集落で夕方前のBBQ。
無風で蒸し暑かったこの日。
「ぬくいねえ」と話していた矢先、涼しい風が木々の枝を震わせながらザッと通り過ぎた。
男衆数名が空を見上げ、ひとりが「あめかぜだ」と言った。
あめかぜは、雨を運んで来る風。
その風に乗って、動きの早い雨雲が青空を覆いはじめてる。
これから雨になるかも。いや、この風ならもっと下(しも)の方だろう。と口々に話す。
地域のひとと付き合っていて感心するのは、
例えば風雲の動きや花の咲く時期、生き物たちが出すちょっとした音などに対して、
彼らが自然にしかも素早く反応していることだ。
たくさんの恵みを与えるが、読み間違えると命を落とす危険も潜む自然と寄り添う暮らし。
生き抜く知恵が、代々積み重ねられた経験と共にいまを生きる人たちの中に集積されている。