前編はこちらから。
集まる食材は当日になるまで分からない。ひとつひとつ確認しつつ、頭の中で献立を組み立てる。持ち寄られるものは開催毎に違うから、同じ料理は出てこない。子嶺麻自身はじめて扱う食材もあるし、これまで作ったことのない料理も少なくない。まさに、一期一会のメニューだ。
ふたつのイベントには、いろんな参加方法がある。材料を持って来てもらう他にも、一緒に調理をしたり、食材を洗ったり切ったり、もちろん食べるだけだっていい。どんな関わり方であれ、捨てられるはずだった食べ物が美味しそうな料理として目の前に出てくると、持参したあの食べ物がこうなったのかと驚きや喜びがある。
子嶺麻と一緒に台所に立つと、その調理法に目から鱗が落ちる。
「揚げ物は鍋肌に10秒以上当てると油切れがいい」
「野菜を蒸したり煮たりした汁は捨てずに、出汁として使う」
「こうすれば、根っこも皮も食べられる」
中華風、和風、洋風、アジアン、、、料理のジャンルに捉われない品々がどんどんテーブルに並んで行く。いただきますをしてからも、彼女は調理を続け、新しい皿に盛られていく。とても食べきれないので、希望者にはタッパーに好きなだけ詰めて持って帰ってもらう。
このイベントは、周りのサポート無しには成り立たない。事前の食材集めから、下処理、洗い物や片付けなど。ありがたいことに、毎回たくさんのお手伝いがあり、たくさんの「美味しい!」の声がある。それは子嶺麻の喜びとなり、次回開催への意欲となっている。
主旨に賛同してくれた方々に呼ばれ、各地で開催する機会も増えて来た。「あるもんでキッチン」は、地域の方達が集まり自主的に行なっているところもある。はじめは個人が中心だった食材提供も、スーパーなどから出る賞味期限直前の食材や野菜の外葉などいただくこともある。そうやって、少しずつ繋がって、広がっている。
いずれは、世界中の廃棄食料が無くなって、イベント開催できません!なんていう日がくれば素敵だなと夢見てる。