2023年7月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

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「ごみを出さない気持ちのいい暮らし」 家の光協会

よいお通じはよい健康状態を表すのと同じく、気持ちのよいごみの出し方は気持ちのよい暮らしに通じるのかもしれません。

ごみに対して正直いつもいつも意識的ではないのですが、できることからすこしずつすこしずつ取り組もうと思います。

そういえば冬に庭に生ごみを埋めていた時期があり、そのなかにじゃがいももあったようで、この春植えたつもりのないじゃがいもが生えてきて、しかも収穫してカレーにいれて食べられたときは、ごみがまさに宝に変わる魔法のようで嬉しかったです。

こちらの本に出てくる6名の方が提案しているごみに対しての意識やごみを減らす工夫は都会にいてもいなくても、庭があってもなくても真似できることがたくさんありました。

とりあえずわたしはまたこの夏、庭に生ごみを埋めてみよう。

 

 

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くだらな土佐弁辞典

やまった

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やまった

 

【意味】しまった!

 

例:やまった!カメに負けてしもうた!

(しまった!カメに負けてしまった)

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私の一冊

古川佳代子

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「100年たったら」 石井睦美文,あべ弘士絵 アリス館

出会った瞬間から、親しみをもったあの人。そばにいるとしっくりとして、心地よさを感じる友人。もしかしたらその人は、遠い昔どこかで一緒にすごしたことがある、大切な存在だったのかも? そんなことを思うようになったのは、この絵本を読んだからです。

ずっと昔、広い草原にたったひとりで暮らすライオンがいました。ほかに動物はなく、ライオンは草や虫を食べて飢えをしのいでいました。ある時、ライオンの目の前に、ぼろぼろの翼をしたちいさな旅鳥のヨナキウグイスが降り立ちます。鳥はライオンに自分を食べればよいといいますが、ライオンは断ります。その時から、ライオンと鳥の、穏やかで幸せな暮らしがはじまります。

けれどもヨナキウグイスに残された時間はわずかしかありませんでした。別れが迫ってきたとき、ずっと一緒にいたいというライオンに鳥は「100年たったら、またあえる」と言い残してこと切れます。

100年後、ライオンは貝に、鳥は波に生まれ変わっていました。また100年たったとき、ライオンはおばあさんに、鳥は赤いひなげしの花になっていました。

そうやって100年ごとに、ライオンと鳥は生まれ変わり、ある時は魚と漁師に、ある時はチョークと黒板に、あるときはリスと雪のひとひらに生まれ変わっていました。そして…。

生まれ変わり、再会しても、お互いのことは知らないままのライオンと鳥。それでも一緒にいると、なにかしら嬉しい気持ちになるのです。そうして流れていく長いながい時間を思うと、切なさの少し混じった“哀しい幸せ”を感じるのでした。

 

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メディアとお手紙

高知新聞 閑人調 5

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とさちょうものがたり編集部の鳥山が、2023年春より、高知新聞の「閑人調」というコラムに寄稿させていただくことになりました。
このコラムには数人の執筆者がおり、月曜日から土曜日まで毎日掲載。月初めにその月の執筆者の氏名が掲載され、コラム自体には執筆者のペンネームが文章の最後に記されます。

鳥山のペンネームは「風」。月に2回ほど掲載される予定です。

 

初ガツオ

産直市の魚売り場へ行った。今が旬と言わんばかり、 今にもピチピチ飛び跳ねそうな魚が並んでいた。初ガツオだった。黒潮に乗ってはるばる太平洋を北上してきた初物、 目が合ったからには夕飯のおかずは決まりだ。でも丸ごと一匹をさばく自信は恥ずかしながらゼロ。冊を買うことにした。

売り場に並んだ冊には皮がついている。刺身にするには皮をはいだ方がいいのだろうか。店員さんに聞くと「皮付き、皮なし、どっちもいけるよ。好みは人それぞれ!」と笑う。
よく見ると皮は2種類。青味を帯びた黒、そして銀色に光って筋が入ったもの。違いがわからず、隣で熱心に選んでいたおんちゃんに聞いた。

「黒は背中、銀は腹じゃ。腹は脂が乗ってたたきにするとうまいで!わしは腹が好きじゃ」とガハハと笑う。 そして「ほら見てみい。背 中と腹の色が違うろう」と氷の上のカツオの群れを指差した。本当だ!

