(前編)
境内を歩く
境内へ出て、神社の周りを散策しました。写真左の大きな杉の木は、途中で三股に分かれています。「みんなのひいおじいちゃんやひいおばあちゃんが子どもの頃、股の間をくぐって遊んだんですよ」と宮元さん。
「へえー!3つが一本にまとまってるんや!」とか「だんだん長くなっていったんか!」と杉を見上げる子どもたち。
白髪神社の御神木。一度火事で焼けたけれど、また生えてきたそうです。樹齢約600年、今までに何度も落雷を受けながら、白髪神社の入り口に立ち続けています。
常夜燈を熱心に見ていた子も。「中にろうそくを入れて、火をつけて灯りにしていたんですよ」という宮元さんのお話に「へえーそうなんや」。微笑ましい光景です。
「冬の朝8時ごろ、参道の正面の山からお日様が昇ってきます。その時、お宮に光が当たってパッと光ります」と宮元さんが話すと、「そうなんや!建てようと決めた人がそういう場所に建てたんだ!」という子も。
ちなみに、滋賀県の白髭神社でも、朝日が昇る際、神社や鳥居に光が当たるそうです。ルーツである白髭神社と方角的に同じように作られているのだと思う、と宮元さんは話してくれました。
たくさんの質問
子どもたちから宮元さんへ、たくさんの質問が。
○「神様っていたんですか?」
→昔も今もいますよ
○御神木は最初から立っちょったんですか?
→御神木は神様が来てから生えてくるので、最初から生えていたと思いますよ
○「なんで火事になったんですか?」
→戦国時代に近くで戦いがあって、風が吹いて火が燃え広がったんです
○「あの箱(お賽銭箱)にはいくらくらいお金が入るんですか?」
→うーん、お正月の時は1万円よりもうちょっと入ります
などなど。
「神様は見えるんですか?」という質問も。
「見えないけど、神様はあちこちにいますよ。八百万の神(やおよろずのかみ)といって、日本には八百万の神様がいると言われています。いつもみんなのことを見守っていますよ」
質問の時間は終わり、もう帰る時間に。
子どもたちは何度も振り返りながら、学校へ帰って行きました。担任の蔭田先生は「普段は入ることのない本殿に入ったり、宮元さんのお話も聞けて、子どもたちにとってすごくいい経験になったと思います」と話してくれました。
かわいく、微笑ましい質問をたくさんする2年生の子どもたち。その姿を見ながら、子どもたちは今、自分にとって大切な人や大切な場所、大切な風景を心に宿す時間の中にいるのだと感じました。
「いいこともしんどいことも色んなことがあるけれど、お白髪さんはいつも、頑張ってね、とみんなを見てくれていますよ」と子どもたちに語りかけていた宮元さん。
子どもたちが自分の育った町を懐かしく思い出すとき、きっと、白髪神社のある風景も心に浮かぶことでしょう。