山門由佳

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「絵巻で見る・読む 徒然草」  海北友雪筆 絵巻 島内裕子 監修  朝日新聞出版

わたしのまわりの現代人はなにか調べたいときyoutubeの動画をみるひとが多いようです。 わたしは動画を見るのがめんどくさいので、だいたい画像検索することが多いです。 そして昔の人もまた絵巻を好んでいろんな話や物語を楽しんでいたそうで‥ 文章よりも絵がわかりやすいのは時代が変わって画像や動画になった今も変わらないようです。

変わらない といえば。いまから約1000年も前の鎌倉時代にかかれた随筆に描かれてあることが現代にも通じることばかりなのは、時代がいくら移ろい変わっていっても,そうそう人間の本質は変わらないということなのでしょうね。

名言、金言好きのわたしにとって徒然草は刺さります。古典が染みる年頃になってきましたが、いかんせん難解な文章は遠慮したいのでまずは絵巻de徒然草でちょうどいい塩梅です。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ままごと」 日本玩具博物館 文溪堂

5歳の娘は毎日ままごとをしています。 かつて少女だった頃の私もこよなく愛したままごと遊びだったのに、悲しいかな今はままごとの相手役になるのは心から楽しめず非常に疲れるようになってしまいました。トホホ

ままごと遊びの起源は紀元前数千年の大昔からあると知りまずはおったまげました。 きっとままごと遊びはすでに人間のDNAに刻まれてるレベルでしょう。日本だけではなく世界各国のままごと遊びの道具もたくさん紹介されており、100年前の日本のままごと道具には“おくどさん”(土のかまど)もあったりして、時代や国によってちがう面白さをほうほうと眺められる一冊です。

一「ままごと」を漢字で書くと「飯事」。この漢字が示すとおり、本来、ご飯を作るまねごとをさしています。けれども、わたしたちがままごとというとき、人形遊びやお客さんごっこなどをふくめた遊びをイメージします。実際、調理や食事のまねから出発して、家庭生活をまねた様々な遊びへと広げる中で、わたしたちは暮らしについて学び、だれかのために何かをする喜びを体験するのです。、、、はっ!そんなに奥深い遊びであったとは。死んだ目をしながら楽しめないなんてままごとの文句言ってられません。今宵も娘とLet’sままごとであります◎

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「コッコさんのともだち」 片山健  福音館書店

いつも保育園でひとりぼっちのコッコさん。 恥ずかしがり屋さんで、うまく自分が出せないコッコさん。ある日、そんなコッコさんと似た者同士のアミちゃんに出会います。もじもじする2人が、自分たちの着ている服がおんなじ色なことに気づいて、お互いの服に触れあってそおっと手をつなぐところからはじまる2人の友情。

友情が生まれるときの初々しい喜び、どんどん仲が深まる楽しさ。でも、どれだけ仲良しでも仲違いする時もある。友達と遊ぶ楽しさをアミちゃんに教えてもらったコッコさん、2人だけの世界からみんなとも一緒に遊べる世界へ。 そんなちいさなストーリーが甘酸っぱくて、じんわり心温まる大好きな絵本です。

ちなみにコッコさんに似て?内弁慶な娘もこの物語には共感しているのでしょう、何度も何度も読み聞かせを頼まれます。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「火垂るの墓」 野坂昭如 徳間書店

はじまりの舞台は昭和二十年の神戸。何年にもわたって戦争を続け、苦境にたたされた日本でひっそりと紡がれた兄妹の物語。有名すぎるほどに有名なこの作品を私はこれまたうすぼんやりとしか知らなかった私は、息子が小学校の図書室から借りてきてやっと今回ちゃんと出逢いました。

戦争なんて、過去の話。どこか遠い国の話で、私には無関係。恥ずかしながら、そんな意識があったのだと思います。けれども、この度この物語を息子と娘に読み聞かせながら途中でぽろぽろ涙が溢れて、ついには読むのも詰まるくらいに苦しくなってしまいました。子供達が困惑するほどに…。(主人公の兄と妹が、わが息子と娘にビジュアルが似すぎていることも感情移入してしまう大きな要因でもある。)

