2018年5月

土佐町ストーリーズ

5月の風

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先日、お世話になっている人に土佐町の色々を詰め込んで宅急便で送った。

まず、乾燥させたゼンマイとワラビ、塩漬けしたイタドリ。

「本物はこれなんです」と知ってほしいから、山から採ったばかりのゼンマイとわらび、イタドリも少しずつ新聞紙で包む。

近所のおじいちゃんからいただいた茹でたけのこも入れた。

他にも里芋、生姜、干し椎茸、お米。

それからお花農家さんのアネモネの花束。

(土佐町高須地区の沢田みどりさんはハウスでアネモネを育てています。アネモネの時期が終わり、次の花を植える時、いつも「アネモネを取りにおいで」と毎年声をかけてくれるのです。みどりさん、いつもありがとう。)

 

箱いっぱいに詰め込んで、ハガキも入れて封をする。

これは「春風便」。

 

宅急便を送る時、いつも思い浮かぶのはその人の顔。

その人が喜んでくれるといいなと思いながら、自分が一番喜んでいるのかもしれない。

 

こんなことをしている頃、新緑の山に藤の花の色が重なり、5月の風が吹く。

木々の若葉を揺らす爽やかな風。

川の水面をきらきらと揺らしながら吹きぬけてゆく風。

うーーーん!と背伸びして深呼吸して、思わず走り出したくなるような風。

 

本当にその人に届けたいのは、実はこの5月の風だったりする。

 

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ほのぼのと

はしとこ

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運動音痴の私が絶対に渡ってはいけない、幅50㎝ほどの板を渡してあるだけの簡単な橋「はしとこ」にまつわるエピソードです。

 

ある日祖父に連れられ、その頃とても可愛がっていた子犬(ロク)をお供に、その橋を渡って対岸の南泉に出かける羽目になりました。

事件は帰路に起こりました。

 

最後の三枚目の板が深い淵の上に架かっていることもあり、恐怖心がだんだんと増幅されていきます。

ロクにとっても試練です。怖気づき、おしりが引け、見なくてもいい川面を覗き込みながら、恐る恐る右、左と足を運びます。

 

あと少し、という所で ”チャポン” 淵に落ち、流されてしまったのです。

でも野生は強い。

透明感のある深い緑色の淵からポッカリとその愛らしい白い頭を出し、私の手元に戻ってきたのです。

「はしとこ」への私の恐怖はこの日を境にマックスです。

 

「二度とこの橋を渡るものか!」

 

まさかその橋を渡った所の男性とその後ご縁があり、こうして余生を過ごすことになろうとは、その頃は想像だにしなかった事です。

 

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笹のいえ

ショータ君

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本名、川原将太。通称「ショータ君」は、アーティスト。

もともと主に絵を描いていたが、土佐町に住みはじめてから縁がつながり、使われなくなった陶器工房を譲り受けたのがきっかけで、独学で器つくりもはじめた。焼き上げる度に彼の技術は向上し、作風も変化している。

そんなショータ君は、子どもと遊ぶのが大好きだ。

それも、全力で。

「危ない」とか「やっちゃダメ」とかすぐ言う大人たちとは違う。

だから、子どもたちも彼のことが大好きだ。

ショータ君は、「子どもマグネット」だ。

彼の姿を見つけると、子どもたちがどんどん吸い付いていく。

今日はどんなことをして遊ぶのか、新しい遊び道具はどうやって使うのか、みな笑顔になって、歓声をあげて彼と遊ぶ。

笹のいえにもよく遊びに来てくれる。

うちの子たちは彼の軽トラを覚えていて、見つけると一目散に走り寄っていく。次男なんて、親の名前より先に「しょーた」と言えたくらいだ。

ある日彼が「あの場所ちょっと使わせてください」と、山の斜面にある、草と竹だらけの元畑を指差した。「どうぞどうぞ」と言ったら、数日後には草が刈られ、丸太を運び込んでやぐらが立ち、木の枝を利用したブランコができ、アプローチに階段が、あれよあれよと作られていった。

「秘密基地」と名前がついたこの場所は、ショータ君と子どもたちの間で「秘密の」遊び場となっている。

好奇心が服着て歩いてるような彼は、アーティストとしての本業を続けつつ、子どもと遊び、その場をショータランド化している。そして、彼の磁力はいまや大人まで及び、一緒に遊ぶ輪も広がってる。

そして、ショータ君の魅力以上にすごいな、と思うのは、こんな彼を支える地域の気質だ。

一般的にひとの数が少ない地域ほど、彼のような「周りと違うひと」は中に入って来にくい。けれど、住人4000人足らずのこの町で彼が生きていけるのは、地元の懐の深さが大きいと僕は思ってる。

