「おおずもうがやってきた」 西村繁男 福音館書店
高知県高知市ご出身の西村繁男さんの絵本です。
島に大相撲の巡業がやってくることになって、町中の人が楽しみに準備をしていきます。
土俵の作り方、まわしのしめ方、ぶつかり稽古の様子、土俵入りやとりくみの様子が生き生きと描かれていて、自分もその中にいるような気持ちになってきます。
本場所ではお相撲さんが滑稽なことをしてお客さんを笑わせる「しょっきり」というものがあるらしく、西村さんの絵によると、わざと相手を飛び越えたり、水を吹きかけたり…。他にもいくつかあって、絵を見ながらその様子を想像するだけで面白い。
お客さんがお弁当を広げていたり、お菓子を食べていたり、カメラのフィルムを変えていたり(この絵本が描かれた時はフィルムだったんですね!)…。その様子を見るのも楽しい。
夜にお相撲さんたちが船に乗って島に到着した時の島の人たちの興奮や吐く息の白さは、暗闇の中にも人の熱や息遣いがあることを何だか思い出させてくれます。
鳥山百合子