せっかくだから背も腹も買い、夜、皮付きのまま厚めに切っていただいた。背と腹の味の違いを考えながら食べたのだが、私の舌ではよく分からなかった。

が、初ガツオは口の中でとろけ、幾度となく店員さんとおんちゃんの笑顔を思い出させた。とても良い5月の一日だった。

 

2023年5月30日に高知新聞に掲載されたコラム「閑人調」です。

今回は産直市に並んでいた初ガツオのことを書きました。

氷の上に並んだカツオたちはピチピチと銀色に光り、ぎろりとこちらを見ていました。はるばる太平洋を北上してきたのかと思うと、何とも愛しくなってきます。

冊をどう選んだらいいのか迷う私に、産直市の店員さんは「皮付き皮なしどちらが美味しいか」、おんちゃんは「背と腹の違い」を教えてくれました。
お二人とのこういったやりとりも、初ガツオをさらに美味しくしてくれました。

高知の食、高知の人。その掛け算が高知の魅力です。

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私の一冊

山門由佳

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「おとしより  パリジェンヌが旅した懐かしい日本」 イザベル・ボワノ パイ インターナショナル

お年寄りには安心感を覚えます。 喫茶店を営む母の店には、毎日多くのお年寄りが来られていました。幼いときからずっとお年寄りは近しい存在だったせいもあるかもしれません。

そのお年寄りをあらわすまさにドンピシャなフレーズをこの本でみつけました。

−時流からはみ出さない「ごく普通」の人間を装ったり、それとは逆に、何が何でも「特別」な人間のふりをしたり、人は誰しも、何かしらの演技をしている。でも、お年寄りたちはそんな長年の重圧から解き放たれて、隠すことなどひとつもない生まれたての赤ちゃんのように、ありのまま、のびのびと生きているように見える。

そうなのです!この自然体、ありのままの姿、『自分』をしっかり持っている姿にきっと安心感を覚えるのかもしれません。繕っている人の前では、自分も決してのびのびいられやしませんもの。飾らないお年寄りの前で過ごす自分がきっと無防備になれて、楽で、好きなのです。

そして、さらに素敵なフレーズを見つけました。

−彼らはまるで、水分の大半が蒸発してしまった果物のよう。より軽く、よりシワシワで、より小さく、でも味わいはより凝縮されている。それぞれの人生が詰まった、エッセンシャルオイルの小瓶たち。

さすが、フランス人の感性だなぁ〜 的確かつお洒落に日本のお年寄りを表現しています。 日本のなかからみるよりも、海外のひとがみつめる日本の姿、お年寄りの姿は冷静かつ正しい気がしました。

ハッとさせられることも多かった一冊です。既視感満載のお年寄りがいっぱい。

 

 

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笹のいえ

夏休みと親ばなれ

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小笠原に住む先輩が笹に遊びに来たとき、「今度はうちにおいで」と長女長男を誘ってくれた。これは良い機会と、当の本人たちが返事をする前に、僕は「行きます!」と言っていた。そんなわけで、長女と長男と付き添いの友人が、早めの夏休みをスタートさせて、小笠原村父島へ滞在することになった。

高知から小笠原へ行くには、なかなかの長旅となる。

夜8時過ぎ高知駅で深夜バスに乗り込み、翌朝に東京八重洲着。そこから電車で浜松町に移動し、11時に出港するおがさわら丸に乗船する。さらに24時間、南へ南へ船を進め、やっと父島に到着する。家を出発してから約41時間、移動距離1,800キロを経て、やっと現地に着く。交通網の発達した現代で、世界のどんな場所よりも遠い場所のひとつだろう。でもここは東京都。走る車は、品川ナンバーだ。

父島は以前僕が数年間暮らしていたところで、奥さんと出合った思い出深い場所でもある。僕たちの第二の故郷だ。その島で自分の子どもたちがどんな経験をしてくるのか、お土産話をとても楽しみにしてる。

 

一方、留守番組の五名は、上のふたりが不在なことで、いろいろ気づきがありそうだ。

長男長女には洗濯物の片付けやお風呂や部屋の掃除、食器洗いなどを担当してもらっていたが、これを僕ら夫婦でこなすことになる。これが地味に時間を取られて、ふたりが家庭において大切な「働き手」であることを身をもって感じてる。

一番大きな変化となるのは、次男だろう。

お姉ちゃんお兄ちゃんがいるときは、三番目として、のほほんとしていたが、突如としてそうはいかなくなった。

母ちゃん父ちゃんが家事や下の子たちにかかりきりになるわけだから、以前にも増して「自分のことは自分で」やらなければならなくなった。親から頼まれごとが多くなり、下の子たちからはあれしてよこれやってよとリクエストが飛んでくる。普段からマイペースでのんびり屋、小学校二年生になってもまだ幼さが残る次男の頭の中は、きっとこんがらがっているに違いない。側から見ても大変そうだと思うが、この試練?によって、彼の成長スピードが加速しているように思える。

その下の次女三女も、頼れるふたりがいないことで、何かを感じているように見える。しきりに「いつ帰ってくるの?」と聞いてくる。滞在先の友人からスマホに送られてくる写真や動画を一緒に見ながら、早く会いたいとせがんでくる。

