「主夫のトモロー」 朱川湊人 NHK出版
キャリアを積んで一流インテリデザイナーを目指す妻をささえ、作家を志しながらも、家事と育児をこなすトモロー。社会の風は、まだまだ主夫に対して厳しい。
妻の美知子もキャリアは捨てがたいが、かわいい娘知里のことを思うと後ろ髪をひかれるが、理解ある夫に助けられ社会に戻っていく。
トモローは知里と一緒に、ママ友やパパ友いろいろな出会いの中で壁にぶちあたりながら奮闘し、「家族のかたち」をつくりあげていく。
文中にある「いくら夫婦だろうが、親だろうが話し合わなければ、分かりあうことなんかできっこないのだ。何もいわなくても分かってくれる…なんて都合のいい幻想で、そんなに察しがいい人ばかりなら、さぞや世界は平和だろう」。
ほんとにその通り。
いやー、私も昔は落ち着いて言葉にすることができず、怒って、泣いて、すねたなあ。いっぱい反省してます。
ユーモアがあって、愛があってやさしい家族小説です。
川村房子