「OSAMU’S A toZ 原田治の仕事」 原田治 亜紀書房
2022年3月6日まで横山隆一記念まんが館にて「原田治展」が開催されていた。 昨年の夏、なんの下調べもせずふらっと神戸会場を訪れた際、入り口は若い女子達で溢れかえり、入場制限かつ整理券完売で入ることすら叶わなかった…入場すらできなかった展覧会は初めてだったので、どんな展示なのかすごく気になっていた。なので、今回の高知会場では大いに胸膨らませて訪れた。
原田治さんのイラストは、一家にひとつはなにかしらグッズがあったのではなかろうか。 長らくミスタードーナツの景品のイラストとして君臨し、先日友人に聞いた話では初めてつけたスポーツブラジャー(まで!)に原田治さんのイラストがあったというので、あらゆる暮らしの隅々までOSAMU GOODSは浸透していたことがわかる。それを体感できたのがこちらの展覧会だった。
時が経ち、時代も流行も変わってまた今。あらためて原田治さんのイラストの可愛らしさ、一度目にしただけで印象に残る力強さは不変だった。 若い女子達には、新鮮に映り、アラサー以降の女子には懐かしさとどこか実家や青春を思い出させる甘酸っぱい記憶がよみがえるのではなかろうか。
原田治さんの言葉に −イラストレーターは芸術家ではなくてお客さんを喜ばせる芸人。イラストレーションの面白さはエンターテインメント性にある。僕は人の喜ぶ顔を見たくてイラストを描いています。
童話「北風と太陽」の太陽のように、じわじわとあたためてコートを脱がせる話を思い出した。 冷静さと鋭い審美眼の持ち主。 何年経っても何十年経っても、さわやかなイラストでひとを喜ばせ、惹きつけてやまない。太陽の如く凄まじい魔力に圧倒されたのである。