「絵本のひきだし 林明子原画展」 朝日新聞社
「〜さんの絵だ」とわかったり「なんだか見たことがある」と思う絵。きっと多くの人たちにとって、林さんの絵はそんな存在なのではないでしょうか。それだけ多くの人に愛されているということやないかなと思います。
「しゃぼんだま」「きょうはなんのひ?」「かみひこうき」「はじめてのおつかい」「いもうとのにゅういん」…。
こどもの頃からいつも林さんの絵本は本棚にあり、数え切れないほど母に読んでもらったし、私もこどもたちに読みました。
この本には今まで描いた林さんの原画が収められ、林さんのこんな言葉が書かれています。
「絵本づくりの魅力は、ただの真っ白い紙の上に、ひとつの世界が立ち上がっていく楽しさかな。
夜描いてて、疲れたから明日にしようと思って翌朝に続きを描くじゃない?そこでいつも思うのは、翌朝にしないでその晩書き続けていたらどんな世界ができていたのかなって。」
朝になるとやってくる毎日や、これから歩いていく道のりや、明日待っているかもしれない出来事も、きっと真っ白な紙の上にあるのです。
毎日できることを積み重ね、ふと振り返ったときに、自分では思いもしなかった絵が描かれているのかもしれません。
鳥山百合子