最初から最後まで、どこをとっても悲しくてつらい。お兄ちゃんの清太が、必死に守ろうとした妹の節子。けれどもその願いも虚しく節子を失い、性も根も尽きた清太の死に様は悲しみをこえて戦争を引き起こした大人達に怒りすら覚えます。

実際、今この瞬間も戦争をしている国があるということ。今の自分にできることはなんなんだろうか。夏休み、息子と娘を原爆資料館に連れていくことからはじめようと思います。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ごみを出さない気持ちのいい暮らし」 家の光協会

よいお通じはよい健康状態を表すのと同じく、気持ちのよいごみの出し方は気持ちのよい暮らしに通じるのかもしれません。

ごみに対して正直いつもいつも意識的ではないのですが、できることからすこしずつすこしずつ取り組もうと思います。

そういえば冬に庭に生ごみを埋めていた時期があり、そのなかにじゃがいももあったようで、この春植えたつもりのないじゃがいもが生えてきて、しかも収穫してカレーにいれて食べられたときは、ごみがまさに宝に変わる魔法のようで嬉しかったです。

こちらの本に出てくる6名の方が提案しているごみに対しての意識やごみを減らす工夫は都会にいてもいなくても、庭があってもなくても真似できることがたくさんありました。

とりあえずわたしはまたこの夏、庭に生ごみを埋めてみよう。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「おとしより  パリジェンヌが旅した懐かしい日本」 イザベル・ボワノ パイ インターナショナル

お年寄りには安心感を覚えます。 喫茶店を営む母の店には、毎日多くのお年寄りが来られていました。幼いときからずっとお年寄りは近しい存在だったせいもあるかもしれません。

そのお年寄りをあらわすまさにドンピシャなフレーズをこの本でみつけました。

−時流からはみ出さない「ごく普通」の人間を装ったり、それとは逆に、何が何でも「特別」な人間のふりをしたり、人は誰しも、何かしらの演技をしている。でも、お年寄りたちはそんな長年の重圧から解き放たれて、隠すことなどひとつもない生まれたての赤ちゃんのように、ありのまま、のびのびと生きているように見える。

そうなのです!この自然体、ありのままの姿、『自分』をしっかり持っている姿にきっと安心感を覚えるのかもしれません。繕っている人の前では、自分も決してのびのびいられやしませんもの。飾らないお年寄りの前で過ごす自分がきっと無防備になれて、楽で、好きなのです。

そして、さらに素敵なフレーズを見つけました。

−彼らはまるで、水分の大半が蒸発してしまった果物のよう。より軽く、よりシワシワで、より小さく、でも味わいはより凝縮されている。それぞれの人生が詰まった、エッセンシャルオイルの小瓶たち。

さすが、フランス人の感性だなぁ〜 的確かつお洒落に日本のお年寄りを表現しています。 日本のなかからみるよりも、海外のひとがみつめる日本の姿、お年寄りの姿は冷静かつ正しい気がしました。

ハッとさせられることも多かった一冊です。既視感満載のお年寄りがいっぱい。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「われらの牧野富太郎!」 いとうせいこう 毎日新聞出版

絶賛鑑賞中の朝ドラ『らんまん』! 毎朝毎朝、あいみょんの唄う「愛の花」の歌詞やメロディは何度聴いてもぐっと胸が締めつけられます。

牧野博士の天真爛漫な笑顔と植物への真っ直ぐな愛。こんなに好きなものに一直線の人がいたら、周りの人たちはきっと力になって応援したくなってしまうのだろう。

牧野博士の才能を早くから見抜き育てたおばあさま、生涯ずっと支えた奥様の並々ならぬ愛を博士に注ぐ生き方にまた涙…。愛に生きる。生きている間に自分以外の存在にどれだけ愛を注いだか。大切なことを気づかされました。

人生を終えるとき、きっと牧野博士の両手には抱えきれないくらいの満開の愛の花束を手にしていたでしょう。

ありがとう! われらの牧野富太郎!