あるとき奥さんと、子どもが三人のときってこんな感じだったかねーと思い出話。あの頃は子育て大変だと思ってたけど、三人でも五人でもやっぱ相変わらず大変だね、と笑い合う。

これまでは家族全員がひとつの単位だったけれど、子どもたちが大きくなるにつれ、今回のような「別行動」も増えるだろう。

もうはじまっている子どもたちの「親離れ」を、楽しみながら見守ることにしよう。

 

 

写真:小学校行きのスクールバスが来るバス停まで歩いて二三分だが、ひとり行くのはまだ不安とのことで、僕か妻に付き添ってもらう次男。彼の「親ばなれ」はもう少し先みたいだ。バスを待っている間、彼と二人きりのおしゃべりタイムは、大家族では貴重なひとときだ。この日は、前日に捕まえたカミキリムシをクラスメイトに見せると虫かごを持って行った。

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私の一冊

西野内小代

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「君のクイズ」 小川哲 朝日新聞出版

クイズ番組に出演し勝利を手にしてきたクイズプレイヤーの心理、推測を描いている。

Q1グランプリの覇者として賞金1000万円が目の前となった僕「三島玲央」、対戦相手の「本庄絆」との決勝戦、最終問題での対戦者の「ゼロ文字押し」(問題を一文字も聞くことなく解答)。しかも正解だった。

この出来事の謎を巡って、敗者となった主人公の考察、葛藤を描く。

クイズに人生を賭けた主人公と、クイズは単なる手段と割り切る対戦者。クイズに対する熱量の違いも見え隠れしている。そこには、対戦者の中学時代に受けた壮絶なイジメ問題も浮上する。

クイズの出題等に関して、作り手の作戦、テレビ番組として魅せる出題方法、解答者のMCに対する繊細な観察力を垣間見た内容でもあり、とても興味深かった。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2023 July 溜井

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溜井 | 森澤生・悠・南月

 

梅雨の溜井。朝からどんよりと曇った空は、この日の昼からぽつぽつと雨を降らせました。

土佐町の山は雲が近い!7月中旬の田んぼはきれいな新緑の緑に色づいています。

畦を一列で歩いているのは森澤生ちゃん、悠ちゃん、南月ちゃんの3姉妹。

各々が手にしているのは傘がわりの「りゅうきゅう」の葉っぱ。この葉っぱも森澤さんのご実家に生えていたものを持ってきていただきました。

 

 

 

 

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土佐町ストーリーズ

95年間のキヨ婆さんの思い出 24

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土佐町栗木地区に近藤潔さん(95歳)という方がいます。潔さんは書くことがとても好きな方で、今まで、高知新聞の「あけぼの」というコーナーに何度も投稿されてきました。とさちょうものがたりでは、「95年間のキヨ婆さんの思い出」と題し、土佐町で過ごした思い出を綴ってくれます。

 

 

お使い

相川にいる時から、弟の子守やお使いは私の仕事でした。
三才年上の兄がいましたが学校の成績も良く、色白でお金持ちの子どものようでした。兄は高知に行ってすぐ大阪に就職し、両親は働きに出ていて、お使いはいつも私でした。私よりも兄が大事にされていると思ったこともありました。

家の前の道を西に行くと愛宕町通りへ。右側の角にお米屋があって、いつも買いに行っていました。
店にはお米を一杯入れた箱が並んでいて、右から順に、一升二十九銭、次が三十銭、三十二銭と、値段を書いた札が立っていました。二十九銭のはあまりにも美味しくなかったので、母に言われ、三十一銭のを買ったのを覚えています。おいしい相川米を思い出しながらのお使いでした。

お金は円札が全然なかったので、バラ銭を布の袋(キンチャク)に入れて、首に掛けていました。五十銭は白い銀貨で、周りにギザギザが付いていたことを覚えています。今から八十年余り昔の事です。百円札は終戦後、出回ったと思います。
 
 

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私の一冊

山門由佳

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「われらの牧野富太郎!」 いとうせいこう 毎日新聞出版

絶賛鑑賞中の朝ドラ『らんまん』! 毎朝毎朝、あいみょんの唄う「愛の花」の歌詞やメロディは何度聴いてもぐっと胸が締めつけられます。

牧野博士の天真爛漫な笑顔と植物への真っ直ぐな愛。こんなに好きなものに一直線の人がいたら、周りの人たちはきっと力になって応援したくなってしまうのだろう。

牧野博士の才能を早くから見抜き育てたおばあさま、生涯ずっと支えた奥様の並々ならぬ愛を博士に注ぐ生き方にまた涙…。愛に生きる。生きている間に自分以外の存在にどれだけ愛を注いだか。大切なことを気づかされました。

人生を終えるとき、きっと牧野博士の両手には抱えきれないくらいの満開の愛の花束を手にしていたでしょう。

ありがとう! われらの牧野富太郎!

 

 

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