雪が降った翌日、土佐町の中でも山深い和田を車で走った。
湾曲する白い山道の前方から、歩く人影が近づいてくる。
車が立ち往生?遭難?救助?
その割には颯爽とした歩き姿。そして身にまとう空気は軽く楽しそう。
「どこまで行きますか?」「和田小学校まで。集まりがあってね。」
「乗せて行こうか?」「いやいや、すぐそこやし、歩くの楽しいから!」
そうして僕らはすれちがい反対方向へ。
1時間後、和田の奥で用事を済ませた僕は、来た道を戻る。
前方からはさっきと同じ歩く人影が。
「集まりが雪でなくなってね」「乗せて行こうか?」
「いやいや、歩くの楽しいから!」
風と共に去りぬ、は京子さんのこと。