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

『「閑」のある生き方 』 中野孝次 新潮社

夫が40歳の誕生日を迎え、同学年である私も今年度40歳になります。

よんじゅっさい。それは子供のころから考えるとえらいおばさん年齢のように思えていたけれど、いざその年を迎えようとする己の心持ちはいたってまだ20代、いやいや下手すれば学生時代のまま時が止まってる部分もあったりします。汗。

きっと、私よりもはるかに先輩の方々であっても実年齢よりも大幅にマイナス年齢の心持ちであろうと推測しております。しかしながら目の前にぶら下がった数字は介護保険料の支払いがはじまり、否が応でも[介護]や[老後]という文字に現実を突きつけられる機会であり…。汗、汗。

人生100年時代と叫ばれてはいますが、元気に自立して過ごせるのはもっと短いかもしれず、40歳はまちがいなく折り返し地点であり、時刻でいえば正午。午後へと向かう切り替え時期なのでしょう。

午前中のすっきりした頭と体でこなすいくつもの家事や仕事でめまぐるしく忙しいのが40歳までの自分の人生の時間としたら、午後の時間って案外いいかもしれません。

大好きな15時のお茶の時間があって、黄昏時のマジックアワーの美しさ、寛ぎのディナー&バスタイム。午後の時間にはたっぷりご褒美が用意されているように思います。

「閑」のある生き方… −40代から老年の準備をせよ、 あらゆる物を減らし生活を単純化すること、自然の声に耳を澄まし、 自分の心と向き合う時間、 心身永閑の生き方。老年は社会での勤め、もろもろの俗縁のつながり、社会人としての拘束、時間の束縛から解放されて子どものように自由なる一個人に帰る時。 一日一日、生きている今をよろこび、楽しむ。

それを実践するにあたっての具体的なすすめを、まさに40代からの私達に指南してくれております。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「とさちょうものがたり」 とさちょうものがたり編集部  土佐町役場発行

 土佐町に引っ越して3年が経ちました。私達家族はちょうどコロナが始まったころに引っ越し、最初からまわりの皆様はマスク姿でした。なかなか素顔を知る機会もないまま、マスクありきの顔認識をしてしまっているがゆえに、マスクなしでは誰かわからない、3年経ってまたはじめましてという人生史上初の状況に陥っております。

でも、やはり素顔はいいですね。 リアル感があります。 ほんとうの意味で知り合っている感じがします。

土佐町へ引っ越す大きなきっかけは、こちらの「とさちょうものがたり」でした。移住するにあたって取り寄せた高知県のあらゆる市町村のパンフレットの中でも群を抜いて、ときめきました。

紙の質感から冊子のサイズの大きさはじめ、綴られている言葉と写真の美しさ、土佐町に暮らす人々がとても素敵に映りました。

4月の終わりに引っ越して初めて田んぼをみたとき、植えられたばかりの苗はひよっこの赤ちゃんでした。整列する姿は可愛らしく、まだ幼いわが子と重ねていた自分を今でも思い出します。

今年、田植えからひと月後位の苗の姿とわが子が重なりました。まだまだ小さいけれど、根を張って一生懸命生きているそんな感じです。これから何年もかけてたわわに実る立派な稲穂を目指して、今日も土佐町の皆様に見守られ助けられて大きくなっています。

◎ありがとうございます◎

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「鳥取が好きだ。水丸の鳥取民芸案内」 安西水丸 河出書房新社

鳥取に行きました。

娘と同じ名前の宿があると知り、そこに泊まるために鳥取に行きましたら、なんと息子と同じ名前の地域にその宿がありました。これには驚きました。いくらなんでも縁を感じずにはおられません。

鳥取には有名な砂漠があって、野生児並みのエネルギィをもつ息子と娘をその砂漠は屁でもないといった感じで、どっしりと存在しておりました。

そして合間、合間に鳥取の民藝に触れ、路地裏のディープな温泉に浸かり、鳥取県民のソウルフード?なカレーに、感動的に新鮮な日本海の魚を頬張って、なんと魅力的な県だろうかと帰ってきました。

「うん、鳥取が好きだ。」

著者の安西水丸さんもそうおっしゃってます。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone