2018年3月

土佐町ストーリーズ

松子さんの炭

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「松子さんの炭」が届いた。
30キロのお米が入る袋いっぱいにぎっしりと入っている。
「松子さんの炭はキンキン、キンキンと音が鳴る、とても良い炭やきね。そういう炭は長持ちして火力が強いんよ。」と、届けてくれたみちさんが教えてくれた。

 

2018年2月18日に行った「シルクスクリーン&くるくる市」のイベント。この日、手作りぜんざいを七輪で温めて出すことにした。七輪には炭が必要だが、家にあった分だけでは足りなかったので買うことにした。
もちろんお店で買うこともできたけれど「みちさんに聞いてみよう」と思いつく。

みちさん、こと岡林孝通さんは土佐町の黒丸地区で炭を焼いている。早速電話してみると「僕がつくってるのは竹炭やき、あっという間に燃えちゃうから広葉樹の炭の方がえいと思う。心あたりを聞いてみるから。」と言う。

次の日連絡があった。

「種田松子さんが炭を分けてくれるって。松子さんのご主人が10年前に焼いた炭を大事に取っておいたのがあるから、それを使って、って。」

 

種田松子さん。土佐町役場から車で約50分の山の中、16世帯28人の黒丸地区に住んでいる。

炭を焼いた松子さんのご主人は、8年前に亡くなったのだという。
大切な炭なんやないかな…と言うとみちさんは言った。
「『鳥山さんが炭を分けてほしいって言ってる』と伝えたら、松子さんは『あ、鳥山さんねえ』ってちゃんとわかってた。」

 

少し話をさかのぼる。

2017年7月に黒丸地区で行ったパクチーフェス
その時にたくさんのゼンマイを提供してくれたのが松子さんだった。乾燥させた太くて立派なゼンマイが大きな袋いっぱいに入っていた。その量を作り上げるのにどんなに手間暇かかるか、土佐町で暮らしているとそれはわかる。
せめてものお礼にとパクチーハウス東京の佐谷さんと一緒に家に行き、フェスで作った料理の数々を詰めたお弁当を届けたのだった。
松子さんはその時のことを覚えてくれていた。

 

その7ヶ月後に松子さんから炭を分けてもらうなんてことは、想像もしていなかった。

今までしてきたことがどこかでゆるやかに結ばれて、新たな出来事となって目の前に現れる。

あの時と今は、実はつながっていたのだといつもあとから気づく。

 

 

松子さんはシルクスクリーンのイベントに来てくれたので直接お礼を伝えることができた。「使ってくれてうれしい」という言葉がありがたかった。

 

松子さんの炭でちょうどよく温まったぜんざいをみんなが美味しそうに食べていた。

松子さんのご主人は、自分の焼いた炭が10年後、こんな風に使われることを想像していただろうか?

 

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私の一冊

上土井恵子

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「おやすみ、ぼく」 アンドリュー・ダッド文, エマ・ウェイ絵 クレヨンハウス

長男の3歳の誕生日に友人から贈られた絵本。内容といい、絵のタッチ、色使いといい優しい気持ちにさせてくれる絵本です。おやすみ前にゆったり読むとなんともいい夢が見れそうです。

寝る前にぜひ親子で読んでみてください。大人が一人静かに読むのもおすすめです。今夜はいい眠りに入れそうです。
「おやすみ、ぼく。またあした。」

 上土井恵子

 

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4001プロジェクト

澤田しのぶ

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しのぶさんは、土佐町が誇る銘酒、桂月の女将的存在の人です。

桂月の創業者の直系。そして2頭のゴールデン・レトリバーと暮らす大の犬好き・動物好き。

「私の一冊」に登場していただいた時も、愛読書は動物の本や写真集でした。

2017年6月、インド仏教指導者である佐々井秀嶺さんが土佐町を訪れた際には、しのぶさんにいただいた鮎をご一行に食してもらいました。佐々井さん、とても美味そうに鮎を丸かじりしていました。

とさちょうものがたり、しのぶさんに陰に陽にとてもお世話になっています。

土佐町に数人いる、僕が全く頭の上がらない人、のうちの一人です。

 

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私の一冊

高橋弥生

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「しょうぼうじどうしゃじぷた」 渡辺茂男 福音館書店

子どもの頃に、弟がよく保育園から借りて来たのを読んでいました。町の消防署の消防車じぷたくんが、山小屋の火事を消して大活躍するお話です。

他の大きな消防車では行けない細くて険しい山道をじぷたくんが山小屋目指して進むシーン。想像して応援したのをすごく覚えています。

じぷたくんは私の中で、たくましくてかっこいいヒーローです。

高橋弥生

 

 

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笹のいえ

花粉症

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2月が終わろうとするある日、鼻や目の奥がピリピリとしだして「ああ、今年もこの時期か」と思う。

花粉症とは大学時代からの付き合いだ。僕は杉花粉に反応するので、杉の無い小笠原諸島父島に住んでいたとき以外、毎年この季節は気持ちが重い。

その僕が、どうして杉に囲まれたこの地域に引っ越してきてしまったのか。人生って不思議だ。

発症当初、酷い時は目と喉の痒さで目が覚め、薬なしではいられなかった。しかし、「食べるもので体質が変化する」と知ってから、それまで毎日のように食べていた乳製品や甘いものを控えてみたら症状が軽減された。食事が菜食寄りになったのも影響があるかもしれない。個人差があると思うので、あくまでも僕の場合だけど。今も相変わらず目の痒みと鼻水が出るのだが、以前よりだいぶマシになった。薬を飲まず、マスクをするくらいでなんとか過ごしてる。

