とさちょうものがたり編集部の鳥山が、2023年春より、高知新聞の「閑人調」というコラムに寄稿させていただくことになりました。
このコラムには数人の執筆者がおり、月曜日から土曜日まで毎日掲載。月初めにその月の執筆者の氏名が掲載され、コラム自体には執筆者のペンネームが文章の最後に記されます。
鳥山のペンネームは「風」。月に2回ほど掲載される予定です。
ろいろい
制作に5年をかけた絵本がついに完成した。土佐町をテーマにした絵本で、題名は「ろいろい」。「ろいろい」は土佐弁で、うろうろするという意味だ。
蛇腹式でひとつながりになっているページをのばすと、主人公が歩く道々で出合う四季の風景や行事、歴史や言い伝え、町の人の姿が描かれている。
絵本に何を描くのか?制作チームから出てきたのは町の日常の風景だった。お祭りや棚田や街並み、神社や川や星空、そして町の人。「昔はボンネットバスが走っちょった」「田の草取りに背蓑(せみの)は欠かせない」「もちまきも!」。町の今昔が描かれ、登場する物事はこれからもこの町にあってほしいという願いでもあった。
この絵本を制作するにあたり、町の方たちに大変お世話になった。昔の写真を見せてもらい、各地の風習の意味を教えてもらった。解説書も作り、伝統行事の歴史的背景や言い伝えを詳しく書いた。稲叢山の桜、虫送り、かじ蒸し…。
これらの風景画あるのは、この地で生きてきた先人たちがいたからこそ。だから今の私たちの暮らしがある。そのひとつながりの中で私たちは生きている。絵本を通し、そのことが少しでも伝わればうれしい。
(風)
2023年8月23日に高知新聞に掲載されたコラム「閑人調」です。「とさちょうものがたり」でも紹介している土佐町の絵本「ろいろい」のことを書きました。
ここにも書きましたが、絵本「ろいろい」が完成したのは町の方たちのおかげです。本当にたくさんの方にお世話になりました。土佐町の今昔の話を聞かせてもらい、昔の写真を見せてもらい、資料をお借りしたり、たくさんのご協力があったからこそできた一冊です。
絵本のページをめくり、家族や友人との会話のきっかけになれたら嬉しく思います。そして、町の今昔の姿を知ることで、次の世代へ引き継いでいこうとする思いに少しでも繋がればと願っています。
もうすぐ販売も始まります!この絵本の舞台は土佐町ですが、どこに住んでいようと共感してもらえる内容になっていると思います。町の方たちや町内外の方たちに愛される一冊になりますように。