立割地区の筒井博太郎さんと苗子さんご夫妻。
お二人ともとても明るく、いつお会いしてもどことなく楽しそう。
この写真を撮影した場所は、お二人のお家の裏手にある山の斜面。ご夫婦はここで長年あか牛を放牧しています。
実はシャッターを押す少し前までは一頭のあか牛が近くにいて、写真に一緒に写ってほしかったのですが、僕の声に驚いて牛とは思えないスピードで走り去ってしまったという、あまりいばれない逸話を残してしまいました。
著者名
記事タイトル
掲載開始日
土佐町の現在の人口です。(2017年6月末時点・土佐町公式サイトによる)
注:土佐町の総人口が3,997人(2017年4月末時点)から4,001人(6月末時点)に増加したことに伴い、当プロジェクト名も「4,001プロジェクト」に変更になりました。
“4,001プロジェクト”は土佐町に住む人々を、全員もれなく、写真家の石川拓也が撮影する計画。
念のため書いておくと、「全員もれなく」…あくまで目標です。
土佐町の人口の増減によって、タイトルもたまに変わります。 (敬称略・撮れたときに不定期更新)
「ほどよい量をつくる」 甲斐かおり インプレス
「大きいことはいいことか? 売り上げは無理をしてあげるべきものだろうか? 国内の技術を捨てて安いほうを選び続けていいのか? そうした問いに、彼らは仕事を通して答えようとしている。」
大量生産・大量消費が良いものとされていた時代が、本当にものすごい勢いで変わろうとしているのを肌で感じる今日この頃。
この本はフリーライターの甲斐かおりさんが出会った、「既存のしくみから外れた場所でやりたいことを小さくスタートさせ、創意工夫でほどよい量の仕事を成立させている人や企業」のお話。
興味深い例が、現在進行形で次から次へと登場します。
売り上げを右肩上がりで維持するために無駄にされるモノ、捨てることを前提に作られる大量生産品、などなど従来のビジネスのやり方に疑問を持ち、本質的な問いを繰り返しながら仕事をする人々が、簡潔で飾らない文章で紹介されていきます。
作りすぎないこと。売り上げよりも周りの人を少し幸せにすることを目的にすること。
お客さんとつながり直す、物語とつながり直す。
この本の登場人物の方々には個人的にもとても大きな共感を感じますし、とさちょうものがたりの基本的な考え方、シルクスクリーン事業の成立の仕方なども同じ地平線上にあると思いつつ、心躍らせながら読みました。
「仮想通貨3.0」 マルク・カルプレス 講談社
記憶にも新しい2011年に起きたマウントゴックス事件。
マウントゴックスは、著者であるマルク・カルプレスが当時社長を勤め、世界最大級のビットコイン取引所としてその世界では名を馳せていました。(ただ他に取引所がなかったということもあったみたいです)
そのマウントゴックスのシステムが何者かにハッキングされ、仮想通貨の一種であるビットコインが一瞬にして消滅・行方をくらましたことで大騒ぎになりました。
記者会見で頭を下げるマルク・カルプレスの姿をご記憶の方も多いのではないでしょうか。
この本は、その後8年かかりやっと事実的な無罪を勝ち得たカルプレス元社長が、その視点から描いた事件の全貌とビットコイン・ブロックチェーンの話です。
ビットコイン?ブロックチェーン?なにそれおいしいの?という人(僕がそうでしたが‥)にもわかるように、ビットコインとはなんぞや?というところからスタートしますので、非常にサクサクと面白く読めちゃいます。
特にビットコインを支える「ブロックチェーン」に関して、本にも書かれていることですが、これは劇的に今後の人類の未来に影響を与えていくような技術であること、ビットコインとはブロックチェーンを使用して流通している仮想通貨であって、ブロックチェーン自体は仮想通貨のためだけの技術ではないこと等々、よく耳にする単語の意味がやっとわかったというすっきり感と、その後予想される未来の来るべき変化にちょっとした高揚感を覚えながら読みました。
中央集権型ではない(つまり国家が管理しない)新たなお金の出現は、有史以来もしかしたら初めて人類がお金に縛られなくなる世の中が出現する可能性をはらんでいます。もし本当にそんな世の中が出現したら、それは人類が月面を踏んだ一歩と同等かそれ以上に大きい一歩だと思いませんか?
