「本屋さんのダイアナ」 柚木麻子 新潮社
この本は少女から大人になっていく2人の女性のダブル主演で綴られている。
小学校3年生のクラス替えのあった新学期。自分の名前が大嫌いな「大穴」と書いてダイアナと呼ぶ屋島ダイアナ。おばあさんみたいな名前だという神崎彩子。家庭環境も何もかも正反対の2人が本好きを通して親友になった。
2人の大好きな「秘密の森のダイアナ」という児童書が、ダイアナのシングルマザーとしてキャバクラで働く母親、子どもが生まれたのも知らず出て行った父親と、編集者に勤めていた彩子の父親が複雑にからみあっている。
そんな2人がささいな事をきっかけに絶交してしまう。お互いを意識しながらも仲直りのきっかけがつかめない2人。
いろいろな事にほんろうされながら10年。本屋さんに勤めるダイアナ。大学生活を終え、社会人への道を踏み出そうとしている彩子。「秘密の森のダイアナ」をきっかけにまたつながりを手繰り寄せていく。
ラストシーンにむけては、目をしばたきながらいっきに読んでようやく眠りについた。
川村房子