。
シロバナタンポポの自生地に、時々、キバナシロタンポポと呼ばれる黄色い花が出現します。偶発的なのか、あるいは遺伝的なものなのか詳しいことはまだ解っていないようですが、特徴は花色を除いてシロバナタンポポと全く同じです。
今年は西石原、樫山、須山の三ヶ所で確認できました。
日本で保存されているセイヨウタンポポ(西洋蒲公英)の最も古い標本は1904年に北海道札幌で採集されたものだそうです。
牧野博士によって、当時の植物学雑誌へセイヨウタンポポが紹介され、その際に「このタンポポはやがて日本中に広がるだろう」と予言されたそうです。
1904年は明治37年のことですから、前述の「高知県は白花ばかり」のコメントとの関連がうかがわれます。
今や土佐町も外来種のセイヨウタンポポでいっぱいですが、黄花の在来種も次の2種が生育しています。
クシバタンポポ(櫛葉蒲公英)が上野上から伊勢川~溜井方面に、カンサイタンポポ(関西蒲公英)が東石原地区に分布し、いずれも希少植物で高知県のレッドデータ(絶滅危惧種)に指定されています。
タンポポの外来種と在来種の見分け方は簡単です。
黄色い花の下の緑色の部分を総苞(そうほう)と言いますが、外来種はその部分が「ひげ」のように反り返ります。反り返りのないのが在来種です。
クシバタンポポの総苞は太く、カンサイタンポポの方はほっそりしていますが、在来種ですからいずれもピタリとくっ付いています。