今日も山々に、ショータ君と子どもたちの笑い声が響く。

 

写真提供:中澤ミツル

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私の一冊

石川拓也

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「ロジックの詩人たち」 安野光雅 平凡社

画家である安野光雅は、ぼくが小さな頃のヒーローです。

あのタッチで描かれる日本や外国の町の風景に、理由もなく強く心惹かれてページをめくっていた記憶があります。

この本は松山の古本屋で見つけた一冊。珍しく、安野光雅の対談集。15人の文人や学者と、それぞれテーマとなる人物について語っています。

鶴見和子さんと語られる南方熊楠の一章。二人の話題は明治39年に発令された神社合祀令にも及びます。

江戸時代に一つの村に必ず産土(うぶすな)神社があったのに、村を二つ三つ一緒にして町にすると、産土が一つの町に二つとか三つあることになって、ムダだと政府は考えるようになったわけです。だから、なるべく一緒にまとめて、あとは壊してしまう。それが神社合祀なんです。  鶴見

文化的・環境的・生態学的・民俗学的、多様な見地から、熊楠は激しい反対運動を展開し、国内外に「農民困窮す」「漁民困窮す」と激しく警鐘を鳴らしました。結果、10年という時間がかかりましたが合祀令を撤回させることに成功しました。なんか話が逸れちゃいましたが、鶴見さんの熊楠論を聞いての安野さんらしいひと言。

南方熊楠を遠いむつかしい存在だと思う人が多いんですが、まったく逆でその実は面白いですね。学問がこんなに面白くていいかしらと心配になるくらい。  安野

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とさちょうものがたり編集長・石川拓也が、土佐町で撮影した写真を中心に初展示をします!

 

○日程 2018年6月2日(土) 〜 6月30日(土) 期間中毎日13:00~17:00の開場です。

オープニングイベント   6月2日(土) 13:00~17:00

○会場 青木幹勇記念館(旧森小学校) 高知県土佐郡土佐町土居437  0887-82-1600

○主催 知の循環型生涯学習研究会 後援 土佐町教育委員会 協賛 HappyFabric.me

○参加費 全て無料 どなたでも参加できます。お子様連れも大歓迎です。

○お問合せ 0887-82-0480  土佐町役場総務企画課(担当:和田亜美)

 

2016年夏からの2年弱、土佐町で撮影した写真・動画を一挙に展示します。

⬜︎土佐町ポストカードプロジェクト

土佐町の風景を月に1枚ポストカードに!と撮影してきたプロジェクト。今回は今までにない大きなプリントでご覧ください。

⬜︎4001プロジェクト

土佐町に住む全員を撮影しよう!というこのプロジェクトの中間報告的な展示です。

⬜︎【上映】キネマ土佐町

春夏秋冬の4本で完結した土佐町の動画「キネマ土佐町」を上映します!

⬜︎【上映】とさちょうものがたりの動画

佐々井秀嶺さん(インド仏教指導者)下田昌克さん(絵描き)が土佐町を訪れた際に作成した動画の上映も!そうそう、土佐町の奇祭「南川百万遍祭り」の動画も合わせて。

 

加えて、6月2日(土)のオープニングイベントでは‥

⬜︎【体験】シルクスクリーン印刷 x くるくる市

とさちょうものがたりで取り組んできたシルクスクリーン印刷を会場でやります。ぜひ着古したTシャツや服を持参して、ご自身で印刷を体験してください! くるくる市も同時開催! 参加費は無料・ドネーションをお願いしています。

2月に笹のいえと開催した「シルクスクリーン x くるくる市」の模様はこちら

笹のいえの渡貫洋介さんがシルクスクリーンについて書いた「着ない服を着る」はこちら

 

6月2日の土曜日は青木幹勇記念館へ!みなさまのご参加をお待ちしています。

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パクチー銀行

パクチー、芽が出た!

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ついに!パクチーの芽が出ました!

2018年3月31日に蒔いたパクチーの種。毎日毎日畑にしゃがみこみ、芽が出てるかな?とその日を首を長くして待っていました。

しかし、待てど暮らせど芽が出ない…。

種のまき方がよくなかったかしら?

雨が降らず土がカラカラなのに、まあ大丈夫やろう、と水をやらなかったから?

ちょっと諦めかけていました。

でもついに!

雨上がりの4月25日の朝、パクチーの芽を確認しました!

「やった、やったー!」思わず叫んで拍手!

芽が出たばかりでもパクチーの葉っぱの形そのままなんて、本当にびっくりしました。

 

破綻したパクチー銀行土佐町支店に箱いっぱいの種を融資をしてくれた安曇野支店さん、ありがとうございます!

芽が出ましたよ!

 

 

【ニュース】パクチー銀行・復活

 

 

 

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