「対岸の彼女」 角田光代 文藝春秋
私って、いったいいつまで私なんだろうとおもう小夜子。子どもの頃も、高校、大学に入っても、結婚し3歳の娘をもつ母親になっても、人とうまく付き合えない。娘も同じで公園に行っても砂場の隅でポツンとしている。買い物に出てもブラウスが高いのか安いのかわからなくなっている。娘のこと、自分の事を考えて働きにでることにする。
一方薫は子どもの頃からかわった子であり、中学に入っていじめにあい学校に行けなくなった。高校は引越しをして入った。そこでもいろんなことがあった。本当にいろんなことが…。大学を出て、そして掃除代行の会社をたちあげ、そこに採用された小夜子。そこからもドラマははじまる。
女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。立場が違うということは、時に女同士を決裂させると。そういえば結婚して子どもが欲しくてもできなかった友人が「子どもの話しがでるから行かない」と同窓会には顔をみせなかった。悪気はなく、なにげに姑の愚痴や子どもの話しは出る。それで傷つく友がいた。それでもみんないろんな事を乗り越え日々の暮らしを続けている。
子どもがいてもかわいい孫がいても、友達の存在はなによりもありがたく感謝している。
川村房子