笹のいえの前の山は杉檜が植林され、風が吹くと黄色い花粉が放出し、霞がかかったようになることもある。目をショボショボさせながら、あの木を全部伐採してしまいたいという気持ちは花粉症の方なら理解してくれるだろうか。でも、木を切ると花粉を頭から被ることになるからやっぱり止めておこう。

花粉症に懸かる理由を調べていると、昔ほとんど耳にすることのなかったこの症状が蔓延しているのは僕ら現代人の免疫力が下がっているから、という記事を見つけた。免疫力のほとんどは腸でつくられるから、腸内環境を整えるのが有効らしい。小食にしたり、食事の回数を減らしたりすると調子が良いのは、免疫が上がるからなのかもしれない。

お酒もNG。呑むと途端に目や鼻の粘膜が充血し悪化する。毎日の晩酌が生きる喜びの僕には、これが一番堪える。飲みたいのに、飲めない。

ひたすら我慢して、花粉が去るのを待つしかない。

普段の食べ過ぎ飲み過ぎを反省し、身体に向き合う数カ月間。これはこれで必要な時間なのだろうなあと納得することにしている。

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私の一冊

佐藤碧衣

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「ビジュアル日本史 ヒロイン1000人」 安西篤子,小和田哲男,河合敦 監修 世界文化社

日本をつくってきた1000人の強く、かっこいいヒロインたちの生涯が載っています。 名前が後世まで伝わっていなかったり、物語のなかの空想の人物であったり、時代ごとにも一人 一人全く違うストーリがあってとても面白いです。
小学生の頃、私はこの本を読みふけり、自分にはどんな未来が待っているのかなと想像していました。

佐藤碧衣

 

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キネマ土佐町

キネマ土佐町・夏

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「キネマ土佐町」の最終章「夏篇」を公開します。

祭り、山、川遊び!土佐町の夏、かなり楽しいです。土佐町に来て季節が一回りして、夏が一番好きかも。

2016年の「秋篇」から始まり、これで季節4本分が揃いました。

これにてシリーズ完結とさせていただきます!

言うまでもなく、この4本を作るにあたって、土佐町のたくさんの方々に助けていただきました。

出演いただいた方々、毎回上映のときに見に来ていただいた方々、町のことをいろいろと教えてくださった方々、この場を借りて感謝を伝えたいと思います。様々な形で応援していただいた方々がいなければ、この4本は完成しなかったのは間違いありません。ありがとうございました!

 

それから忘れてはいけないのが、音楽。

4本とも個性的で素晴らしいミュージシャンが曲を提供してくれています。

 

「秋篇」 Paco Montalvo (スペイン) “Oriental”

「冬篇」 Macfeck  (ヨーロッパ混成バンド) “Shlofn”

「春篇」 Stringspace String Quartet (オーストラリア) “Canon”

「夏篇」  Aston Band (オーストラリア)  “Viva La Vida”

 

毎回、音楽選びにはかなり悩みました。可能な限りたくさんの曲を聴き、そして心に決めた曲を弾いているミュージシャンに「ムービーに使っていい?」と直接聞いてみる。

聞いてる本人が意外なほどに皆さん快くオッケーしてくれました。中には「僕たちの国に来て一緒に仕事しよう!」と誘ってくれるミュージシャンもいて、とても励まされる経験でした。

良いものを作りたい!という彼らの気持ちが「キネマ土佐町」の大きい要素になっていることは言うまでもありません。

遠く海を離れたそんなミュージシャンたちにも大きな感謝を伝えたいと思います。

 

それから以下に完成版「キネマ土佐町」の3篇もまとめて紹介します。完成版、と書いているのは4本が揃ったときに(つまり最近)、微修正・微調整を入れたから。

シリーズ合わせて、10年20年と長く観られるものになっていって欲しいと思います。

 

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私の一冊

大原哲男

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「猿猴 川に死す」 森下雨村 岳洋社

先日4001プロジェクトでもご登場いただいた桂月の杜氏・大原哲男さんが紹介してくれた一冊。

著者の森下雨村は土佐の生まれ。晩年も佐川町に隠棲し、日がな一日釣りと酒の日々を送っていたそうです。

交流のあった作家・横溝正史によると「親分肌で、常に周囲に若いものを集め、ちっくと一杯と人に奨め、相手を盛りつぶしては悦に入っていた」とのこと。

昭和40年に亡くなりますが、それも「ちっくと一杯やりすぎたのが原因である(横溝)」そう。

この一冊は本人の好きな釣りのことを書いたモノ。

「猿猴 川に死す」

題名からも土佐の匂いが漂ってきます。

石川拓也

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くだらな土佐弁辞典

ひがちになる

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ひがちになる

【動】一生懸命になる

例「ひがちになって掘った落とし穴に自分が落ちた。」(いっしょうけんめい掘った落とし穴に自分が落ちた。)

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私の一冊

佐藤碧衣

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「翻訳できない世界のことば」 エラ・フランシス・サンダース著,前田まゆみ訳   創元社

可愛らしい絵と一緒に、世界のことばが書かれています。
ペルシア語「TIÁM /ティアム」 ”初めてその人に出会った時の自分の目の輝き”
…特別な誰かに出会った、とっても幸せでキラキラとした、そんな瞬間を表すロマンチックなこ とばです。

私が留学したフィンランドのことばも、もちろん載っています。
「Poronkusema/ポロンクセマ」”トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離”
…だいたい7.5km。トナカイと暮らす雪国らしい単位です。 しかし、現代のフィンランド語では、”トナカイのうんち/おしっこ”を意味します。北極圏の方で は、本来の単位としての意味も残っているかもしれません。

世界中をまわって、さらなる翻訳できないことばを見つけてみたいものです。

 佐藤碧衣

 

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