「HAIKUGRAPHY 『season’s cafe』」 沼田元氣 ギャップ出版
ミニチュアというものは、ぢーーっと見れば見るほどおもしろくて、みている間、時空をこえてその世界にひきこまれる感じがします。こちらの本、たて9センチ、よこ6センチのかわいいサイズです。いわゆる豆本とよばれる部類に属するでしょうか。
喫茶をこよなく愛するカメラマンの著者が、季節を大切にする俳句と組み合わせた喫茶&俳句&写真集です。
この豆本を手のひらの上でひらくと、いつでも憩の空間が。喫茶の俳句と喫茶店の写真。 たった17文字の言葉と、喫茶店の一部を切り取った写真が想像を掻き立てます。
小さきものの大いなるエネルギー。ここでお気に入りの一句をいくつか紹介します。
八月の カフェの暗がり 熱帯魚
残暑過ぎ 喫茶店で 人老いし
枯葉舞い スプン一杯の 涙かな
窓際の コーヒーカップの 影長く
カフェは温室 冬のテーブル チューリップ
ほがらかな 女と行くカフェ 春近し
夢やぶれ でも喫茶店がある 冬木立ち
どれもいいですねぇ。 喫茶店の情景、喫茶店での心情がありありと浮かびます。