その世の中を見たいな〜でも寿命間に合わなそうだな〜なんて思いながら、その変化には楽しみしかありません。
本を読んだあとにはやはりブロックチェーンという単語自体がよく目につくようになって、自宅に導入を検討している「みんな電力」(誰が作ってるか顔が見える電力を販売している会社)なんかも、そのベースになる技術はブロックチェーンなのだそうです。
「Afrique Nord-Est Arabie」 MICHELIN
20歳あたりでふらふらと長い旅をしていた時に実際使っていた地図です。
この地図はフランスのタイヤ会社ミシュランが発行しているもの。
東アフリカ北部・サウジアラビア紅海近辺の地図です。
記憶はうる覚えですが、確か買った場所はケニアのナイロビ。
そこから北上してエジプト・イスラエルを目指すにあたり、インドの安宿で手に入れ持ってきた「地球の歩き方 東アフリカ編」が全く役に立たないことに気がつきました。
なんでかって言うと情報がほとんど載ってなくて、キリンや象の写真ばっかり。(20年以上も前のことです。今はたぶんもっと良くなってると思います。)
これはあかん、と慌てて街で役立ちそうなものを探し、「lonely planet」という欧米版のガイドブックは高くて買えず、それでようやく買えたものがこの地図でした。
地図を買ったはいいものの、バス路線も途中で無くなりトラックをヒッチハイクしながらの北上旅は、情報がないが故の右往左往。迷いに迷い、所持金も底をつき、イスラエルにたどり着いた時にはヘトヘト&ボロボロここに極まれりといった体でした。
ただその過程で出会った東アフリカ(ケニア・エチオピア・エリトリア)は、野生というか、人としての根源に近いなにかを呼び覚ましてくれるような不思議な魅力のある場所でした。
その時に一条の小さな光のように現在地やルートを教えてくれたのがこの地図でした。
その旅の顛末、もしよかったら読んでみてください。
「ニュータイプの時代」 山口周 ダイヤモンド社
以前「武器になる哲学」をこの欄で紹介しましたが、近年の山口周さんの著作はキレッキレの内容が続きます。
現時点で山口さんの最新刊と思うのですが、まず前提として、
・世界がVUCA(ブーカ)化している。
VUCAとは、Volatility(不安定さ)、Uncertainty(不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語。
この世の中の誰も先を予想できない目まぐるしい変化を踏まえて、個人としても組織としても、綿密な計画を立てることに時間を費やすより、その場その場の対応力を磨いていくべき、と論じています。
その上でこの環境に適応できる力を持った人をニュータイプと呼び、旧態依然のオールドタイプとの対比で、来たるべき未来で必要とされる能力をリストアップしていってます。
土佐町にはトキワ苑という特別養護老人ホームがあります。
「生涯、自分らしく」をモットーに、約80名の利用者さんが日々この施設で過ごしています。
高齢化が著しい、土佐町のような中山間の町にとってとても重要な役割を担っている施設です。
そのトキワ苑から、「スタッフが仕事中に着るポロシャツを作りたい!」とご相談を受けました。
実は昨年も同様のご相談を受け、とさちょうものがたりが製作していた下田昌克さんの絵柄のポロシャツをお買い上げいただいたという経緯がありました。
それでは今年はトキワ苑オリジナルの絵柄を作成してみてはいかがでしょう?とご提案したところ、少し時間を置いてから、下のようなイラストが編集部の元に届いたのでした。
すごい!
編集部では、なんとなく施設の職員さんで、絵の得意な方が描かれるのかな?と想像していたところ、実際に描いたのは施設の利用者である81歳のおばあちゃん。
絵を描くのが好きで、今でもよく絵筆を持つそうです。今回描いてくれたのは土佐町でもよく目にするアジサイの花でした。
上がイメージ図。背中一面にアジサイが咲いている絵は手の温もりを感じます。意外な迫力もありますね。
左胸にはトキワ苑の施設名とともにモットーである「生涯、自分らしく」。
全部を仕上げてからお届けに伺いました。
真ん中のおばあちゃんが絵を描いてくれた小川和子さん。左がトキワ苑の職員の古谷さん。後ろと右の2人が印刷を担当したどんぐりのきほちゃんと寿光くん。
とさちょうものがたりのシルクスクリーン事業のスタートは、「地域で自分たちで作れるものは自分たちで作った方が良いのではないか?」という疑問からでした。
それは都会の業者さんにお願いした場合には地域外に流れていくお金を、自分たちで作ることで地域外に逃がさないようにするということ。
そうしてできた仕事に、仕事を必要としている地域の人が取り組み実現させていくということ。
さらにこういった仕事のひとつひとつを、たとえ不器用でも着実に完遂していくことで、仕事をする人々ばかりか、仕事をお願いしてくれる地域の人々にも、その経験値が蓄積されていくということ。
そしてそうした経験を積み上げるほどに、関わってくれる地域の方々との間に理解が深まっていくのを実感します。
トキワ苑のみなさまには、今回とても良い機会をいただきました。スタッフ一同心からの感謝をお伝えします。ありがとうございました!